冬の宣戦布告(山→ツナ)
本格的に寒くなってきたなぁ。なんて
学校帰りに自分の白くなる息を見て思っていた。
う〜、寒さで鼻や耳が赤くなって指先も冷えるんだよね。
それから静電気!あの不意打ちはよくな…
「…ナ…ツナ?」
「あっ、ご、ごめん何?山本」
完璧に自分の世界に入り込んでしまった。
考え込みながら歩いていたのだろう、クラスメイトで友人の山本が笑いながらも心配した様子で
大丈夫か?と尋ねてきた
「ちょっと考え事しちゃってて」
「…獄寺のこと考えてた?」
「え?」
今日、"彼" 獄寺隼人は居ない。
ダイナマイトの仕込みとかで。
あ〜、だから自分の世界に入る事もできたのか。
獄寺くんが居ると賑やかでそんな時間ないな…とふと日々を思い出し苦笑いした。
「いやいや!違うんだ、ただいつもより平和?というか静かで自分の世界に入り込んじゃってただけなんだ;」
「ふーん」
獄寺くんとはいつも一緒だから山本が誤解するのも分かるけど、実際俺は大した事を考えてはいない。
何を考えていたんだっけ…?
あー、そうそう。この季節に起こりそうな事をあと1つくらい考えようとしてたんだよね。
あとは…
ふいに考える仕草で指が唇に当たった。
「あ!!」
分かった!とつい声が出る
「?どうした」
「この季節って乾燥で唇が痛くなっちゃうね……なーんて、しょうもない事考えててごめ…ん?」
それは一瞬の出来事だった。
立ち止まった山本につられて自分も足を止めると、頭上が影になった事に気がついた。
ふと横に並ぶ山本の方を見上げると同時に唇が重なっていた。
あまりの出来事で硬直状態なのをいい事に山本は俺の腰を引き寄せながらさらに深く口付け、もう片方の手で頬や耳を優しくなぞって表情は見えないもののなんだか楽しそうだ。
あまりの緊張感と時々感じるゾワゾワとした感覚に必死に息をするも徐々に苦しくなってきた。
や、山本!ギブーー!!
そんな俺の様子を見兼ねてかようやく離された口から大きく空気を吸い込んだ。
「はぁっ、はっ…や山本!?」
「くち」
「え?」
山本はいつもの笑顔で自分の唇を指差して言った。しかし、それだけでは何の事やら分からない俺は聞き返すと
「乾燥してたんだろ?」
だ…だからって、こんな事をしたらいけません!!!////
「それと、俺と2人っきりでも平和じゃないぜ。」
覚悟しておけよと、笑ってはいるがいつもとは違う獲物を狙うかのような雰囲気を感じた俺は
「は、はい。」と素直に答える。
きっとこれは宣戦布告だ、今後がとても不安になったある帰り道の出来事。
・
おまけ
「お、あったあった」
山本はカバンの中の何かを探す手がとまり、出てきたのはリップクリームだった。
貸してくれるそうなのでありがたく使わせて貰った俺だったがさっきの事象が頭に浮かんでしまい、もはや唇の痛みなどはとうに感じなかった。
END
学校帰りに自分の白くなる息を見て思っていた。
う〜、寒さで鼻や耳が赤くなって指先も冷えるんだよね。
それから静電気!あの不意打ちはよくな…
「…ナ…ツナ?」
「あっ、ご、ごめん何?山本」
完璧に自分の世界に入り込んでしまった。
考え込みながら歩いていたのだろう、クラスメイトで友人の山本が笑いながらも心配した様子で
大丈夫か?と尋ねてきた
「ちょっと考え事しちゃってて」
「…獄寺のこと考えてた?」
「え?」
今日、"彼" 獄寺隼人は居ない。
ダイナマイトの仕込みとかで。
あ〜、だから自分の世界に入る事もできたのか。
獄寺くんが居ると賑やかでそんな時間ないな…とふと日々を思い出し苦笑いした。
「いやいや!違うんだ、ただいつもより平和?というか静かで自分の世界に入り込んじゃってただけなんだ;」
「ふーん」
獄寺くんとはいつも一緒だから山本が誤解するのも分かるけど、実際俺は大した事を考えてはいない。
何を考えていたんだっけ…?
あー、そうそう。この季節に起こりそうな事をあと1つくらい考えようとしてたんだよね。
あとは…
ふいに考える仕草で指が唇に当たった。
「あ!!」
分かった!とつい声が出る
「?どうした」
「この季節って乾燥で唇が痛くなっちゃうね……なーんて、しょうもない事考えててごめ…ん?」
それは一瞬の出来事だった。
立ち止まった山本につられて自分も足を止めると、頭上が影になった事に気がついた。
ふと横に並ぶ山本の方を見上げると同時に唇が重なっていた。
あまりの出来事で硬直状態なのをいい事に山本は俺の腰を引き寄せながらさらに深く口付け、もう片方の手で頬や耳を優しくなぞって表情は見えないもののなんだか楽しそうだ。
あまりの緊張感と時々感じるゾワゾワとした感覚に必死に息をするも徐々に苦しくなってきた。
や、山本!ギブーー!!
そんな俺の様子を見兼ねてかようやく離された口から大きく空気を吸い込んだ。
「はぁっ、はっ…や山本!?」
「くち」
「え?」
山本はいつもの笑顔で自分の唇を指差して言った。しかし、それだけでは何の事やら分からない俺は聞き返すと
「乾燥してたんだろ?」
だ…だからって、こんな事をしたらいけません!!!////
「それと、俺と2人っきりでも平和じゃないぜ。」
覚悟しておけよと、笑ってはいるがいつもとは違う獲物を狙うかのような雰囲気を感じた俺は
「は、はい。」と素直に答える。
きっとこれは宣戦布告だ、今後がとても不安になったある帰り道の出来事。
・
おまけ
「お、あったあった」
山本はカバンの中の何かを探す手がとまり、出てきたのはリップクリームだった。
貸してくれるそうなのでありがたく使わせて貰った俺だったがさっきの事象が頭に浮かんでしまい、もはや唇の痛みなどはとうに感じなかった。
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