罰と決心


「はぁー、俺ってダメダメだよなぁ~」

4限の数学の時間で居眠りをしてしまった綱吉は、先生から大量の冊子と山積みのプリントを職員室に運ぶようにと言われてしまったのだ。

獄寺くんと山本には先にお昼を食べててって伝えてあるし、早く置いてこよう。
お腹も空いたしね。

「失礼しま…(トンッ)」
…?ぶつかった⁉︎
職員室へ入室しようと扉をスライドさせ一歩踏み込もうとした途端誰かと鉢合わせてしまったのか、冊子類を抱えていた手元に振動が伝った。
それらが落ちないように注視していた綱吉は、前方の人物に急いで目を向けた。

「ひ、雲雀さん!?」
「ワォ綱吉だったの?」

予想外の人物にお互い驚いた。
すると雲雀はいつの間にかこちらに向けていた鋭く光るトンファーを下げながら「咬み殺すところだったよ」と一言。

ぶつかったのが俺で良かった!!雲雀さんが言うとしゃれになんねー;

下げられた物を警戒しながらも他の人が被害にあわなくて良かったとも安堵する綱吉。

「で、綱吉何してるの」
「え?;」
それを聞くんですか!!言いづらいんですけど

一難去ってまた一難。しかし言い逃れできない状況に目を泳がせながら答えた。

「数学の時間に…ぇと、その、寝ちゃって先生から罰としてこれを運ぶように言われまして。」

「へぇ、授業で寝るなんていい度胸してるじゃない」

「ひっ!!ご、ごめんなさい!!」

「…そこの君」
「なんでしょうか?;風紀委員長」
雲雀さんは何やら通りがかった生徒に声をかけた。そして、あろうことか俺が抱えていた大量のプリントを奪い取った。

「これを代わりに数学教諭へ持って行って。」

「ぇ、えええ!?だ、駄目ですよ雲雀さん!!罪の無い生徒を巻き込んだら!しかもそれ俺の罰ですし;」

「いいんだよ、僕が代わりに罰を与えるから。
…君、いいよね」

「は、はい!!;」

「じゃあ、おいで綱吉」
なんて理不尽な…いや、それは俺かもしれない。

そう思いながらも雲雀の後をついて行くのだった。応接室に通された綱吉は、入口で突っ立ったまま余りの恐ろしさに動けないでいた。
強制的に連れてきた張本人は何やら広いテーブルに準備をしている様だが、大きなソファーの背が手元を隠し何をしているかはよく分からない。

「ぁ、あの雲雀さ「できた。」…ぇっ?」

「綱吉こっち来なよ」
手招きして、ソファーとテーブルがある場所に誘導される。何が待っているのかと身を固めていた綱吉は信じられない光景を目の当たりにした。

「わぁー!!凄い」
「貰ったんだ。」
「え!?こんなにですか?」

そこには、沢山のケーキが並んでいた。
デザインが可愛らしい高そうなケーキばかりだ。

「でも、雲雀さん。これをどうするんですか?」

「僕の近くに」

雲雀はソファーに座ってもっと近くに来るように手招きをする。

「…ここでいいですか?」

綱吉はソファーに座る雲雀の近くまで寄ってきた。

「じゃぁ、ここに座ってよ。」

「…ぇええええ!?///」
だって、だってそこは…
膝の上ってことですかぁ !!!!

雲雀さんは手で自分の膝上を叩いて座れと言う。

「因みに跨がって向かい合わせに座って。そうしないと意味が無いからね。」

「む、向か…合わせ」
嗚呼…雲雀さん、何を言い出すんですか!?
驚きで声が掠れましたよ。

「あぅ、で…でも」

「早くしないと咬み殺すよ。」

「は、はい!!」
って言ったけど、超恥ずかしいんですよ!?
ええい!考えてもやらなきゃ殺られるんだ!
「…失礼します」
こんなときにまで礼儀正しい俺って…。

自分に情けなさを感じながら、雲雀の膝の上に跨がった。恥ずかしくて目を合わせることができないでいると
「はい、綱吉これ持って」

「?」

それは皿にのせられたケーキとフォークだ。
甘党の綱吉にはこの部屋に充満する甘い匂いだけで空腹感が増す。
そして、ジッとケーキを見つめている綱吉に最大の罰が執行された。

「綱吉、それを僕に食べさせて」
「……へ!?」
こ、これは!!;

食べさせる

目を合わせる

むしろその行為が恥ずかしい!!

ってか、お昼食べてなくて空腹

我慢!?

つまりその羞恥プレイと同時に空腹も我慢すると言う罰!?

一瞬にして状況を頭で整理したものの、あまりの恥ずかしさに身体が動かない。
しかし、もう後戻りは出来ないのだ。
綱吉はフォークに一口サイズのケーキを取り雲雀の口元へ運んだ…

どうなる!?俺!!
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