Babyな君
「ところで白蘭、どこのお店に行くの??」
「ンー、ぶらぶら歩いて探す?」
「お腹すいた~、ふふっ楽しみだなぁ」
「………」
っ、綱吉クン可愛いすぎなんだけど!!
ぇ?何この生き物!
ふにふにでふわふわ、さすがミニ綱吉クンGJ!
ニコニコ笑う綱吉の可愛さに目を奪われながら歩いていると、道の曲がり角に差し掛かった瞬間誰かと鉢合わせしてしまったようだ。
突然目の前から現れた人にお互いぶつかりそうになった。
先に声をあげたのは相手の方だ。
「っと…すみませ…!」
「あれ?君…」
「……………何してるんですか?白蘭。」
「ちょ、何!?その会いたくなかった。みたいな顔は!それはこっちも同じだからね!?」
白蘭の目の前に立っていたのは、藍色の髪と左右で瞳の色が違う彼…六道骸。がすっごく嫌そうな顔をして睨んでいた。
だが視線を少し下に移し、白蘭が抱えるものを見た。
「それは?」
「?…あぁ、この子かい?可愛いでしょ!!」
「思いっきり貴方にくっついていて見えないんですけど。」
満面の笑みで自慢してくる白蘭だが、骸に背を向け顔をがっつり密着させている為全く見えない。
そう言えばさっきから一言も話さないし、全く動こうとしない。
まぁ僕としては、そんなにしがみついてくれて嬉しいんだけどね。
白蘭は小声で問いかける
『どうしたの?綱吉クン。』
すると白蘭の方にチラッと視線を向け
『骸にこんな姿見せられないだろ;!?(小声)』
あぁ、そんな…
そんな事より綱吉クンの上目遣い!
慌てる綱吉をよそに、白蘭はその愛らしい仕草に悶えていた。
『白蘭…顔変だよ』
冷めた視線を送りつつ呟くと、綱吉は脇に手を掛けられいつの間にか距離を詰めていた骸に軽々と持ち上げられてしまった。
そしてクルッと骸の方へ向きを変えられる。
「男の子ですか?」
「…;;」
ちょ、捕獲された宇宙人じゃないんだから!!
綱吉は骸によって宙ぶらりん状態。やや自分の目線まで持ち上げられ覗き込む骸を目の前に、目線を合わせないように違う方向に目を泳がせる綱吉。
「ちょっと~骸クン、嫌がってるじゃん」
制止する白蘭だがその相手は全く聞いていない。それどころか、何かに気が付いたかのように呟いた。
「…この子」
「………;」
変な沈黙だけが続く。
そして彼は一番気が付いてほしくない事を口にした。
「綱吉くんに…似てませんか?」
「…っ!!」
「な、なななな何言っちゃってんの!?;綱吉クンなわけないじゃん!!」
「誰も綱吉くんとは言ってないでしょう?;
ところで、名前は?」
「え?」
「『え?』じゃなくて名前ですよ、この子の」
ずいっ!!と白蘭の目の前に綱吉を向ける。
なんてマズイ展開!
さすがに綱吉クンとは言えないし…適当に言っとけばいいかな〜。
白蘭が考え込んでいると何を思ったのか、片手で綱吉の首根っこを掴んで高く持ち上げた。
「白蘭、はい」
「ん?∑!?」
名前を呼ばれた方に目を向けると、それと同時に目の前の彼はあろうことか綱吉を掴んでいた手を離したのだ。
「っ!!綱吉クン!;」
あまりの驚きで動きがスローモーションに見えた。でも僕はバカじゃない、自分でもビックリするくらい体はもう既に動いていて綱吉クンに向け
手を伸ばしていた。スライディングのように勢いよく滑りこみ、そして
ナイスキャッチ!!…………?
と思ったけれど、手にはなんの重みも伝わってこない。
それもその筈…上をチラリと見上げれば不敵な笑みで微笑む骸クン、そして彼に抱き抱えられた綱吉クンの姿があった。
幻覚だ。
やりやがったなナッポー、悪態をつくも手遅れ…僕はめられたよね?
今、詐欺にあった気分だよ。
あったことないけど…
そのまま睨んでやると彼が口をひらいた。
「さぁ、説明してもらいましょうか?"綱吉くん"について」