言葉にのせて
「ツっくーん、起きなさーい」
「う…ん?」
下の階から母の呼ぶ声に深く眠っていた意識は浅い所までやってきた。
ピピピピッ、ピピピピッ
最後は目覚ましで覚醒だ。
「ふぁ~、目覚ましと同時に目が覚めるなんて…今日は何かいい事があるかも?なんてねっ」
結局、昨日の試合は山本のホームランから並中の流れは明らかによくなり相手チームに勝利と言う結果に終わった。
その興奮のせいもあって早く目が覚めたのか…
それとも昨日の帰りに、京子ちゃんが言った一言のせいだろうか。
どちらとも思い出すだけで、心臓はまた鼓動を速めた。
朝食を済ませ、支度をする
「行ってくるね」
リビングに向かって声をかけると、
「気を付けてね。」と母が顔を出した。返事をしていつも通り学校に向かって歩き出す。
ツナは昨日の帰りの事を思い出しながら歩いた。
昨日の帰りは京子ちゃんと2人で帰った。山本はまだ部活でいろいろあるらしかったので、次の日にお祝いの言葉をかける事にしたのだ。
「山本のホームラン凄かったね!!途中までヒヤヒヤしたけど…本当に勝ってよかったよ」
「そうだよね!!ぁ…そう言えばさ、ツナくんが叫んだ時、山本くんこっち向いた
よね?」
「ぇ?///ぁあ、あれはきっと女の子達の声援が凄かったから‥」
本人に確認しない限り、確信などない。
語尾は小さく消えてしまいそうだ。
「私はあの笑顔、ツナくんに向けたと思う」
ツナは伏せていた目を
隣にいる彼女に移した。夕日のせいか、京子ちゃんの瞳は強く輝いて見えた。
「そうだといいな///」
俺が照れくさそうにしていると、隣で京子ちゃんはいつものように微笑んでいた。
―――――――――
学校のチャイムが鳴り、いつも通りに担任が出席簿を片手にやってきた。
「ぉ、今日は二人ともいるな。やっと俺の言ってた事を理解したか、よしよし♪」
先生は俺と山本を見ながらニヤニヤして言った。遅刻しないで来た事が、大分嬉しかった様だ。
(ごめん先生…今日だけだと思う;)
きっとその感動も今日限定だろう。
ツナは心の中で謝るのだった。
先生が出席を取り終わり、入れ替わりで1限目の授業担当の教師が入って来た。ツナは、また退屈な授業が始まる;と大きな溜め息をついて窓の外を眺めた。
――――――――
「…ナ、ツーナ!」
「ん…?」
「ツナ昼だぜ、一緒に飯食わねぇか?」
「!?/////や、山本!!」
どうやら俺は完璧に授業を爆睡していたらしい、全く記憶がない。
誰かに呼ばれて起きてみれば超!!至近距離で山本のアップを拝めた(笑
俺の席と空いていた隣の席をくっ付けて昼食をとる。
「そう言えば、山本昨日のホームラン凄かったね!試合にも勝てたし、おめでとう」
「!!、ありがとな。やっぱりあの声はツナだったよな?」
「ぇっ?」
「『山本、打って!!』ってあの時言ったのツナだよな」
「気付いたの!?」
「勿論♪はじめはツナが笹川と出掛けるって言ってたから、聞き間違いかと思ってさ。でも…やっぱりツナだったのな」
爽やかな笑顔が目の前に広がる。
(??///な、なんでいちいち心拍数があがるの)
天然綱吉は、未だにこの気持ちが何なのか理解出来ずにいた。
「//実は京子ちゃんが昨日、山本が試合にでるから一緒に見に行かない?って誘ってくれて二人で見に行く事にしたんだ。山本に言おうと思ったんだけど、変に緊張させると嫌だから山本に秘密にしてた。ごめんね?」
「そう言う事か。」
山本は疑問に思っていた事がやっと結びつき安堵の表情を浮かべ、小さく呟いた。