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いっかいだけ

「お前よぉ……ちょっとのめり込み過ぎじゃねぇか?……もう金無いだろ」
「い、いや…まだ金なら…………」

図星だった。金なんて無かった。もう払えない…。

「これを機に薬辞めちまえよ。足洗え。……まだ続けるつもりだったら俺様以外を頼れ。ほら、さっさと帰んな。」

追い返されてしまった。普通ならここで自然と辞めるところだろう。しかし、俺は他の薬の売人を探し始めた。「犯罪に「手」を染め、犯罪から「足」を洗う」とはよく言ったものだよな…皮肉たっぷりだ…

「ただいまー…ってあれ?みんなどうしたんだ?え、父さん!?父さんまで何しに来たの!?」

帰るとそこには、スターフォックスメンバーが。初めに口を開いたのは父さん。何を言うのかは大体予想がついた。父さんは驚くほど穏やかな表情で言った。

「…フォックス…父さんは絶対に怒らない。約束するよ。…だから正直に言って欲しい…」



「この注射器と薬はなんだい?」

固まる俺。相変わらず優しい表情の父さん。泣き出しそうなペッピー。少し俯きながらなんとも言えない表情をするスリッピー。驚いた顔をしているファルコ。クリスタルはいなかった。

「お願いフォックス……ちゃんと答えて…父さん怒らない…」
「………なさい………ごめんなさい………」

最初はこれしか言えなかった。何度もごめんなさいと連呼すると、父さんが抱き締めてきて呟いた。

「………通報はしないよ…でもね、約束して?もう絶対お薬使わないって…」

無言で頷く事しか出来なかった。すると、ファルコが俺を背中から抱き締めてきた。

「………馬鹿野郎……なんで…俺よりも……薬が頼りなのかよ……」

と呟き、ファルコは泣き出してしまった。

ペッピーとスリッピーもその上から抱き締めて一緒に泣いてくれた。



みんな……俺、辞めれるかどうかわからないけど…頑張るよ……もう、絶対に薬は使わない…

そう、決めたから。
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