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アイツがいなくなったんだ

次の日見舞いに行くと、フォックスは涙目になりながら俺の腕に抱きついてきた。寂しかったのだろうか?

「おーよしよし。いい子だ」

まるで子供をあやす様になってしまったが、それでもコイツは泣き止んだし、笑ってくれた。…嬉しかった。

「あ、あ……」
「ん?どうした?」

何かを伝えようとしてるのはわかる。だが、何を言ってるのかは全くわからない。

「あり……あと…ありあと…」
「……あり、あと?」

ありあとってなんだ?悩んでいると、そこへ看護師が来た。

「あぁ、フォックスさんね、最近『ありがとう』って言えるようになったんですよ!!」

嬉しそうに頷くフォックス…そっか…ありがとうって言ってくれてたのか…ごめんな…わからなくて…


数週間後

ほとんど毎日、フォックスの見舞いに来てやっている。フォックスは嬉しそうだし、俺も恋人の横に居れて嬉しい。

「ふ、ふ…」
(お、新しい言葉が言えるようになったのか)

「ふ、ふぁるこ……すき…だい、すき…だいすき…!」
「…………んんッ/////」

可愛い。可愛すぎる。可愛すぎて、なんか一周まわって真顔になってしまった。真顔になってる俺を見たフォックスがあたふたしている。

「ふぁるこ……だいすき…?」

俺はそのままフォックスに抱きついてしまった。

「ありがとうな…俺も、大好き。」
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