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アイツがいなくなったんだ

「見舞い…来たぜ…?」

フォックスがゆっくりこっちを見てくる。そして、へにゃっと(?)笑ったんだ。そして、少しオドオドした様子で頭を差し出してきた。……上目遣いをしながら。

「…?」
「……ぅ」

俺は何をすれば良いのかわからなかった。だから、「ごめんな」という意味を込めて頭を撫でた。俺は、コイツの頭が好きなんだ。もふもふしてて(今はしていないが)、暖かい…。

「あぅ!!」
「……嬉しいのか?」

頭を撫でてやったら、コイツはニコニコし始めた。多分、頭を撫でるのが正解だったのかもしれない。

尻尾をパタパタさせるフォックスが可愛くて…ずっと撫で続けてしまった。…もっと見たい…

「フォックスさーん!お昼ご飯の時間だよー」

看護師らしき人が病室内に入ってきた。昼ご飯の時間らしい。フォックスの前に盆が置かれる。

「よく噛んで食べるんだよ?」

看護師が身振り手振りを添えながら、ゆっくり話す。フォックスはこくりと頷くと、昼ご飯を食べ始めた。


昼ご飯の時間が終わって、盆が片付けられるとフォックスは俺の手に擦り寄ってきた。手の匂いを嗅いできたり、手と手を重ねてきたりした。とても可愛い。

面会時間終了になって、帰る時に腕を抜いたらフォックスは涙目になって「あうあう」言い始めた。俺にはわからなかったから、そのまま帰ってしまった。
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