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ジンとウォッカと!

空気が梅雨の気配を纏って重くなる五月中旬、毎年この季節になると思い出すことがある。
「兄貴、今年も行きますかい?あの子の所へ。」
「……あぁ、もうそんな時期か。会いに行かねぇとな…。」
毎年のルーティンだ。近所の花屋で白百合を1輪購入し、愛車を走らせること1時間。東都郊外にある寂れた墓地に着いた。決まった場所に車を停め、決まった墓に訪れる。墓石代わりの小さな地蔵と、花立が1本付いているだけの墓。
「今年も会いに来てやったぞ、愛希……。」
花立に白百合を差し、煙草を線香代わりにふかす。昇る紫煙に過去の記憶を呼び起こしていた。
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