渡邉理佐さん
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私の後輩は少し不思議で
『にっが…』
かっこよく見られたいからという理由だけでコーヒーは必ずブラックで飲んでる。
本当は大の甘党で、美波とか天ちゃんが好んで飲んでたガムシロを目いっぱいいれたコーヒーレベルの甘さにミルク入ってないと飲めないくせに。
小林「侑さ、苦いの苦手ならわざわざ飲まなくて良くない?」
『だめです…かっこいいと思ってもらいたいんですもん』
小林「…理佐に?」
『ブフォォォッ…ッケホッケホッ、、由依さん…、言葉、強い、もっと優しくして、ケホッ』
当たりらしい。うん、まあわかりやすいからみんなわかってるだろうし。
活動を一時期お休みしてた間にもよく会ってた侑は2期生で、年は私より4つ下だけど趣味が合うし何より後輩なのに話しやすいから同期みたいなノリでつい話してしまう。
澤部「有馬の推しメンは…あ、理佐みたいですよ」
渡邉「え〜嬉しい」
『…』
土田「え、顔真っ赤じゃん。理佐とはもう話したの?」
『いえ…まだ』
澤部「目も合わせられてないけど、大丈夫?笑」
『あの、目合わせたら心臓止まります…』
土田「え、理佐はメデューサかなにかなの?」
澤部「理佐はどう?こんな思ってくれる後輩が入ってきてくれて」
渡邉「え〜嬉しいです…し、もっとお話ししたいなって思いました。」
澤部「だって!有馬!話せそう?!」
『…頑張ります』
あんなに緊張しいだったのに、グループ内では意見をはっきり述べてくれるし、いつも冷静に何が最善なのかを常に模索して行動して導いてくれるから本当に年下なのか疑うほどだった。
グループ名が変わって新体制になっても変わらず前向きで活動に精を出してくれて、カップリングではセンターを務めるほど頼もしくなっていった。
小林「…?」
欅の時からずっと不思議だった。誰とでも分け隔てなく話せる侑が理佐とは話さないこと。もちろん推しメンだったということから来る緊張と憧れで話しかけられないのだろうなとは思ってたし、理佐だって人見知りの部類だったし。ただポジションが近くなれば話す機会は必然的に増えるものでどんなメンバーも基本近くのメンバーとはそのシングルの期間は特に距離が縮まる。
侑がセンターを務めるカップリングはMVがあるからより話す機会は多いはずなのになんでだろう…2人が話してるのほとんど見ないんだけど。
『なにしてらっしゃるんですかー』
小林「あ、侑。いや、ぼーっとしてた」
『通常運転ですね〜』
小林「まあね。そういえば理佐とポジション近いじゃん」
『そーなんですよ、もう、緊張で』
侑の真後ろに理佐がいてそれが理由かはわかんないけど緊張でガチガチになってる侑は珍しい。
初期の頃はガッチガチに緊張することもあったけど今はもう、緊張?なにそれ美味しいの?状態でライブにもテレビにも臨むから新鮮すぎる。
小林「理佐とはあんまり話せてない?」
『それは…その…必要なときにはそれなりに…』
小林「…理佐ー」
『ちょ!由依さん!!』
ヘタレな後輩を持つと大変だよ。
『由依さん人の心とかありますか?!!』なんてわーわー喚いてるけど優しさだからこれ。
渡邉「ん〜こばどうしたの〜〜、って侑ちゃんもいんじゃん。お疲れ様〜」
ビシッ『お疲れ様です…っ!!』
組長への挨拶かよ。
渡邉「ふはっ、なにそれ笑そういえば、今回ポジション近いのに侑ちゃん全然話してくれないじゃん。」
理佐にもバレてんじゃん。
侑、目泳ぎすぎ。そんなに泳がせたら黒目が白目から出てっちゃう。
小林「侑緊張してるんだってさ〜」
『由依さん!!!なんてことを!!』
渡邉「え〜?緊張?センターだから?」
それもあると思うけど、何よりあなたの存在がじゃないですかね。うん。
『え、いや、それもあるんですけど…』
渡邉「大丈夫。侑ちゃんいっぱい練習してたの知ってるし。何かあっても私たちが支えるから。」
あ、そんなこと言ったら侑が…
『……プシュー』
渡邉「え、え、え、どうしたの?!」
小林「あー、、多分推しからの激励に胸キュンしてるんだと思う。」
渡邉「ほんとメンバーにガチのファン紛れてるじゃん笑そういうとこも可愛いんだけどね〜」
理佐はほんっとに無自覚に人たらしだからなぁ、侑も大変だわ…心臓いくつあっても理佐には敵わなさそう。
小林「それ意識あるときに言ってあげな。泣いて喜ぶと思うから」
渡邉「ふはっ、そうだね。もうすぐで練習再開するから意識戻してもらわないと侑ちゃーん、起きて〜〜TAKAHIRO先生来るよ〜」
『…っは!!!おはようございまーす!!!…ん??』
武元「ぶはっ、え、急に起きておはようございますは怖すぎる」
小林「侑さぁ?理佐卒業してまあまあ経つじゃん?」
『あー、そうですね〜ほんと卒業するって聞いたとき時よ止まれってガチで願いましたもん』
小林「あー、懐かしい。しかも止める方法が指パッチンなの古典的すぎて意味わかんなかったし。」
『その話はやめてください…』
小林「で、理佐とは進展あったの?」ズイズイ
『それが…その…えっと…どこから話せば』
小林「え、そんな話すことあるの?」
『いや…え、うーん…』
理佐さんが卒業するまでの間、自分の中には大きな葛藤があった。
理佐さんは卒業するから1人の女性として好意を伝えてしまいたいという気持ちと櫻坂のメンバーとしてそれをしてしまうのはルール違反なのではないかという気持ち。
卒業するまでに距離を近づけておきたくて、天の壁と夏鈴の壁とるんの壁を乗り越えなければ辿り着けないけど、そもそも気持ちに迷いがあるからどっちつかずだった。
理佐さんの卒業シングルであり、天のセンター曲である五月雨よは私の思いを体現してるかのようでなんだか感動してしまった。
ーずぶ濡れになってもいい。不安の中飛び出すべきだ。その勇気が僕にあったら雨だってきっと晴れるだろう。
雨は嫌いだ。視野が悪くなるし、服も濡れるし、外は暗くなるし気分も下がる。
だったら晴れにするしかない。声をかけるために飛び出すしかない。
タッタッタッタッタ…!
『理佐さん!!』
渡邉「どぅおわ!!どうしたの侑ちゃん?!」
『理佐さんとお話ししたいです。』
渡邉「ふふ、やっときてくれたね。待ちくたびれたんだけど〜笑」
理佐さんの笑顔が私の不安という大きな雲を一瞬で吹き飛ばした。
『好きです』
渡邉「うん。ありがとう。私も侑ちゃんのこと好きだよ」
今は本気に捉えられなくてもいい。いつかあなたのことを愛していることが伝わればいい。そのいつかのために、今日頑張るんだ。
『はい…!』
小林「ふーん…そんなことが…てかよく隠し通せてたね」
『まあ…』
小林「で、続きは?」
『理佐さん…卒業したらご飯いきましょうよ。』
渡邉「お、いいね〜いこういこう〜。てかさ、今行こうよ。」
『え?』
渡邉「侑ちゃん緊張しすぎなの。このままだと卒コン泣きすぎて出られなくなっちゃうんじゃないかなー?」
『うっ…』
渡邉「よし行くよー」
渡邉「こんなにお話しして、櫻になってからだけどお家行き来したりしてるのにぜんっぜん私に対する免疫できないのほんと不思議だよね」
『だって、綺麗なんですもん。』
渡邉「…それは嬉しいけど、、、なんかいつまで経っても心の距離が縮まってない気がして」
『それは…やっぱりファンなので』
渡邉「ファンの前にメンバーじゃん。ほんとはぎゅーとかしたいのに逃げちゃうし。」
『そんなことされたら心臓止まっちゃいます』
渡邉「大丈夫だから。でもさ、たまに思うんだよね。グループに入る前は誰かに憧れてた私が、こんなに自分のことを好きでいてくれて憧れてくれる子に出逢えたのってすごいことだなって」
『私もこんなに素敵な人に出会えるなんて思ってなかったですよ。しかも、同じ職場で働けるなんて』
渡邉「…卒コン、頼むよ〜?」
『任せてください。理佐さんは最強です。それに最強のグループ櫻坂が後ろについてます。』
渡邉「あー、もう…ズルい。ズルいわ〜…」
『で、その後ライブ終わりにも何度かお泊まりして、、、今は告白のタイミングを見計ってるって感じです。』
小林「…ふーん?今なんじゃない?そのタイミングってやつは。」
『え?』
小林「だってさ、うちら紅白に戻り咲いたし、グループとしても大きく成長した、いや、し続けてるし、これ以上に魅力的なタイミングないと思うよ?」
『た、しかに…?』
小林「うん…行って来な。」
ピコンっ
ー『理佐さん会いたいです。時間あるとき教えてください』
ドキッとする。
好意を寄せてるあなたからのメールはいつも直接的で絶対に隠さずに伝えてくれる。
ー「今日会えるよ。うちにおいで。」
ー『アイス買って行くんですけどいつものでいいですか?』
ー「うん。気をつけて来てね〜」
ボフンっ
ソファに寝そべりクッションに顔を埋める。
あー、遂にあの言葉を言われるのだろうか。
わかりやすいくらいに好きが伝わって来て、ただそれが憧れからくるのか女性として好きだというのかどっちなのかがずっとわからなかった。
だけど、卒コンのあったあの日に伝えられた言葉で「あぁ、私のことちゃんと好きでいてくれたんだな」ってわかった。
『っ…理佐さん』
渡邉「はい…」
『ご卒業おめでとうございます…』
渡邉「ふふっ、ありがとう」
『グループ加入前から憧れていた方と同じグループで活動できて幸せでした。』
渡邉「私も侑ちゃんと活動できて楽しかった。」
『ずっと理佐さんの幸せを願ってます。今までありがとうございました。』
渡邉「ありがとう。侑ちゃんも頑張ってね」
この後ハグをしたときに
『この後非常階段のところで待ってます。』
と囁かれてライブ終わり関係者の方々に挨拶が終わった後急いで向かった。
渡邉「はあっ、はあっ……っ、いた、ごめん遅くなっちゃった。」
『いえ、忙しいのに来てくれてありがとうございます。』
渡邉「ううん、で、どうかしたの?」
『私、もっと理佐さんとお話ししたかったんです。けど、素直になれなくて理佐さんが卒業するってなってからようやく話せるようになれたくらいだし…今だってメンバーにこんなこと聞かれたくないからわざわざ呼び出してるし…』
渡邉「ふふ、でもそれが侑ちゃんらしいところなんじゃないかな?人に話しかけに行くのとかお話しするのって緊張するのわかるし。」
『あの、、これからも理佐さんと仲良くしたいです…』
渡邉「え?」
『あ、いや…その、ただの我儘なので…』
渡邉「ううん、、嬉しくて。ご飯の約束もしてるもんね、行こうね絶対」
『っはい…最後にギューしてもいいですか』
渡邉「え、いいの?」
普段メンバーからのスキンシップは断固拒否で、私も断られたことあるし、卒業メンバーのライブ中に周りに合わせるくらいしかスキンシップしない侑ちゃんがプライベートでこんなこと言うとは。
『理佐さんは特別です…し、その、』
渡邉「…?」
『好きなので…』
渡邉「…!!ふふ、そっか。じゃあギューしても大丈夫だね。はい、おいで」
『…』
懐かしいなぁ…あのときに言われた「好き」は絶対に憧れが主じゃない自信がある。なんやかんやあってちゃんとあの後も交流は続いていて割と頻繁にご飯に行ったり遊びに行ったりしている。
ピーンポーン
あ、きたきた
「はーい、」
『有馬です。』
「開けるね〜」
『理佐さん、こんばんは』
「こんばんは〜」
『アイス今食べますか?』
「うん、食べたい」
いつも私が買うアイスクリームと侑ちゃんがいつも買うアイスクリーム。
覚えといてなんて言ったことないのにいつもアイス買うとき特に指定がないとこれを買ってきてくれる。
『理佐さん今日何してたんですか?』
「お片付けしてたかな〜あとお買い物行って〜お洋服も見てきた〜」
『そうなんですね〜』
「うん。侑ちゃんは?」
『由依さんとお茶してました。』
「お、由依と会ってたんだ。由依元気してる?」
『元気そうでしたよ。理佐さんに会いたいって言ってました』
「そっか〜またご飯にでも行こうかな」
『はい、由依さん喜ぶと思います』
…
たわいない話が続く。
本音を隠した話なんていつまでも保たない。
アイスを食べ終え、ぼーっとしてると沈黙を破り侑ちゃんが話し始める。
『…散歩行きませんか?その、今の時期って夜風が涼しいし』
急な提案に驚きつつも夜のお散歩という楽しげなワードに心がワクワクしてくる。
「いいね、行きたい」
「わー、星綺麗だね〜」
『ですね、都会って星とか見えないと思ってたんですけど意外と見えるもんですよね』
「だね〜」
『私、ずっと理佐さんの背中を追いかけてきて今もずっとそれは変わらないんですけど、いつか理佐さんと横に並びたいって思うようになって。』
「そうなんだ…」
『はい、ずっとただ憧れてるって感じだったんですけど理佐さんが卒業するってなったとき、あぁ…かっこいいなぁ自分も誰かにとってそんな存在になりたいなぁって思うようになって。なんかこう自分をレベルアップするきっかけになった気がします』
「そっか…最近の活躍すごいよね、雑誌の表紙とか見てるよ」
『ありがとうございます…、、理佐さんって優しいし綺麗だし一緒に落ち着くしかっこいいしずっと憧れで、これからもそれは変わらないんだろうなって思います。』
「ふふっ、急にどうしたの?」
『なんか伝えたいなって。そんな理佐さんのことがグループに加入する前からずっと好きだったし、これからもずっと好きなんだろうなって』
「え…?」
『あ、えと、その…へへっ』
「え?どういうこと?」
『理佐さんのことが好きなんです…ただそれだけです』
それ以上何も言わずにただ星空を見上げ続ける。
「私も好きだよ」
『え?』
「ふふっ、侑ちゃんのこと好き。」
くしゃっと笑ったその顔が愛おしくてつい引き寄せてしまう。
鼻と鼻がくっつきそうなくらいの近さになって胸の鼓動が高鳴っているのが自分でもわかる。
「っ…?どうしたの?」
『理佐さん、付き合いたいです。私じゃだめですか?』
想いだけ伝えられればいいと思っていたのに、欲張りになってしまう。好きならば同じ気持ちならば…あなたの隣にいたいです。
「ううん、だめじゃないよ。」
『わっ…!』
ぎゅーっと音がつきそうなくらい抱きしめてくれる理佐さん。
胸がちぎれそうなくらい高揚感で包まれていてたまらなく幸せだ。
「…しあわせだ〜」
『私もです…』
雲に隠れていた月が現れて2人の顔を照らしている。
まるで月にも祝福されているかのように。
「帰ろっか」
『ふふ、はい』
今は繋がれた手を幸せの証としてお家へと帰っていった。
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