光
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『…』
私の真下にはコンクリートの地面が見えている。
今年20だから、まだ享年19歳って書かれるのか。なんてどうでもいいこと思う。
だってもうどうせ死ぬんだし、考えても意味なんてない
「ねーなにしてんのー?」
『…?!』
後ろから声をかけてきた女性。
あまり人気がないからここを選んだのに、どうして?
「危ないよー?あ、もしかして死のうとしてる?」
だったらなんだ。別にいいじゃないか、私の命、私がどうしようってったって。
そんなこと思ってたら、彼女はこちらに近づいてきた。え、は?なにしてんの?
「ねー、死ぬならさ?私のペットにならない?」
『は?』
目の前の女性はなに言ってんだ?
古着、、?みたいな服がよく似合った女性?いやどちらかと言うと中性的な、…よく見ると綺麗な顔立ちしてるのに似つかわしい言葉を並べるその人。
「だからさ?どうせ死ぬんだったら私のペットになったほうが良くない?」
え?頭おかしいの?普通に嫌でしょ。誰かに支配を受けるとか、なに?そういう性癖なの?
「ねー、さっきから黙ったまんまだけどさ、無言は肯定と受け取っちゃいますよー?」
『えっ、、いやです』
「え?なんで?』
なんでって…逆にはい!よろこんで!なんてやつ逆にいないでしょ。頭おかしいの?(n回目)
『いや、だって、、いや、』
ダメだ…なにから言えばいいんだろ…
言いたいこと多すぎてめんどくなってきちゃった
「おーい、?理由がないなら連れて帰るけど」
『え、いや…』
「んー?」
覗き込んでくる彼女。てか、誰なの?
『あの、あなた誰ですか?』
「ここの教授だよー。会ったことないっけ?」
やっとのことで聞き出せたこと。え?教授、、?え、は?嘘じゃん…
そんなやつに「ペットにならない?」とか言われてるの?マジでやばいやつじゃん
「とりあえずさ、話聞くから。おいで、」
怖くないよーって、手を広げて待っている教授(?)
いやいや、行かないから。何歳だと思ってんの。はあ、なんか馬鹿らしくなってきた。てか、なにしにここにきたんだっけ?
『もういいです…帰らせてください』
「えー、ダメ。気になっちゃうんだもん。」
はぁ?なんなんだこいつ…
『いやです。もう疲れました。』
「よし、もうウダウダ言ってないでとりあえず君は今日から私のペット。行くよー」
『え?!ちょっ!!引っ張らないで!!』
「はいはい、いくよー?」なんて言われながら引きずられる私。え、ちょっと待って、マジで嫌なんだけど!!
『でっか…いいとこ住んでるんですね』
「まあね?教授ですから」
ふふん、なんて鼻歌を歌う彼女の後ろについていく。不本意な状況…逃げ出そうと思えば今すぐにでも手を振り払える、そんな状況だけどそうしないのは彼女に何か期待してるからなのかもしれない。
『…うわぁ、、お洒落…』
「えへへ、ありがと〜」
家具の一つ一つが洗練されてて個性的だけど、全てがパズルのピースみたいにピタッとハマった彼女の部屋はレトロな感じが漂っている。彼女の纏う空気感とマッチしているからこういうのが彼女の好みなのだろう。
みたところ塵一つ落ちてない床はツルッツルのピッカピカだ。
とはいえ、
『あの、、帰っていいですか?』
「だめ。ここに住むの」
はあ、、というか、どこの学部の先生なんだろう…今まで会ったことないし…
『先生は何の専攻なんですか?』
「んー?心理学。正確に言えば法律を心理学と合わせて見て、どうやったら効果的な罰則、規則を作り出せるかっていうのを研究してるって感じかな。」
え、もしかしてその感じ…
「だから、一応所属は法学部かな!」
マジか…学部同じなのか、、、てことはもしかして会ったことある?いや、あるはず…
『そうなんですか、誘拐みたいなことして大丈夫なんですか…?』
「んー、まあ良くないことに違いはないんだけど帰んないでよ」
『なんで…』
そこまで私なんかに固執するんだろうか…
なんの価値もないような私にどうしてそこまでしてくれるのか、最悪職を失うんだよ?
「あのさ、私なんかって顔よくするよね。それあんまり脳によくないんだよなぁ、、あ、はっきり言っちゃってごめん。けど、考え方には癖があってね?一回癖がついちゃうとなかなか取れないんだよ〜だからさ、私がその癖を取ろうかなって」
『へ、あ、は?』
途中まで、『おぉ、意外といい人なのか?』なんて思ってたけど撤回。
大真面目な顔してふざけたこと言う彼女はやはりヤバいやつだ。
「ということで、私がいいと思うまで君はここで考え方の癖を矯正するってことで。あーけど!一人暮らししてるかもだし…いきなりっていうのは色々大変だと思うから、あくまでもセカンドハウス…みたく使っちゃって?基本は泊まってもらった方が都合がいいからそうして欲しいんだけど、、まあ帰りたくなっても好きに帰っていいし、ここに戻ってきたくなったらいつでも戻っておいで?」
変な人だ。だけど、なんか「君の場所はここにあるよ」って言ってくれてるようで、少し嬉しかった。
『…考えときます。』
「よし、じゃあ、ご飯食べてお風呂入って寝よっか。」
『…わかりました…その今日は帰る体力残ってないのでお世話になります…』
「うんうん。で、名前なに?」
『ん?』
「ん?」
え、知らなかったの?
『え、知らない人を自分家にあげたんですか?』
「え?うん。そうだよ。名前は?」
『…有馬侑です。先生は?』
「土生瑞穂だよ、よろしくね?」
こうして、土生教授と私のちょっと不思議な共同生活(?)が始まったのだった