渡邉理佐さん
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『え、なんで…』
「ん…?お知り合いですか?」
『あーっと、いえ…。あの、オーロラをください』
どうしてだ…今日ライブで見たはずの私の推しこと渡邉理佐がいた
初ライブ参戦で興奮覚めやらぬとは今の私のようなものだ
少し余韻に浸りたくて滅多に行かないバーに足を運んでみた
お酒は強い方だし、お金にも余裕がある。明日の飛行機もまだ時間があるし、深夜の東京なんてわくわくしないわけない
そんなこんなでバーに来るのは必然だったのかもしれない
個人経営のこのバーは、外観こそ真っ黒でシックな感じだったが、内装はアンティークが飾られていたり、かなり好みに刺さってきた
重厚感のある防炎扉の様なドアを開けると、そんな世界が広がっていたものだから、一目で気に入ってしまった
だがどうだろう
先程までライブの余韻でぼよーんとしていた頭が目の前の渡邉理佐という存在により、どこかピシッと音がした後余韻から戻ってきた様な感覚まである
しかもなんだろう
先ほどから彼女がこちらをチラチラ見ている気がする
私はコミュ障なんだ話しかけてなんてやめてくれよ…いや、けど、話せるなら話してみたいなんて相反する二つの感情の狭間に位置する自分に動揺していた
「あちらのお客様からです」
『え…?』
バーのマスターらしき人からそう言われて差し出されるカクテルの差出人はどうやら彼女の様で
『ありがとうございます、』
渡邉理佐もとい私の推しの方を向きお礼を述べると「いえ…」なんて少し笑みを浮かべながら話し出した。
「今日ライブ来てくれてたよね?」
え、なんで知ってんの…?
「ふふ、ごめんね?席前の方だったから顔見えてた笑笑この後時間ある?」
『…ありますけど』
そんな前だったか…?
「私さ今飲んでるのノンアルなんだ。」
ん?うん、それが一体どうしたというのだろう
「今日ね?車で来てて、一緒にドライブしない?」
は?どーゆうこと?
「ね、いいでしょ?」
悪戯な笑みを浮かべる推しに抗うなんて不可能で
『はい…』
「んー…やっぱりライブ明けは気持ちーなー」
まさかの外車乗りで左ハンドルを事もなく乗りこなす私の推しは控えめに言っても言わなくてもカッコ良すぎる
途中コーヒーを買ってもらっちゃって、飲んでるんだけど私は非常にカフェインに弱い
きっと今夜は眠れない
『どうして声かけてくれたんですか』
ずっと気になってた疑問、どうして私なんかに声をかけてくれたんだろう
「ん?一目惚れしたから…それだけ」
『え…』
目線は前のまま、真剣な顔をしたままそんなことを言う推しは何故か不気味で、いや、不気味というか自分に理解できないことを言っているから怖かっただけなんだけど、どういうことか余計にわからなくなっちゃった
「その、まあ、いいじゃん…とにかくさ、好きなの付き合ってよ。」
うん、流石欅坂のthe coolとまで言われてただけある。言葉は強気なんだけど、対向車のライトで照らされる彼女の顔はほんのり赤くなっている。アルコールは摂取してないからこれはきっと…
「ね、返事は?」
『私でよければ』
「うん。あなたがいい。そういえば名前知らないね、教えて?」
そっか、握手会にもミーグリにも参加してないから認知はないのは当然か
『有馬侑です。』
「そっか。今日はどうしてライブ来てくれたの?」
『たまたまチケット当たって。ちょうど推しメンできてから半年くらいでライブに行きたい欲も高まってて、それで』
「ふーん。推しメンって誰?」
あ、ニヤニヤしてる。わかって聞いてるんだ、なんて趣味の悪い
まあ、そういうところが好きなんだけど
『渡邉理佐さんです。知ってます?』
そうとくればこちらも少しからからかってみよう
「ふふ、うん。知ってる。綺麗だよねあの人」
『はい、ツンデレなのに優しくて気配りできて。あんな人の恋人になれたら幸せですよね』
「……そうだね」
自分から言っといて照れるのは反則だよ
『てか、、どこに行ってるんですか』
「ん?ホテル」
『は?』
「もう子供じゃないんだからわかるでしょ?」
『え』
「明日帰っちゃうんでしょ?」
やっぱり遊びか…まあ、そうだよな。こんな美人が私なんかと…
「だから、一回だけでも繋がりたくて…いつ会えるかわかんないんなら尚更ね。遊びなんかじゃないし、ワンナイトなんてする気さらさらないから。」
『そうなんですね』
「ん…よし、ついた。降りて?」
『渡邉さん…』
「ん、理佐がいい」
『理佐…さん、、』
「ふふっ、うん。侑ちゃん」
軽い啄むだけの口づけから徐々に深くなっていって、どちらの唾液かわからないまでキスをした。
キツく離れない様に華奢なカラダを抱きしめて、抱きしめられて。少しでも好きな気持ちが伝わるように必死だった。
『んっ…ハジメテだから、、』
「え…そうなの?」
『ん…』
「私でよかったの?」
そんな不安そうな目で見つめてこないでほしい。ダメなんて言う奴いないから
『ん…理佐がいい』
「っ…、ごめん優しくできる様に頑張る」
『っあ!』
理佐さんは優しくするとかなんとか言いながら、割と激し目で。絶頂を迎えても何度も何度も求められた。
「っはぁ、侑…」
『り、さ…っ』
『好き』と伝えれば、「愛してる」と返ってきて、『理佐』と呼べば「侑」と返ってくる。
理佐さんから貰う全てが愛おしくて堪らなかった
「…起きた?」
『ん…ぃた…っ』
「大丈夫…?ちょっと待っててね?」
翌朝目を覚めると腰が痛いことに気づいた
よく漫画とかでそういうシーンでこうなるって言ってたけどまさか本当になるとは…
「これ、貼っといたら少しは楽になると思う…」
『ん…ありがとう、ございます』
理佐さんがくれたカイロを貼って、彼女の方を見る
昨夜私は彼女と愛し合った。それは変わらぬ事実。
てかさ、はあ…めっちゃ綺麗だなおい。
ベッドボードについた暖色系の照明に照らされた彼女の顔は今までに見てきた何よりも美しかった
「どうしたの?なんかついてる?」
『あ、や、えっと』
あまりに見すぎてたからそんなこと聞かれちゃった
『綺麗だなって』
「…ありがとう」
きっと言われ慣れてるだろうから、私は自分が言い慣れてない言葉だったが彼女へ伝えた
「もう帰っちゃうんだよね?」
彼女に身体を引き寄せられ抱きしめられつつそんなことを聞かれる。
そうだな、飛行機には今から出ればまだ間に合うのかも知れない。それに、授業も通常運転だ。
夢のような現実は儚い
『そうですね。学校があるので戻らなきゃ』
「……帰ってほしくない。」
『え…?』
今なんて…?
想定外の言葉すぎて聞き返してしまった
「もう少し一緒にいよ?夜絶対に送るし、もちろんチケット代も出すからさ、飛行機夜にずらさない?」
『…全然大丈夫です、だけどチケット代は大丈夫ですから。私も理佐さんともう少し一緒にいたい、、ので…』
「ふふ、ううん。私が払うから。ありがとう、付き合ってくれて」
『そんな、こちらこそです…』
「ん…好き」
そう言いながら額に優しくキスを落としてくれる。
理佐さんのキスって温かくて優しい、まるで人柄が現れてるようで好き
『私も』
「ちゃんと言って?」
『ん、私も…好き』
「ふふ、うん。ありがとう」
『あーゆうナンパよくするんですか?』
「え?しないしない。今回が初めてだよ。緊張したんだからね?笑笑もし受け取ってくれなかったらどうしようって焦ってた笑笑」
『ふーん…そうなんですね』
「んー、信じてなくない?笑笑」
『だって小慣れてたんですもん』
「え?そう?けど、本当に初めてだから。メンバーとかにバレたら恥ずかしすぎる…」
そう言いながら赤面する彼女
あぁ、こんなに甘い時間過ごしてもいいものか
『理佐さん…』
「ん…?どうしたの?」
『目、瞑って…?』
「?うん」
だから堪らなくなって口付けた
「止まれないよ?」
『ん、』
それから私たちは時間が許す限り愛し合った
「連絡先、いくつか教えとくね…その、会えないからさ」
『はい…』
「今何年生?」
『2年生です』
「ふーん、じゃああんまりこっちには来れないか…」
『そうですね』
「ミーグリとか来てね。来たことないよね?」
『ですね、勿論行ける時は行きますよ』
「ん、待ってるからね。よし、着いたよ…」
『…ありがとうございます、んっ』
「外じゃできないからね、ここまででお別れだから…」
少し涙声でそう告げられる。
分かってる、だけどそんな泣かれてしまうとこちらだって寂しくなっちゃうじゃないか
『これ、持っててくれません?』
「え?いいの?」
『はい』
だから、私が小さい時から大事にしていたオパールのペンダントを彼女へ手渡した
どうか忘れないでほしい、なんて少し重いことを考えちゃったけど本当のことだから。
「ありがとう…綺麗だね。これ、誰かからの貰い物…?」
『ん…まあそんなところです。』
本当は亡くなった祖母の形見だ。
こんなこと言うと理佐さんは受け取ってくれないかもしれない、だって重すぎるし。だから、詳細は言わなかった。だけど、理佐さんに持ってて欲しかった。大切な人には自分の大切なものをあげるだなんて今までしたことなかった。どれだけ好きな恋人ができても渡そうなんて考えたことすらなかった。
理佐さんだから、初めてそう思えた相手だったから。
「そっか…大事に持っとくね。時間、大丈夫…?」
『そろそろ出よっかな…色々ありがとうございました…』
「ん…あ、それと昨夜渡したカクテル…」
あれか…すっごい美味しかったけどなんていう名前なんだろう。
実は家でカクテルを作る趣味がある。そんな私だが大抵作るものは同じだから種類には富んでいない。
美味しいなって思った飲み物を何回も作っちゃうタイプだから是非とも名前を聴きたくなった
『ん?あぁ、すっごく美味しかったです。ありがとうございました。あれ、なんていうカクテルですか…?』
「グランドスラム」
『…野球の?』
「ふはっ、ううん、違う笑笑まあいいや、じゃあ元気で、またね」
そう言った理佐さんと私は別れた
君のとの思い出はそう
ー吹き抜ける風がまだ冷たい初夏のことだったー