更新、コメ返、補足はここ
確認用
2024/06/29 01:50移転中につき
追記
ある日突然、彼らが見えるようになったと言えば、誰が信じるでしょうか……
……新手の中二病だと思われること必須。
私がこたつでのほほんとテレビを見て、大口を開けて手を叩きながら、馬鹿みたいに笑っていた時のこと。突然、私とテレビの間を遮るように、目の前を右から左へ通過していった人達がいた。
「……」
黒い胴着袴姿の二人。一人はオレンジ色の髪の男の子、一人は背の低い女の子。
咄嗟に声をあげるなんて、器用な真似はできなかった。ただ、私は笑った時のパカリと開いた口のまま、右から左へ行く二人を黒目だけで追う。
「と待てよ、ルキア。お前さっきからこの辺うろうろうろうろ」
「私のせいではない。だいたい貴様が先ほどこの計器を投げ」
それだけが私の部屋に居る間に二人が発した言葉だった。二人は入ってきたときと同じく、部屋の壁をすり抜けて私の家を出て行った。
「……」
ここは何の変哲もない女性向けアパートの一室。私はそこに独りで住む大学生。
「………」
暫くその場で固まっていたが、おもむろに立ち上がって、彼らが今しがた出て行った方の壁に近づく。そしてその位置を撫でるが、白いそこはいつも通りの壁だった。今度は振り返って、その正面側の入ってきたと思われる方の壁を触るも……壁。
「……………え?」
見間違い、なのかな?
「――ったくよぉ、先々行きやがって。目標が曖昧だからって、他人んち通過すると後ろの奴が困んだろって。」
「…!?」
バッと振り返ると、同じ黒装束の…今度は赤い髪の人が、部屋を横向きに通過していく後ろ姿を見た。隣の部屋から反対隣の部屋へ…
「ちょちょちょちょっと待った待った!!!」
だがしかし、その男は私の声に振り返ることなく、壁をすり抜けて行った。私はまたもやその何の変哲もない壁に手を当てる。
「……えぇ?」
その壁際に座り込んで、呆然と壁を見上げたその時、何かが動くような気配に首を巡らせると、自分の真横に映った……既にまた壁を通り過ぎようとする、白い襟巻がたなびいて…
ガシッ
「!?」
「―――っ、つ」
つ、掴んでしまった…
思わず手を伸ばした、その最後まで残った白い襟巻に。一瞬壁の向こうへ引っ張られたものの、それがスルリと外れることはなく、男とつながった襟巻はピンと張った。
掴める……掴めた。幽霊って掴めるもんだったのか。
私は言い知れぬ感動と達成感に見舞われた。
確かに手にある滑らかな布の感触。それが繋がった先は、壁に身体を沈めたまま立ち止まっていた黒色の胴着袴の男。
私が座ったまま恐る恐る彼を見上げると、その男は凍るように冷めた眼で私を見下ろしていた。
「女、放せ。」
瞬間、素直にパッと手を開く。だってめちゃくちゃ綺麗な顔で、無表情にめちゃくちゃ怖い顔をされた。
それを視認した男はこちらへ一歩足を運び、完全に壁から抜け出た後、呆然と見上げる私を真っ直ぐに見てから、行くはずだった壁の向こうへと視線を投げた。
無言。
「…あ…のー…」
上目使いに言葉を発すると、とりあえずこちらを向いてくれた。どうやら声もきちんと聞こえているらしい。さっきの赤髪の男には無視されたってことか。
だけれど、そのまま彼が眉一つ動かさないので、何と声をかけて良いか分からず、やはり見間違いということにしといた方が良かったのではないかと思った。すごく迷惑そうな顔されたし、彼も何か困っている様子。私も止めたは良いものの、この雰囲気の堅い男にかける言葉が見つからない。
私が少し後悔し始めたその時、彼はフウッと溜息のような息を溢した。
「…しばし待て。」
そう言うと、すっと再び壁に向かって歩き出した。そして壁の向こうへと…私の視界から消えた。
少ししてから私がぐるりと辺りを見回すと、残るのはいつも通りの私の部屋。もう少し経っても、部屋には何も起こらなかった。
……
え、待つの?
あれは夢か、幻覚じゃないのだろうか。
手に残った布の感触。
そしてこの耳の鼓膜を震わせた低い声。
……
待ったら何かが起こるのだろうか、待たなかったら何も起こらないのだろうか………それは楽しい事ですか、楽しい事ですよね。じゃなかったら困るんですけど。もしやお化けと一緒にお化けの世界ですかね、寝ぼけた人ですかね。
……
とりあえず、お風呂入ります。なんか微妙に怖いし。
得体のしれない黒装束の集団。たぶん彼らはお揃いの服だったから仲間なのだろう。
ゆっくりと記憶を辿ると、男の腰にあったのは刀ではなかっただろうか。しかも最後のあの小奇麗な顔の男の人は、あれが世に言う殺気かと思うほどに、冷たく乾いた漆黒の瞳をしていた。そして、あんなに強烈な意志を放つ瞳を見たことがなかった。
だけどもう一度……あの声を聴きたかった。
だって、すごく不思議なことが起こりそうな予感。それは普通の人生ではできない体験を、私にもたらしてくれるような気がする。
私は満面の笑みを浮かべながら、着替えを持って風呂場へ向かった。
=============
突然、死神が見えるようになった主人公。霊感とやらには無縁だった彼女が、空座町と尸魂界で繰り広げられる事件に、自ら勇んで巻き込まれにいく。
空座町では意味もなくルキアと共に一護の押入れの下段で寝起きをするうちに、何が楽しいのか虚でブレーメン的な何かを形成。尸魂界では恋次を土台に朽木家の塀を飛び越えては、白夜に襟首を掴まれて庭の池に投げ棄てられながらも、一角の頭皮をなでて傷心を癒やされて復活。十四郎を小脇に抱えて蘭菊と共にやっほい楽しいやべえを口癖に駆け回るお騒がせ珍道中。これで白夜にオチたらもはや奇跡。
001 お風呂☆ドッキリ
………続かない。
……新手の中二病だと思われること必須。
私がこたつでのほほんとテレビを見て、大口を開けて手を叩きながら、馬鹿みたいに笑っていた時のこと。突然、私とテレビの間を遮るように、目の前を右から左へ通過していった人達がいた。
「……」
黒い胴着袴姿の二人。一人はオレンジ色の髪の男の子、一人は背の低い女の子。
咄嗟に声をあげるなんて、器用な真似はできなかった。ただ、私は笑った時のパカリと開いた口のまま、右から左へ行く二人を黒目だけで追う。
「と待てよ、ルキア。お前さっきからこの辺うろうろうろうろ」
「私のせいではない。だいたい貴様が先ほどこの計器を投げ」
それだけが私の部屋に居る間に二人が発した言葉だった。二人は入ってきたときと同じく、部屋の壁をすり抜けて私の家を出て行った。
「……」
ここは何の変哲もない女性向けアパートの一室。私はそこに独りで住む大学生。
「………」
暫くその場で固まっていたが、おもむろに立ち上がって、彼らが今しがた出て行った方の壁に近づく。そしてその位置を撫でるが、白いそこはいつも通りの壁だった。今度は振り返って、その正面側の入ってきたと思われる方の壁を触るも……壁。
「……………え?」
見間違い、なのかな?
「――ったくよぉ、先々行きやがって。目標が曖昧だからって、他人んち通過すると後ろの奴が困んだろって。」
「…!?」
バッと振り返ると、同じ黒装束の…今度は赤い髪の人が、部屋を横向きに通過していく後ろ姿を見た。隣の部屋から反対隣の部屋へ…
「ちょちょちょちょっと待った待った!!!」
だがしかし、その男は私の声に振り返ることなく、壁をすり抜けて行った。私はまたもやその何の変哲もない壁に手を当てる。
「……えぇ?」
その壁際に座り込んで、呆然と壁を見上げたその時、何かが動くような気配に首を巡らせると、自分の真横に映った……既にまた壁を通り過ぎようとする、白い襟巻がたなびいて…
ガシッ
「!?」
「―――っ、つ」
つ、掴んでしまった…
思わず手を伸ばした、その最後まで残った白い襟巻に。一瞬壁の向こうへ引っ張られたものの、それがスルリと外れることはなく、男とつながった襟巻はピンと張った。
掴める……掴めた。幽霊って掴めるもんだったのか。
私は言い知れぬ感動と達成感に見舞われた。
確かに手にある滑らかな布の感触。それが繋がった先は、壁に身体を沈めたまま立ち止まっていた黒色の胴着袴の男。
私が座ったまま恐る恐る彼を見上げると、その男は凍るように冷めた眼で私を見下ろしていた。
「女、放せ。」
瞬間、素直にパッと手を開く。だってめちゃくちゃ綺麗な顔で、無表情にめちゃくちゃ怖い顔をされた。
それを視認した男はこちらへ一歩足を運び、完全に壁から抜け出た後、呆然と見上げる私を真っ直ぐに見てから、行くはずだった壁の向こうへと視線を投げた。
無言。
「…あ…のー…」
上目使いに言葉を発すると、とりあえずこちらを向いてくれた。どうやら声もきちんと聞こえているらしい。さっきの赤髪の男には無視されたってことか。
だけれど、そのまま彼が眉一つ動かさないので、何と声をかけて良いか分からず、やはり見間違いということにしといた方が良かったのではないかと思った。すごく迷惑そうな顔されたし、彼も何か困っている様子。私も止めたは良いものの、この雰囲気の堅い男にかける言葉が見つからない。
私が少し後悔し始めたその時、彼はフウッと溜息のような息を溢した。
「…しばし待て。」
そう言うと、すっと再び壁に向かって歩き出した。そして壁の向こうへと…私の視界から消えた。
少ししてから私がぐるりと辺りを見回すと、残るのはいつも通りの私の部屋。もう少し経っても、部屋には何も起こらなかった。
……
え、待つの?
あれは夢か、幻覚じゃないのだろうか。
手に残った布の感触。
そしてこの耳の鼓膜を震わせた低い声。
……
待ったら何かが起こるのだろうか、待たなかったら何も起こらないのだろうか………それは楽しい事ですか、楽しい事ですよね。じゃなかったら困るんですけど。もしやお化けと一緒にお化けの世界ですかね、寝ぼけた人ですかね。
……
とりあえず、お風呂入ります。なんか微妙に怖いし。
得体のしれない黒装束の集団。たぶん彼らはお揃いの服だったから仲間なのだろう。
ゆっくりと記憶を辿ると、男の腰にあったのは刀ではなかっただろうか。しかも最後のあの小奇麗な顔の男の人は、あれが世に言う殺気かと思うほどに、冷たく乾いた漆黒の瞳をしていた。そして、あんなに強烈な意志を放つ瞳を見たことがなかった。
だけどもう一度……あの声を聴きたかった。
だって、すごく不思議なことが起こりそうな予感。それは普通の人生ではできない体験を、私にもたらしてくれるような気がする。
私は満面の笑みを浮かべながら、着替えを持って風呂場へ向かった。
=============
突然、死神が見えるようになった主人公。霊感とやらには無縁だった彼女が、空座町と尸魂界で繰り広げられる事件に、自ら勇んで巻き込まれにいく。
空座町では意味もなくルキアと共に一護の押入れの下段で寝起きをするうちに、何が楽しいのか虚でブレーメン的な何かを形成。尸魂界では恋次を土台に朽木家の塀を飛び越えては、白夜に襟首を掴まれて庭の池に投げ棄てられながらも、一角の頭皮をなでて傷心を癒やされて復活。十四郎を小脇に抱えて蘭菊と共にやっほい楽しいやべえを口癖に駆け回るお騒がせ珍道中。これで白夜にオチたらもはや奇跡。
001 お風呂☆ドッキリ
………続かない。