姓は「矢代」で固定
第5話 変若水
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***
山南side
「ヴッ...」
喉が焼ける
味わうこともなく、喉から下っていく熱さ。口に残った苦味を感じた次の瞬間には、えづきそうなほどの不快を感じる。
そして、つづく臓腑の中を何かが這いまわるような気持ちの悪さと、腹の鈍痛に思わず身を屈める。
熱い…
腹に下った焼けるような熱さは、すぐに四肢の先にまで及んだ。
溶け煮だすように、身体を何かがめぐっていた。
全身から汗が吹き出る。
頭も痛い
骨の内側から激しく叩かれているようで、中から何かが吹き出しそうだ
腕が痺れる
遠くに二人の声が聞こえるが、それを聞き、理解することができなくなっていった。耳鳴りがする。
景色に焦点を合わしていられず、視界が揺れ、目の前がチカチカと点滅する。
立っていられず、机に肘をついて前のめりになった。
頭の中がドクドクと脈をうつのに合わせて、視界が点滅しながら暗くなっていく。目を開けて見ているはずなのに、何も見えなくなっていく。
感じることすらも億劫なほどに
眠り半ばの虚ろとは異なる、自分という存在の終わりを感じる。
肉体が壊れ、精神が砂山のように散り散りになる感覚。
灰になって消えた、あるいは、この呪術のもたらす熱に耐えられなかった、数多くの実験体
彼らもこの苦痛の中で、死んでいったのだろう
申し訳ないことをした
道半ばの無念と、解脱への歓びを同時に感じた。
そして消えゆく意識のなかで、平穏な終焉を祈った。
プツンと何かが途切れた
白
全てが消え去っていた。
そして何もなかった真っ白な意識に充満する、 果実のような、花のような匂い。
とても よい 匂い
そして、ゆっくりと頭を上げて感じたのは、明るすぎるくらいに明るい視界。白い世界。
けれど、それを不快にも不思議にも思わなかった。
グルリと眼球が回り、匂いの元を探す。
あまい 匂い
……
みつけた
それは他に例えようのない甘い香り。
それは脳に直接訴えかけてくる、刺激的な香り。
しかし、何か他の臭いが混ざって、本来の香りにはほど遠い。それを隠そうと何かが邪魔をしている。
その ナカに ある
何かに覆われた先のソレ。
薄い膜の内側に充満しているだろうそれを口にしたら、最上の快感を得られることを、本能的に知っていた。
それはきっと舌にまとわりつく程に濃厚で、極上に甘く、官能的な味がするだろう。
喉が 乾いた
ナカの ソレが ほしい
自然と伸びゆく腕。欲しい時は手を伸ばすのだと、身体が覚えていた。
薄い膜を裂いて、剥いて、ソレの豊潤な香りを全身で感じたい。膜を破けば、その蜜は泉のように溢れだしてくるに違いない。舐めて、飲んで、この喉の渇きを潤したい。
けれど、探るように伸ばした両手が、突然に止まる。何かに押さえつけられている。
伸ばす力をより強く込めると、指先が少しだけそれに触れた。首を倒して顔を近づけると、より一層、強く香りを感じられた。
やはり この ナカ
その表面を舌で舐める。膜の外側でさえ感じる、滲むような甘さ。
ぞわりと訪れる、足元から湧きあがるような快感。興奮に追い立てられる。
もっと ナカ が ほしい
牙を立てろと、獣が叫んだ。
「山南さん!」
***
山南side
「ヴッ...」
喉が焼ける
味わうこともなく、喉から下っていく熱さ。口に残った苦味を感じた次の瞬間には、えづきそうなほどの不快を感じる。
そして、つづく臓腑の中を何かが這いまわるような気持ちの悪さと、腹の鈍痛に思わず身を屈める。
熱い…
腹に下った焼けるような熱さは、すぐに四肢の先にまで及んだ。
溶け煮だすように、身体を何かがめぐっていた。
全身から汗が吹き出る。
頭も痛い
骨の内側から激しく叩かれているようで、中から何かが吹き出しそうだ
腕が痺れる
遠くに二人の声が聞こえるが、それを聞き、理解することができなくなっていった。耳鳴りがする。
景色に焦点を合わしていられず、視界が揺れ、目の前がチカチカと点滅する。
立っていられず、机に肘をついて前のめりになった。
頭の中がドクドクと脈をうつのに合わせて、視界が点滅しながら暗くなっていく。目を開けて見ているはずなのに、何も見えなくなっていく。
感じることすらも億劫なほどに
眠り半ばの虚ろとは異なる、自分という存在の終わりを感じる。
肉体が壊れ、精神が砂山のように散り散りになる感覚。
灰になって消えた、あるいは、この呪術のもたらす熱に耐えられなかった、数多くの実験体
彼らもこの苦痛の中で、死んでいったのだろう
申し訳ないことをした
道半ばの無念と、解脱への歓びを同時に感じた。
そして消えゆく意識のなかで、平穏な終焉を祈った。
プツンと何かが途切れた
白
全てが消え去っていた。
そして何もなかった真っ白な意識に充満する、 果実のような、花のような匂い。
とても よい 匂い
そして、ゆっくりと頭を上げて感じたのは、明るすぎるくらいに明るい視界。白い世界。
けれど、それを不快にも不思議にも思わなかった。
グルリと眼球が回り、匂いの元を探す。
あまい 匂い
……
みつけた
それは他に例えようのない甘い香り。
それは脳に直接訴えかけてくる、刺激的な香り。
しかし、何か他の臭いが混ざって、本来の香りにはほど遠い。それを隠そうと何かが邪魔をしている。
その ナカに ある
何かに覆われた先のソレ。
薄い膜の内側に充満しているだろうそれを口にしたら、最上の快感を得られることを、本能的に知っていた。
それはきっと舌にまとわりつく程に濃厚で、極上に甘く、官能的な味がするだろう。
喉が 乾いた
ナカの ソレが ほしい
自然と伸びゆく腕。欲しい時は手を伸ばすのだと、身体が覚えていた。
薄い膜を裂いて、剥いて、ソレの豊潤な香りを全身で感じたい。膜を破けば、その蜜は泉のように溢れだしてくるに違いない。舐めて、飲んで、この喉の渇きを潤したい。
けれど、探るように伸ばした両手が、突然に止まる。何かに押さえつけられている。
伸ばす力をより強く込めると、指先が少しだけそれに触れた。首を倒して顔を近づけると、より一層、強く香りを感じられた。
やはり この ナカ
その表面を舌で舐める。膜の外側でさえ感じる、滲むような甘さ。
ぞわりと訪れる、足元から湧きあがるような快感。興奮に追い立てられる。
もっと ナカ が ほしい
牙を立てろと、獣が叫んだ。
「山南さん!」
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