姓は「矢代」で固定
第3話 暗示
混沌夢主用・名前のみ変更可能
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***
あからさまに不審な表情をした彼女は、もう一度弥月を上から下まで眺めた後、わずかに逡巡してから、再び口を開いた。
「…風間の命(めい)で出された監視か何か?」
「風間…を知らない…」
「…あんた、鬼?」
鬼…
目の前にいる彼女の額に見える、二対の象牙質の突き出たもの。それが彼の言う、角のある『鬼』ということなのだろう。
その時、彼女の言う「風間」が、かつて池田屋で剣を交えた男であることを理解した。
鬼…
「違う…けど、個人的に…千鶴ちゃんの味方でいたいと思ってる」
「――っ、あいつの味方なんて要らない!!」
「ッあ゛っ!」
三度目
頭が一瞬真っ白になったところを、グイと前髪を掴み持ち上げられて、揺れる意識を戻って来させられる。
「…自覚ないだけかな。さっきから妙な気配で、気分悪いんだよね」
彼女が呟くように言ったそれを、私は理解できずに聞いていた。
「あんた、名前なんだっけ」
「ゃしろ、弥月…」
「…いいよ、分かった。お礼に弥月のお願い、聞いてあげる。
僕が福原を殺したんだよ。ただ、それは僕の独断で、土佐の依頼じゃない」
「…!」
情報
「なんなら今回の漏洩だって、僕が君達の方に流したんだから、僕に感謝してほしいくらいだよ」
「あ、なた…」
「薫。僕の名前は、南雲薫。察しの通り、雪村千鶴は僕の双子の妹だよ」
弥月が薄目を開けると、しゃがんで目の前に弥月を掲げていた彼女は、不敵な笑みを浮かべる。
微笑んだ薫の造形は、千鶴が笑んだ時のそれと、ほとんど同じだった。
「はぐれ鬼の君に、本来雪村の頭領たる僕が命令をあげるよ」
それは嬉しそうな声に聞こえた。
「僕が迎えに行くまで、あいつが孤独でいられるように、僕の代わりにいつも見張ってて」
孤独…?
「もちろん、僕の存在は内緒。準備が整い次第迎えに行くから、それまであんたが大事に守るんだ」
髪を掴んでいた手を放されて、べしゃりとその場に頽(くずお)れる。
「…っ」
「それじゃあ、宜しくね。弥月」
弥月は言葉を返す気力も無く、蹲って、彼女が去って行く足音を聞いていた。
***
あからさまに不審な表情をした彼女は、もう一度弥月を上から下まで眺めた後、わずかに逡巡してから、再び口を開いた。
「…風間の命(めい)で出された監視か何か?」
「風間…を知らない…」
「…あんた、鬼?」
鬼…
目の前にいる彼女の額に見える、二対の象牙質の突き出たもの。それが彼の言う、角のある『鬼』ということなのだろう。
その時、彼女の言う「風間」が、かつて池田屋で剣を交えた男であることを理解した。
鬼…
「違う…けど、個人的に…千鶴ちゃんの味方でいたいと思ってる」
「――っ、あいつの味方なんて要らない!!」
「ッあ゛っ!」
三度目
頭が一瞬真っ白になったところを、グイと前髪を掴み持ち上げられて、揺れる意識を戻って来させられる。
「…自覚ないだけかな。さっきから妙な気配で、気分悪いんだよね」
彼女が呟くように言ったそれを、私は理解できずに聞いていた。
「あんた、名前なんだっけ」
「ゃしろ、弥月…」
「…いいよ、分かった。お礼に弥月のお願い、聞いてあげる。
僕が福原を殺したんだよ。ただ、それは僕の独断で、土佐の依頼じゃない」
「…!」
情報
「なんなら今回の漏洩だって、僕が君達の方に流したんだから、僕に感謝してほしいくらいだよ」
「あ、なた…」
「薫。僕の名前は、南雲薫。察しの通り、雪村千鶴は僕の双子の妹だよ」
弥月が薄目を開けると、しゃがんで目の前に弥月を掲げていた彼女は、不敵な笑みを浮かべる。
微笑んだ薫の造形は、千鶴が笑んだ時のそれと、ほとんど同じだった。
「はぐれ鬼の君に、本来雪村の頭領たる僕が命令をあげるよ」
それは嬉しそうな声に聞こえた。
「僕が迎えに行くまで、あいつが孤独でいられるように、僕の代わりにいつも見張ってて」
孤独…?
「もちろん、僕の存在は内緒。準備が整い次第迎えに行くから、それまであんたが大事に守るんだ」
髪を掴んでいた手を放されて、べしゃりとその場に頽(くずお)れる。
「…っ」
「それじゃあ、宜しくね。弥月」
弥月は言葉を返す気力も無く、蹲って、彼女が去って行く足音を聞いていた。
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