姓は「矢代」で固定
第六話 新たな出会い
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沖田side
夕餉の席、土方は視線だけで、沖田と斎藤に後で部屋に来るよう合図をした。
僕ら二人が内々に呼ばれるということは、少なくとも明るい話題でないのは言わずもがな。
四半時ばかりしてから、土方さんの部屋の障子を無断で開けると、すでにはじめ君は部屋の隅に座していて。遅いと咎めるような視線をこちらへ向けた。
僕ははじめ君のそれには僅かに口の端を上げるだけして、腰の刀を胸に抱えるように座して、障子の縁に背を預ける。
沖田が一呼吸置いたのち、土方は口火を切った。
「どう思う」
「どうって…あの子のこと?」
今日の今日で、話題はそれ以外に無いとは思うけれど。
命じる訳ではなく、わざわざ僕たちだけを呼び出して意見を求めるのだから、平助や新八さんの言うような楽観的な意見ではなく、悪い方の意見を聞きたいのだろう。
そこまでを察したけれど、彼女も「保護」するらしい慈悲深い土方さんへ、揶揄い混じりに言葉を向ける。
「可愛いんじゃない。僕は嫌いじゃないけどなぁ」
一瞬の間の後、土方は溜息交じりに言った。
「そういう話をしてんじゃねえよ。綱道さんを捜しに京の都にやってきて、その日の内にうちの“隊士”に襲われた……偶然にしちゃ、少し出来過ぎじゃねえか」
「副長は、彼女が新選組の秘密を探るために、敢えて襲われたと」
至って真面目な様子で言うはじめ君に、反射的に「まさか」と僕は応じる。
「あいつなら兎も角、あの子にそんなお芝居ができるとは思えないけどな」
「…全く、同じ前例がいるなんてな。ややこしい事この上ねぇ」
「しかし、偶然に鉢合わせたと言う矢代よりも、あの娘の方は自ら『綱道』に関わっていると明示した分、意図的に俺達に近づくつもりだったとも考えられます」
「はじめ君は、贔屓目入り過ぎじゃない?」
「…俺は事実を述べたまでだ」
土方さんは腕組をして思案しているようだった。
「で、どうするんです、土方さん。あの二人を一緒にして、何か変な事でも企んだら」
「それは山南さんの提案だからな。俺も色々言ってはみたが、のらりくらりと躱されて、近藤さんもそれに賛同しちまうし……俺はできれば矢代は他所にやりたいんだよ」
あぁ、なるほど。あの人選はそういうことね
断固として土方は反対したであろうに、無理に山南と近藤がそうした理由を、沖田は思い当たって納得する。
少なくともアレと一緒にしておけば、この男所帯でも、あの娘に女子としての身の危険が及ぶことはないだろう。たぶん。
「一先ず、年が明けたら家茂公が上京するからな。俺は数日中に山南さんと大阪へ出かける。それに矢代も同行させるから、その間のことはお前らに任せる。
あの女、しっかり見張っとけ」
「何かあったら殺しても良いってことですか?」
「拘束して、まず近藤さんへ挙げろ。だが…」
そこで言葉を切った土方は、潜めるように低い声で続けた。
「…最悪の場合、な」