姓は「矢代」で固定
第三話 救われるもの
混沌夢主用・名前のみ変更可能
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***
弥月side
「はい?」
耳が悪くなったのだろうか。あり得ない言葉が聞こえましたけども。
「本気ですか? ……冗談!?」
半笑いでハハハッと息を溢して、命令を下した山南さんではなく、横の土方さんを見るが、彼は『俺は知らない』とでも言いたげに視線を逸らしている。
山南は求められてもいないのに、眼鏡の向こうからニコり笑顔を向けた。
「え、マジでもう一回するんですか?」
「はい、先日の件は、君は初めての任務でしたし、失敗についてはこちらも想定の範囲内と言えます。最後の最後で失敗はしましたが、それまでは順調だったようですし、監察の仕事のいろはを理解することはできたでしょう。
次の任務はまた決まり次第指示しますが、潜入捜査などをお願いしようかと考えています。潜入は潜伏と違って、対人関係能力を要します。もしかしたら君にはこちらの方が向いているかもしれません。挑戦してはみませんか?」
『いろは』どころか、一足飛びに『ん』まで体験しちゃった気分なんですけど。
…しかも、なんで命令じゃなくて勧誘なんですか
これは、『嫌です』と言っても良いよ、と言う事なのだろうか。
それにしては、何この山南さんから発せられる断ることを許されない空気。私だってこのヤバい空気は読めるよ、日本人18年目だからさ…
私の特殊な事情を全て知った山南さんなら、何か妙案を出してくれるかと思ったが、出してきた提案が妙過ぎて、意図を理解できなかった。
だって皆が「向いていない」と連呼するし、初回から失敗したし、絶対に次は無いと思っていたのに。だから平隊士降格とか、巡察補充用員に戻るのだと思っていたのに。
……
だかしかし、そのすべてを知っている山南さんからの提案だからこそ、応えられる言葉はただ一つ。
「了解です。一生懸命………いや、命は懸けないけど頑張ります」
「はい、頑張ってください。期待していますよ。次の任務までは私の所で、小姓の代わりをして頂けると助かります」
「掃除とか掃除とか掃除ですよね。あ、墨擦るのは大分得意になりました」
「それは助かります。それでは…土方君、何か他にお伝えしておくことはありますか?」
土方さんに膝ごと向き直る。
やはり機嫌が悪いのか、初っ端に「向う半年の減俸だ」と言った以外、ほぼ無言だった。
「…次はねぇ」
端的に述べられた、それ。
ど…どういう意味ですかね、とまでは訊かずとも察するわけで、なんとか顔に作り笑いをのせて返事をした。
弥月side
「はい?」
耳が悪くなったのだろうか。あり得ない言葉が聞こえましたけども。
「本気ですか? ……冗談!?」
半笑いでハハハッと息を溢して、命令を下した山南さんではなく、横の土方さんを見るが、彼は『俺は知らない』とでも言いたげに視線を逸らしている。
山南は求められてもいないのに、眼鏡の向こうからニコり笑顔を向けた。
「え、マジでもう一回するんですか?」
「はい、先日の件は、君は初めての任務でしたし、失敗についてはこちらも想定の範囲内と言えます。最後の最後で失敗はしましたが、それまでは順調だったようですし、監察の仕事のいろはを理解することはできたでしょう。
次の任務はまた決まり次第指示しますが、潜入捜査などをお願いしようかと考えています。潜入は潜伏と違って、対人関係能力を要します。もしかしたら君にはこちらの方が向いているかもしれません。挑戦してはみませんか?」
『いろは』どころか、一足飛びに『ん』まで体験しちゃった気分なんですけど。
…しかも、なんで命令じゃなくて勧誘なんですか
これは、『嫌です』と言っても良いよ、と言う事なのだろうか。
それにしては、何この山南さんから発せられる断ることを許されない空気。私だってこのヤバい空気は読めるよ、日本人18年目だからさ…
私の特殊な事情を全て知った山南さんなら、何か妙案を出してくれるかと思ったが、出してきた提案が妙過ぎて、意図を理解できなかった。
だって皆が「向いていない」と連呼するし、初回から失敗したし、絶対に次は無いと思っていたのに。だから平隊士降格とか、巡察補充用員に戻るのだと思っていたのに。
……
だかしかし、そのすべてを知っている山南さんからの提案だからこそ、応えられる言葉はただ一つ。
「了解です。一生懸命………いや、命は懸けないけど頑張ります」
「はい、頑張ってください。期待していますよ。次の任務までは私の所で、小姓の代わりをして頂けると助かります」
「掃除とか掃除とか掃除ですよね。あ、墨擦るのは大分得意になりました」
「それは助かります。それでは…土方君、何か他にお伝えしておくことはありますか?」
土方さんに膝ごと向き直る。
やはり機嫌が悪いのか、初っ端に「向う半年の減俸だ」と言った以外、ほぼ無言だった。
「…次はねぇ」
端的に述べられた、それ。
ど…どういう意味ですかね、とまでは訊かずとも察するわけで、なんとか顔に作り笑いをのせて返事をした。