姓は「矢代」で固定
第十話 池田屋事件
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***
山崎と雪村を送り出して、山南は表情を歪めて歯噛みする。
「まさか、弥月君が行った方が…」
ガリッと左腕の皮膚を掻いた。
最初は桂という男の情報から、本命は池田屋かもしれないと考えた。
けれど、彼女が池田屋を推したことと、そちらへ派遣されたときに眉一つ動かさず了承したことに違和感を感じた。彼女ならば、戦闘になる方…危険な方には行かないだろうと。
だから、彼女の部屋まで様子を見に行った。
そこで彼女が走ること…つまり『監察として働くこと』を想定して、『鎖帷子を着ないこと』が、戦闘がないことを示唆してるのだと思った。彼女が行く方…池田屋は、本命ではないと見切りをつけた。
「…やってくれますね」
本当に、本命が池田屋とは知らなくて、そうしたのならば可愛気があるし、不憫にすら思えるが。
彼女は少なくとも、『新選組にとって存続に関わる大局ではないこと』、『屯所に何も起こらないこと』は確実に知っていた。
そして恐らく、「桂」が何かを成す……歴史に名を残す人物と知っているのだ。
そこから、元々知っていたにしろ、元々は知らなかったにしろ、“今日の本命は池田屋”だと判断できるだけの材料を、彼女は持っていたはずだ。それどころか、池田屋と分かっていたはずだ。
裏をかいたつもりで、してやられたらしい。
私が信頼してるのは、彼女の途中で投げ出さない性格……それは“隊士として働くこと”でもあるが……彼女にとっては“自分が死なないこと”、“未来を改変しないこと”の二つの方がより大きいと思っていたのだが…
「案外、流されやすいんですよね」
好く言えば、情にもろいという事なのだが…それでは困る。そのせいで、十分に懐いてはいるのに、考えが流動的すぎて、巧く掌で転がすのが難しいのだ。
…教えてくれるなら、もうちょっと分かりやすく言ってもらえると助かるのですがね
私の左腕の代わりは、有能な割に、思っているほどに思い通りには動いてくれない。
山南は大きな傷跡の残る、言う事をきかない、まるで他人の腕のようなそれを、じっと見つめていた。
***
山崎と雪村を送り出して、山南は表情を歪めて歯噛みする。
「まさか、弥月君が行った方が…」
ガリッと左腕の皮膚を掻いた。
最初は桂という男の情報から、本命は池田屋かもしれないと考えた。
けれど、彼女が池田屋を推したことと、そちらへ派遣されたときに眉一つ動かさず了承したことに違和感を感じた。彼女ならば、戦闘になる方…危険な方には行かないだろうと。
だから、彼女の部屋まで様子を見に行った。
そこで彼女が走ること…つまり『監察として働くこと』を想定して、『鎖帷子を着ないこと』が、戦闘がないことを示唆してるのだと思った。彼女が行く方…池田屋は、本命ではないと見切りをつけた。
「…やってくれますね」
本当に、本命が池田屋とは知らなくて、そうしたのならば可愛気があるし、不憫にすら思えるが。
彼女は少なくとも、『新選組にとって存続に関わる大局ではないこと』、『屯所に何も起こらないこと』は確実に知っていた。
そして恐らく、「桂」が何かを成す……歴史に名を残す人物と知っているのだ。
そこから、元々知っていたにしろ、元々は知らなかったにしろ、“今日の本命は池田屋”だと判断できるだけの材料を、彼女は持っていたはずだ。それどころか、池田屋と分かっていたはずだ。
裏をかいたつもりで、してやられたらしい。
私が信頼してるのは、彼女の途中で投げ出さない性格……それは“隊士として働くこと”でもあるが……彼女にとっては“自分が死なないこと”、“未来を改変しないこと”の二つの方がより大きいと思っていたのだが…
「案外、流されやすいんですよね」
好く言えば、情にもろいという事なのだが…それでは困る。そのせいで、十分に懐いてはいるのに、考えが流動的すぎて、巧く掌で転がすのが難しいのだ。
…教えてくれるなら、もうちょっと分かりやすく言ってもらえると助かるのですがね
私の左腕の代わりは、有能な割に、思っているほどに思い通りには動いてくれない。
山南は大きな傷跡の残る、言う事をきかない、まるで他人の腕のようなそれを、じっと見つめていた。
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