姓は「矢代」で固定
第2話 真偽のみかた
混沌夢主用・名前のみ変更可能
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シン…と静まり返る室内。
「…お前、今の話聞いてたか」
「すみません、ここはどこですか…?」
「…」
「さっきの京って言うのは、市外のこととかですよね?私、京都の東本願寺の近くにいて。ここは…」
ダンッ
「話を聞いてたかって訊いてんだよ!!」
ビクッと弥月の肩が震える。
怒り声に、弥月は自分の置かれている状況を思い出した。細められた紫紺の瞳が、初めて恐ろしく感じられた。
「…う、あ…」
男は床に立てた鞘を横向きにし、柄に手をかける。
「もう一度問う。話を聞いてたか?」
喉が震えるのが分かったが、答えなければ、と自分に言い聞かせる。
「…聞いて、いませんでした…申し訳ありません…」
床に手をついて深々と頭を下げる。
ドクンドクン
落ち着け
息が不規則に乱れていた。
この身に言葉も刃もまだ降りかかっては来ないのを感じながら、何度も繰り返し「落ち着け」と唱える。
木の板目に視線をやると、それが道場のと似た感覚がした。ほんの幾ばくかの時間を経て、少しだけ頭が冷えた。姿勢を正してゆっくりと呼吸する。
落ち着け…今はこの場を何とかしなきゃ…
弥月が視線を上げるのを待ってから。男は大きく溜め息をついて、見下すように彼女を見た。
「まどろっこしいのは止めだ。単刀直入に聞く。
てめえは昨日、隊士が浪士を斬り殺すのを見たな?」
「…」
今度はきちんと聞いていた。
“タイシがロウシを殺すのを見たか”
彼らの口調から「見た」ことが不都合なのだとしたら、半ば肯定済みの問いに安直に頷くのではなく、はっきりさせた方が良いだろう。
けれど、既に暗黙の了解みたいになっているようだが、意味の分からない事が多すぎる。
「“タイシ”と“ロウシ”はそこにいる彼の名前と、昨日の白髪の男の名前で間違いないですか。
それとも“ロウシ”は袈裟懸けにされた女性で、“タイシ”が白髪の男の名前ですか?」