姓は「矢代」で固定
第2話 真偽のみかた
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夜が明けるとすぐに、足の縄を解かれて「ついてこい」と屋敷の中へと導かれた。
今、私は板の間の広間で男たちに囲まれて、そのど真ん中に座るよう指示された。
昨日は手足を縛られて、そのまま物置小屋に転がされたので、痛いし、汚いし、暑いし、碌な考えは浮かばなかった。
そんな風に怯えて夜を明かし、殊勝にしなければという気持ちにはなったのだが。それとは裏腹に、現状、お腹は空いたし、眠たいし、すこぶる機嫌が悪いことを自覚していた。
あー…状況も気分も最悪…
「おはよう。昨日はよく眠れた?」
私が部屋に入ってくるなり声をかけてきたのは、昨日の二番目に現れた青年。帰り際に「ソウジ」と呼ばれていた。
昨晩、これでもかと言う程に縄をきつく縛り上げた張本人が、眠れたかどうか問いかけるものだから、その言葉に胸がモヤリとする。
「…そうですね、お陰さまでとてもよく眠れました。あなたも縛られてみると良いと思います」
今できうる最大級の笑顔を付けて返してやったが、絶対に目は笑っていなかった。
その反応が意外だったのか、男はきょとんという顔してから、ニヤリと不敵な笑いを浮かべる。
座りきる前に、さっと全体を見渡すと、値踏みするような視線があちこちからあった。けれど、弥月の予想に反して、会する一同の年齢は若い。
20から40歳くらいかな…
弥月が大人しく座ったのを見計らったように、一際若い声が上がる。
「で、そいつが目撃者?まだ小さいし細いし、全然餓鬼じゃん」
若草色の袖のない着物を、同心のように着こなした少年だった。
「餓鬼とかお前が言うなよ、平助」
「だな。世間からすりゃお前もこいつも似たようなもんだろ」
…うん、私も思った
少年の左右に座った、ガタイの良い男達からの突っ込みに弥月は思わず、うんと頷く。
「煩いな!おじさん二人は黙ってなよ! お前も!どうせ年下だろ!」
答えを求められているらしい。状況的には、餓鬼のほうが見逃してもらえそうで都合がよいけれど。鞄の中に生年月日が入った学生証があった気がするから、嘘をつくだけ心証が悪い。
「…17」
「ほらな!俺の方が年上だし!全然、餓鬼じゃん!」
…いや、見えないし
なぜか勝ち誇ったようなその様子をシラーッとした目で見ていると、上座の右側に座っていた眼鏡の男性が話しかけてきた。
「口さがない人たちばかりで申し訳ありませんね。あまり怖がらないで下さいね」
「あぁ、いえ、お構い無く」
ごく普通の謝罪に、反射的に弥月がごく普通にしれっと答えると、彼はなぜか苦笑いをする。