姓は「矢代」で固定
第1話 正義のみかた
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死んだ
感慨も何もなく、ただそう思った。
しかし、ハッと我に返って顔をあげる。
今まで男が立っていたすぐ後ろに、別の人間がいた。
だが夜道が暗くて顔は見えない。
いや、彼が全体的に黒くて見えにくいだけか。
ただ目に飛び込んだのは、彼が手にしている、液体が滴り落ちて鈍く光る刃。
「ああ、それでか」と、先程の出来事を反芻する。
それでも何も言葉は出てこなかった。
抜き身を戻すことなく、目の前の人は言った。
「貴様、なにゆえこのような所にいる。」
少年…いや青年の声。
声が若いことに少し驚いたのだが、今度は会話が成り立ちそうなことに一先ず安心する。
そして落ち着いて青年の言葉を咀嚼した。
なにゆえ……何故だろう、寧ろ私が知りたい。
…そういえば、ここ、どこ?
改めて辺りを見回すと、恐らく家屋と家屋の間であろう此処は、やはり全く見に覚えのない場所だった。
先ほど女が切られていた大通りは、奥京都のような軒並みに見える。
しかしここが何処で、私が何故ここにいるかなど分からなかった。
仕方がないので、首を捻って「ここはどこですか」と、先の人物へ疑問を口に開こうとすると、
「あーあ、はじめくん。仕事早いんだから。」
もう一人青年が現れた。
こちらも抜き身を持っている。
滴っている黒いものが何かなど、考えるまでもないのだろう。
彼は男の骸に目をやってから、今気づいたように私を見る。
「何、この子? 見られちゃったの?」
「そのようだ。」
…あ、ヤバそう。
雲行きが一気に怪しくなったのを感じて、弥月は半足下がる。
見ちゃだめだった…?
…そりゃあ、間違いなく殺人事件だもんね!
兎に角、本格的に彼らが自分を捕まえる気になってからじゃ逃げられない。
…つまり、五体満足で解放されることは無い気がする。
二人が何やら揉めるように顔を突き合わせている間に、逃げた方が良いかもしれない。
コンクリ漬けにされて、大阪湾…とか、死んでも嫌だ!!
あと一歩下がったら走り出そう。
そう決めて、更に半足引いたところで、首筋に冷たい物が当たる。
「逃げるな。」
ビクッと肩が震え、生唾を飲み込む。
これって…
…死亡フラグ…ってやつですか?