姓は「矢代」で固定
第3話 日陰者
混沌夢主用・名前のみ変更可能
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水は桶1杯しか貰えなかったから、それで体を拭いて洗濯する。この状況でそれ以上ややこしいことは言ってられない。
途中「良ければ…」と、朱色の半液状のものを戸の隙間から渡されたが、使い方が分からないのでとりあえず諦めた。
さて。さっぱりしたことですし、作業しますか
襦袢までを着終わったが、まだ終わったとは戸の外に言っていない。
そして筆箱より取出だしたる鋏。これが刃物だと思わなかったのか、刃物とみなされなかったのか、荷物検査の後も没収されなかった。刃渡り3cm・全長7cmほどの収納するタイプの携帯用ハサミだ。
それと…もったいないけど…
フェイスタオルは他にもっと何か使えるかもしれないから置いておきたい。ならば制服のカッターシャツ。
下手に布をもらうより、ある物を使った方が怪しまれないで済む。
コナ〇君の知識を実践してみることにしたのだ。
彼は包帯をつくるなら、布を互い違いに切れと言っていた。
「ふふふふん・ふん・ふん・ふん、ふふふふん・ふん・ふん・ふん、ふふふふふふふん・ふん・ふん♪」
ご機嫌だから歌っているんじゃないから! これも作戦のうち!
シャキ「ふ・ふ・ふふん、ふ・ふ・ふふん、ふ・ふ・ふ・ふ・ふふふふふん♪」パシャ
シャキ、シャキ「ふ・ふ・ふふん、ふ・ふ・ふ・ふ、ふ・ふ・ふん♪」パシャパシャ
ハサミの音を、鼻歌と、桶に片足を突っ込んでかき回す水音で誤魔化す。
わたし、超、冴えてる!!
「…おーしまいっと。さいとうさーん、終わりました~」
長い布を作り上げ、着物を着終わってから、何食わぬ顔で戸を開く。
これを使うのは明日からでもまぁ大丈夫だろう。
「…時間がかかっていたな。」
「そうですか? 髪長いから時間かかるんですよね」
「…そうか髪を洗ってたのか。それは難儀だな」
彼が少し意外そうな顔をした意味が分からず、弥月は首を傾げた。
「…? はい、まあそうですね。桶は水こぼれるし大変でした」
この時は知らなかったが、この時代、髪を洗うのは月に数えるほどらしい。弥月はそれを知った後も、彼らが奇妙な目を剥けるのも構わず、当然のように夏の間は毎日のように髪を洗った。
そして「椿油とかほしい」と土方さん宛に所望して怒られるのは、もう少し後の話。