姓は「矢代」で固定
第3話 日陰者
混沌夢主用・名前のみ変更可能
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軟禁生活始まって、早くも2日目です。
昨日は大人しく、部屋に来た平助とか新八さん、左之さんと話をしたり、筋トレしたりで満足していました。それにやけに眠たくて…一昨日寝れていなかったのと、時差ボケだと思うけれど。夕方から朝までぐっすりでした。
そして今日、あることに気付きました。
「お風呂入りたい」
「風呂?」
「夏だし、暑いし。この要望、疑問に思う所はないと思うんですけど」
「行水ではなくか?」
「…行水って、カラスがするアレですか?」
「…烏と同じかは別として、水浴びのことだが」
「あー、うん。暑いし、それでもいいかも」
斉藤さんにお願いしました。
…
………
「…うん、まぁ…こうなるよね」
目の前には、水を張った桶と手ぬぐい。
「すまぬな、見張っている状態での行水も進言したのだが、これで十分だろうと」
「…うーん…うん。いい。いいです、これで」
行水を見張られる訳にもいかないので、寧ろこうなったのは有難かった。
ってか、私いつまで黙ってるつもりだろう……いや、だって、別に、女って言ったからって言っても、待遇良くなるとか思えないし…
…寧ろ慰み物にとかなったら笑えないし……いや、あっちもこっちもそんな出てないから止めといた方が…
「それと、これを」
「え?…あ、着物!すみません、ありがとうございます!」
「大事ない」
制服に着替えようかと思っていたから助かった。それでも構わないっちゃ構わないが、動くのにも横になるにも窮屈なのは頂けない。
だが、
「これは…」
ながーい白い布。三、四寸幅くらいの頑丈そうな布が別にあるから、これは帯ではないだろう。
…巻き方を聞くのも憚(はばか)られるけど……実演して教えて貰うしかないのか…?
せめて手術の時に使う、T字帯のようなものだったら弥月にも扱えたのだろうが。不幸にもここは武士の集団。普段自分たちが使っているものを渡したのだ。
袴だったら下着なくても良かったんだけど…
彼に渡されたのは、夏物の黒い着物と襦袢一枚。
袴ならば、そういう着方があるとも知っていたため、「背に腹は」とも思えたけれど、さすがにこれは…
「あの…」
***
この布は六尺褌₍ふんどし₎という名だそうだ。
ジャージの上から大体の巻き方を教えて貰って事無きを得た。親切丁寧な説明の途中に二三、乙女だったら色々問題がありそうな場面にも出くわしたが、あの程度なら何とかなった。
立てつけの悪い戸を閉めながら「覗かないでくださいね」と冗談めかして言うと、「そのような趣味はない」と真面目に返された。
斎藤さんって笑ったりするのかな?
全く笑わない訳はないのだろうけれど、底の見えない漆黒の瞳と目が合うと、ついそんなことを考えてしまう。しかし、髪は不思議な紫紺色をしていて、とても好きな色だ。日に透かしてみたら、きっともっと綺麗なんだろうなと想像した。
歳は五つくらい上ではないだろうか。物静かな長兄と雰囲気が似ている。もしかしたら、好きなものにはこだわりが強い性格かもしれない。
…にしても、さっきの心底驚きましたって顔は面白かったな…
笑いをかみ殺しつつ、水に浸した手ぬぐいを絞る。
「これ褌ですか?」と訊いた時、言葉は発せずとも「え?」というのが顔に出ていた。
それはほんの僅かな機微だったが、無表情の中の瞠目を弥月は見逃さなかった。
外に出ないだけで、感情は豊かな人なのかも
パシャ
「斎藤さんって、その首巻、暑くないんですか?」
戸の向こうで座っているだろう彼に声を掛ける。
昨日の昼から見張りに就いている彼とは、こちらから話しかけないと会話がない。だけど、ちゃんと話を聴いてくれるし、必要なことは言ったり黙ってしてくれたりする。
「心頭滅却すれば火もまた涼しという」
…
パシャ
「…暑いんですね」
「…まだ俺の精進が足りないだけだ」
彼はきっと感情豊かで、面白い人