姓は「矢代」で固定
第1話 正義のみかた
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ガキンッ
「くっ…」
咄嗟に右手にあった太刀で、なんとか斬撃を頭上で受ける。
鞘がついたままの刀身を両手で支えた。
!?
おっも!なんっつー馬鹿力!!
男は奇妙な笑いをしながら、尚も圧しきろうと力を入れてくる。
普段から体を鍛えていて、決して力は弱くない弥月だったが、歯を食いしばって受け止める腕がカタカタと震え、確実に押し負けている。
このままじゃ…!
跪座の姿勢では腕でしか刀を支えられない。
弥月は足に渾身の力を入れ、なんとか膝を立て片方の踵を地に付ける。
小石が裸足に食い込むが、反対の膝も地面から浮いた。
「――っぅらぁ!!」
身体を退きながら、無理やり圧し返して立ち上がる。
その勢いで数歩下がった。
避けきれなかった刃の切っ先が腹部を縦に裂くのは分かったが、痛みを感じている余裕などない。
男が態勢を立て直す前に、両手で太刀を正面に構える。
鞘は抜かない。
ちょっと落ち着いて…
…って言ったところで、話が通じる相手には見えないよね。
でも、力では勝てない。
速さも尋常じゃない。
…なのに動作は緩慢な時がある。
…なら…!
考えること、コンマ数秒。
矢代は地面を力強く蹴った。重心を低くして、突きの姿勢をとる。
相対する男は隙だらけだった。
…いける!
ドッ
黒漆の太刀は空を鋭く裂いた。
だが、突き出した弥月の太刀が届く前に、男の胸から鮮血が上がった。
ビシャアァァ…
それは弥月の顔にも生暖かい感覚をもたらす。
え…?
男の胸は背後から心の臓を貫かれていた。
間もなくそれは引き抜かれて、開いた穴から血を吹き出して、男は膝から崩れる。
弥月は行き場の失った手もそのままに、力なく落ちていく男に視線をやる。
死んだ
ただ、そう思った。