姓は「矢代」で固定
第2話 真偽のみかた
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弥月が質問を返して以降、誰も何も言わなくなり、沈黙の時間が流れる。
けれど、彼らの表情を確認する気は起こらない。弥月はもう自分ではこの状況をどうすることもできないと感じていた。
私から今確認するべきことは言った。私の質問に対する答えがどちらだったにせよ、昨日、彼らが人を殺したのを見ていたのは事実なのだから……私は彼らにとって、都合の悪い存在だ
さすがに、覚悟した方がよさそう…
さっきから限界まで締め付けられた心臓が、煩くて仕方なかった。最後の生命を必至に燃やしているようにすら感じる。
…ははは、ごめん、ママ、パパ、お兄ちゃん、おじいちゃん、おばあちゃん
折角みんなに大切に育ててもらったのに、ここで、こんなワケわかんない所で、終わりかもしれない
本当にごめん…
幸せだったなあと思う。
関心が無いようで、いつも気にかけてくれていた祖母も、
昨日、竹刀で頭を叩いた祖父も、
食卓でからあげを取り合った兄も、
化学式が分からないといえば不憫そうな目をした兄も、
半ば無理やり髪を延ばさせる兄も、
くどいくらいに溺愛してくる兄も、
冗談が通じない頑固な兄も、
今朝、「いってらっしゃい」と声をかけてくれた父母のことも大好きだった。
今朝起きたら、天気が良かった。
学校に行けば「おはよう」と言ってくれる友達がいた。
家に帰れば愛犬と愛猫がくっついて寝ていた。
自分は幸せだった。
じんわりとこみあげてくる日々の狂おしさ。拭う指がなくて頬を涙が伝う。
「「!!?」」
「な、なぜ君は泣いているんだ!?」
なぜなんて…
「死を覚悟した時に、泣いたらいけませんか」
何の感情もないような声が出た。
それに人の良さそうな男は黙ってしまったが、左の鬼のような形相をした男は眉を顰める。
「…なら、さっきのお前の発言は冗談か何かか?」
「“タイシ”と“ロウシ”の質問の事を言っているなら、なんで知っているのが当然のように言われるのかすら分かりません」
「…壬生浪士組の隊士と、不逞浪士のことだ」
「壬生、ロウシ、浪士…フテイ…不逞、浪士…って、確か何か悪さする侍のことですよね。そっか、ロウシって侍の浪士のことか…」
とても時代錯誤だが、彼らの隠語みたいなものだろう。
目をしばたたかせて涙を乾かす。
「…えっと、じゃあ、壬生浪士…」
ん、壬生浪士? 壬生浪士組? それって“あの”?
…そういえばここにいる人達みんな刀持ってるし、肖(あやか)っちゃった感じ? 京都だし、丁度“組”とかだし、山〇組みたいでピッタリ的な?
……
いや、待て待て!
そんなに私も詳しくはないけど、この辺りでそんな刀振りまわすヤ〇ザの話聞いたことない!!
弥月は考えれば考えるほど混乱に陥っていた。だんだんと眉間に皺が寄っているのに本人は気づいていない。
そのとき、ふと先ほどの疑問が甦る。
そういえば、ここ何処?
けれど、彼らの表情を確認する気は起こらない。弥月はもう自分ではこの状況をどうすることもできないと感じていた。
私から今確認するべきことは言った。私の質問に対する答えがどちらだったにせよ、昨日、彼らが人を殺したのを見ていたのは事実なのだから……私は彼らにとって、都合の悪い存在だ
さすがに、覚悟した方がよさそう…
さっきから限界まで締め付けられた心臓が、煩くて仕方なかった。最後の生命を必至に燃やしているようにすら感じる。
…ははは、ごめん、ママ、パパ、お兄ちゃん、おじいちゃん、おばあちゃん
折角みんなに大切に育ててもらったのに、ここで、こんなワケわかんない所で、終わりかもしれない
本当にごめん…
幸せだったなあと思う。
関心が無いようで、いつも気にかけてくれていた祖母も、
昨日、竹刀で頭を叩いた祖父も、
食卓でからあげを取り合った兄も、
化学式が分からないといえば不憫そうな目をした兄も、
半ば無理やり髪を延ばさせる兄も、
くどいくらいに溺愛してくる兄も、
冗談が通じない頑固な兄も、
今朝、「いってらっしゃい」と声をかけてくれた父母のことも大好きだった。
今朝起きたら、天気が良かった。
学校に行けば「おはよう」と言ってくれる友達がいた。
家に帰れば愛犬と愛猫がくっついて寝ていた。
自分は幸せだった。
じんわりとこみあげてくる日々の狂おしさ。拭う指がなくて頬を涙が伝う。
「「!!?」」
「な、なぜ君は泣いているんだ!?」
なぜなんて…
「死を覚悟した時に、泣いたらいけませんか」
何の感情もないような声が出た。
それに人の良さそうな男は黙ってしまったが、左の鬼のような形相をした男は眉を顰める。
「…なら、さっきのお前の発言は冗談か何かか?」
「“タイシ”と“ロウシ”の質問の事を言っているなら、なんで知っているのが当然のように言われるのかすら分かりません」
「…壬生浪士組の隊士と、不逞浪士のことだ」
「壬生、ロウシ、浪士…フテイ…不逞、浪士…って、確か何か悪さする侍のことですよね。そっか、ロウシって侍の浪士のことか…」
とても時代錯誤だが、彼らの隠語みたいなものだろう。
目をしばたたかせて涙を乾かす。
「…えっと、じゃあ、壬生浪士…」
ん、壬生浪士? 壬生浪士組? それって“あの”?
…そういえばここにいる人達みんな刀持ってるし、肖(あやか)っちゃった感じ? 京都だし、丁度“組”とかだし、山〇組みたいでピッタリ的な?
……
いや、待て待て!
そんなに私も詳しくはないけど、この辺りでそんな刀振りまわすヤ〇ザの話聞いたことない!!
弥月は考えれば考えるほど混乱に陥っていた。だんだんと眉間に皺が寄っているのに本人は気づいていない。
そのとき、ふと先ほどの疑問が甦る。
そういえば、ここ何処?