我慢できると思った男(貴族だから)末路はざまぁといえるのだろうか
結婚する事になったと男から聞かされたとき、すぐには信じられなかった、貴族だから結婚は当然だろう、三十路になったばかりだ、だか、そんな素振りも気配もなかっ
たので驚いたのだ。
だが、話を聞くと相手の女は男よりも年上で爵位も決して高くはないと聞いて安心した。
それに男の表情から、この結婚は上から命令されたもので望んでいないと聞かされて女は安堵した。
まだまだ、自分は甘えて、色々なものを買ってもらい、贅沢な暮らしがしたいと思っていたのだ。
男は他にも女がいることを女は知っていた、若い女に眼がないのだ。
金と地位があれば多少の浮気は大目に見たほうがいいと亡くなった母親はいつも言っていた。
しかし、その結果、母は惨めな最後を遂げた、自分は母とは違う、多少の浮気は許す、だが、自分の立場を脅かすようなら許さない。
下町の女、自分より若い女に手を出したときには人を雇って、対処した、痛い眼に遭わせて近づかないようにと、従わないなら最終手段に出ることもあった。
だが、相手が正妻、貴族ともなると下手に手出しはできない、自分も貴族出身と名乗っているが、負けるのは眼に見えている。
正妻が館にやってきても殆ど顔を合わせることがなく、これなら自分の地位は脅かされることはないと女は安堵した。
しばらくして、館に荷物が運ばれてきた。
メイドに尋ねると奥様への贈り物だという、次々に館に運ばれてくる綺麗な包みや箱を見て女は驚いた、数が多すぎる、もしかして妻である彼女は浮気をしているのではないだろうか、夫が愛人を作っているのだ、当てつけに妻が愛人を作っていてもおかしくはない。
あの包み、贈り物は妻の愛人たちからかもしれない。
男というのは自分の浮気には寛大なくせに、妻や恋人が他の男から少しでも気のある素振りをされたりすると嫉妬する。
証拠を握って、奥さんは浮気をしていると告げたらどうなるかと女は考えた、もしかして自分が正妻に成り代わることができるかもしれない。
いや、それはあまりにも夢を見すぎだ、だが、屋敷から追い出すぐらいはできるかもしれない。
正妻の部屋に入るのは初めてだった。
沢山のドレスや装飾品、衣装ダンスの中を見た女は見とれてしまった、手触りのいい生地、上等な仕立てのドレス。
こんなにたくさんあるんだもの、後で返せばいいんだと自分に言い聞かせて女は手を伸ばした。
茶会に出ると皆が自分を見ているのがわかった注目を浴びている、なんて気持ちがいいんだろうと思っていたが、ふと、気になったのは視線だ。
一人の女性が自分を見ている、その視線が気になった。
自分ではなくドレスを見ているのだということがわかった、だが、それは茶会が終わってからのことだ。
年上の女性を妻にもらうというのは正直、どうなのかと思いつつ、断ることをしなかったのは出された条件を見て悪くないと思ったからだ。
白い結婚、子供は作らない、夜の生活はなし、最低限の生活を保障してくれたら結構だという相手の条件は男にとって都合が良かった。
書類上の結婚式をあげることもなく、結婚生活が始まった。
そして、現在、男は自分の置かれた状況に混乱していた。
その日、城に来るようにと使いが来た。
突然の呼び出しという事もあり、愛人と出掛けるつもりだった男は急遽、予定を変更した。
デートはお預けだと告げると愛人は気分を悪くしたのか不機嫌な顔になった。
この埋め合わせはしてくれるんでしょうねと男を見る。
宝石、ドレス、旅行に行きたいとねだってくるのかもしれない。
付き合いも長くなると、だんだんとそれも面倒になってくる、潮時かもしれないと男は考えた。
城に着くと自分を待っていたのは宰相だ、その顔色は正直、よくない、普段から感情を表に出すことなく、冷静沈着な王の補佐をしている男、という印象しかなかったので驚いた。
何かあったのかと聞くと、あなたの愛人、とんでもないことをしでかしてくれましたねと言われて驚いた。
正直、心当たりがない、爵位は決して高くはないが、一応は貴族出身なのだ、すると宰相は笑いを漏らし、表向きはねと言葉を続け、下町出身の女に生ませた子でしょう呟いた。
「先週、ある貴族のお茶会で注目を集めたそうですよ、話題になったのはドレスです、心当たりは」
ドレス、先月、新しいのがほしいと言われてプレゼントすると約束したことを思い出した。
「そのドレスは、奥方のものなんですよ、何故、愛人風情が奥方のドレスを着て茶会に出席するんです」
「そうなのか、妻に借りたのではないか」
宰相はとんでもないと声をあげた、そのドレスはある外国の貴族が奥方に贈られたものなんですと言葉を続けた。
「茶会に出ていた貴族達の中に高位の中に皇族の方もいらして」
「奥様の友人や交友関係をご存知ですか」
「いいや、人付き合い、社交は苦手だからと言っていたが」
それは表向きですよと宰相の言葉に男は、どういうことだと聞いたのは無理もない。
「あなたの奥様の爵位が低いのは両親や祖父、代々の放蕩三昧の末ということになっています」
「ああ、だから、だから、この結婚も譲歩した末に、私が彼女を仕方なく、もらい受けるという形で」
男の言葉を聞いていた宰相は溜息を漏らした、その眼が、どこか小馬鹿にしたような、そんな感じがして男はむっとした。
祖母の遺言に従って贈ったドレスを恩義ある女性に送ったが、そのドレスを茶会で知らない女が着ていた、どういうことか説明してほしいという使者の言葉に国王は驚いた。
あの男に嫁がせたのはいいが、愛人はバカなのか、事情を知る為に調査をする人間を派遣し、その報告を聞いてがっくりとした。
男の愛人と正妻の仲は世間では普通、良くないものだが、二人は普段から顔を会わせることもなく、不仲という訳でもなかった。
ところが、最近になって女の元に色々な贈り物が届くようになって気になった愛人がこっそりと、その贈り物を。
愛人という女は、どういう女なんだと王の問いかけに調査員は軽く咳払いをした。
「ドレスが高価なものだと思い、自慢したいと思ったのでしょうが、ものを知らないにもほどがあります」
調査員は、先進国の亡くなった国母のものです、自分が死んだら彼女に贈るようにと遺言されていたようです、話を聞いていた王の顔色はだんだんと青ざめていく。
「国王、知らなかったではすみませんよ」
「そうだな、その女は貴族というが」
見た目が良かったので貴族が愛人にと手をつけたんでしょうが、庶民、それも下層階級の出身ですという言葉に、そういう女の子供だから男はと国王は言葉にするのも面倒になり、軽く手を振った。
「おまえの愛人は、とんでもないことをしてくれたな」
怒りよりも呆れたといいたげな声に男は部屋に入るなり、深々と頭を下げた。
妻に贈られたドレスを愛人は内緒で着て茶会に出席した、最初はそんなことでと思ったが、話を聞くうちに男は驚いた。
外国の王族から贈られたドレスと聞いて、何故、自分の妻がと驚いたのだ。
「妻である女性の事をおまえは、よく知らなかったようだな、我が国の貴族は、これで、どれほど愚か者かと他国が知ることになったわけだ」
「申し訳ありません」
「愛人のしつけもできんのか」
「返す言葉も」
「女の首を贈っただけでは無理だ」
ではどうすればいいのかと男は王を見た、まさか自分も同じように、いや、確かに、愛人のやったことは知らなかったとはいえ、頭を下げただけの謝罪ではすまないだろう。
ドレスを弁償するといっても、国宝級と言ってもいい、そんな高価なものできる訳がない。
「少し買いかぶりすぎていたようだ」
それきり、王は無言になった。
王との謁見の後、狼狽した、自分はどうすればいいのかと男は迷った、愛人のことなど頭にはなかったといってもいいだろう。
どうすればいいと迷ったあげく頼るのは一人しかいなかった。
自分の妻だ、久しぶりに彼女の部屋を尋ねると留守だった。
奥様はお出かけですとメイドから聞かされて、部屋の中を見回す、カーテン、家具、壁を飾る絵画、嫁いできたときには見なかったものばかりだ。
その日の夕方、帰ってきた妻に男は懇願した、助けてくれと。
愛人がしでかしたことは謝る、このままでは自分は破滅だと頭を下げる男を見ながら女は仕方ありませんわと呟いた。
「あなたの愛人がしでかしたことでしょう、でしたら、あなたが責任をとるのが当然では」
自分に死ねというのか、男の言葉に軽く首を振り、では私を当主にしてくださる、領地と権限を全て譲歩してくださると聞かれて男は迷った。
平民になれというのか、すると女は首を振った。
「今まで通り、貴族の生活をすればいいわ」
男は助かったと思った、首を跳ねられることなく、以前と同じ生活が始まった。
貴族の集まりも愛人と一緒に、時に城に呼ばれることもある。
最初は妻の温情だと喜んでいた。
周りの貴族たちも以前とと変わりなく接してくれている、だが。
「私たち、ねえっ、どうしてあなたは我慢できるの」
ある日、愛人がぽつりと呟いた、その顔は苦痛に歪んでいた。
その顔を見て当たり前だと思いながらも、男は言葉にしなかった、分かっていないのだ、この女は自分の罪を、貴族社会というものを。
周りから馬鹿にされ、見下されている、そんなのは当たり前だ。
だが、何があっても、自分は貴族の生活を捨てられない、周りから馬鹿にされても、何故なら貴族だからだ。
だが、この女は、どうだろう。
今更、やめられるのか、愛人を、この暮らしを、それを聞けば女は首を振るだろう。
自分が貴族達からどんな眼で見られているかなど、今更だ。
昼間は貴族の生活、夜は彼らの不満と愚痴、欲望の捌け口になるなど、いったいなんだというのか。
自分の生活、プライドの為ならなんだってできる、貴族なのだから。
たので驚いたのだ。
だが、話を聞くと相手の女は男よりも年上で爵位も決して高くはないと聞いて安心した。
それに男の表情から、この結婚は上から命令されたもので望んでいないと聞かされて女は安堵した。
まだまだ、自分は甘えて、色々なものを買ってもらい、贅沢な暮らしがしたいと思っていたのだ。
男は他にも女がいることを女は知っていた、若い女に眼がないのだ。
金と地位があれば多少の浮気は大目に見たほうがいいと亡くなった母親はいつも言っていた。
しかし、その結果、母は惨めな最後を遂げた、自分は母とは違う、多少の浮気は許す、だが、自分の立場を脅かすようなら許さない。
下町の女、自分より若い女に手を出したときには人を雇って、対処した、痛い眼に遭わせて近づかないようにと、従わないなら最終手段に出ることもあった。
だが、相手が正妻、貴族ともなると下手に手出しはできない、自分も貴族出身と名乗っているが、負けるのは眼に見えている。
正妻が館にやってきても殆ど顔を合わせることがなく、これなら自分の地位は脅かされることはないと女は安堵した。
しばらくして、館に荷物が運ばれてきた。
メイドに尋ねると奥様への贈り物だという、次々に館に運ばれてくる綺麗な包みや箱を見て女は驚いた、数が多すぎる、もしかして妻である彼女は浮気をしているのではないだろうか、夫が愛人を作っているのだ、当てつけに妻が愛人を作っていてもおかしくはない。
あの包み、贈り物は妻の愛人たちからかもしれない。
男というのは自分の浮気には寛大なくせに、妻や恋人が他の男から少しでも気のある素振りをされたりすると嫉妬する。
証拠を握って、奥さんは浮気をしていると告げたらどうなるかと女は考えた、もしかして自分が正妻に成り代わることができるかもしれない。
いや、それはあまりにも夢を見すぎだ、だが、屋敷から追い出すぐらいはできるかもしれない。
正妻の部屋に入るのは初めてだった。
沢山のドレスや装飾品、衣装ダンスの中を見た女は見とれてしまった、手触りのいい生地、上等な仕立てのドレス。
こんなにたくさんあるんだもの、後で返せばいいんだと自分に言い聞かせて女は手を伸ばした。
茶会に出ると皆が自分を見ているのがわかった注目を浴びている、なんて気持ちがいいんだろうと思っていたが、ふと、気になったのは視線だ。
一人の女性が自分を見ている、その視線が気になった。
自分ではなくドレスを見ているのだということがわかった、だが、それは茶会が終わってからのことだ。
年上の女性を妻にもらうというのは正直、どうなのかと思いつつ、断ることをしなかったのは出された条件を見て悪くないと思ったからだ。
白い結婚、子供は作らない、夜の生活はなし、最低限の生活を保障してくれたら結構だという相手の条件は男にとって都合が良かった。
書類上の結婚式をあげることもなく、結婚生活が始まった。
そして、現在、男は自分の置かれた状況に混乱していた。
その日、城に来るようにと使いが来た。
突然の呼び出しという事もあり、愛人と出掛けるつもりだった男は急遽、予定を変更した。
デートはお預けだと告げると愛人は気分を悪くしたのか不機嫌な顔になった。
この埋め合わせはしてくれるんでしょうねと男を見る。
宝石、ドレス、旅行に行きたいとねだってくるのかもしれない。
付き合いも長くなると、だんだんとそれも面倒になってくる、潮時かもしれないと男は考えた。
城に着くと自分を待っていたのは宰相だ、その顔色は正直、よくない、普段から感情を表に出すことなく、冷静沈着な王の補佐をしている男、という印象しかなかったので驚いた。
何かあったのかと聞くと、あなたの愛人、とんでもないことをしでかしてくれましたねと言われて驚いた。
正直、心当たりがない、爵位は決して高くはないが、一応は貴族出身なのだ、すると宰相は笑いを漏らし、表向きはねと言葉を続け、下町出身の女に生ませた子でしょう呟いた。
「先週、ある貴族のお茶会で注目を集めたそうですよ、話題になったのはドレスです、心当たりは」
ドレス、先月、新しいのがほしいと言われてプレゼントすると約束したことを思い出した。
「そのドレスは、奥方のものなんですよ、何故、愛人風情が奥方のドレスを着て茶会に出席するんです」
「そうなのか、妻に借りたのではないか」
宰相はとんでもないと声をあげた、そのドレスはある外国の貴族が奥方に贈られたものなんですと言葉を続けた。
「茶会に出ていた貴族達の中に高位の中に皇族の方もいらして」
「奥様の友人や交友関係をご存知ですか」
「いいや、人付き合い、社交は苦手だからと言っていたが」
それは表向きですよと宰相の言葉に男は、どういうことだと聞いたのは無理もない。
「あなたの奥様の爵位が低いのは両親や祖父、代々の放蕩三昧の末ということになっています」
「ああ、だから、だから、この結婚も譲歩した末に、私が彼女を仕方なく、もらい受けるという形で」
男の言葉を聞いていた宰相は溜息を漏らした、その眼が、どこか小馬鹿にしたような、そんな感じがして男はむっとした。
祖母の遺言に従って贈ったドレスを恩義ある女性に送ったが、そのドレスを茶会で知らない女が着ていた、どういうことか説明してほしいという使者の言葉に国王は驚いた。
あの男に嫁がせたのはいいが、愛人はバカなのか、事情を知る為に調査をする人間を派遣し、その報告を聞いてがっくりとした。
男の愛人と正妻の仲は世間では普通、良くないものだが、二人は普段から顔を会わせることもなく、不仲という訳でもなかった。
ところが、最近になって女の元に色々な贈り物が届くようになって気になった愛人がこっそりと、その贈り物を。
愛人という女は、どういう女なんだと王の問いかけに調査員は軽く咳払いをした。
「ドレスが高価なものだと思い、自慢したいと思ったのでしょうが、ものを知らないにもほどがあります」
調査員は、先進国の亡くなった国母のものです、自分が死んだら彼女に贈るようにと遺言されていたようです、話を聞いていた王の顔色はだんだんと青ざめていく。
「国王、知らなかったではすみませんよ」
「そうだな、その女は貴族というが」
見た目が良かったので貴族が愛人にと手をつけたんでしょうが、庶民、それも下層階級の出身ですという言葉に、そういう女の子供だから男はと国王は言葉にするのも面倒になり、軽く手を振った。
「おまえの愛人は、とんでもないことをしてくれたな」
怒りよりも呆れたといいたげな声に男は部屋に入るなり、深々と頭を下げた。
妻に贈られたドレスを愛人は内緒で着て茶会に出席した、最初はそんなことでと思ったが、話を聞くうちに男は驚いた。
外国の王族から贈られたドレスと聞いて、何故、自分の妻がと驚いたのだ。
「妻である女性の事をおまえは、よく知らなかったようだな、我が国の貴族は、これで、どれほど愚か者かと他国が知ることになったわけだ」
「申し訳ありません」
「愛人のしつけもできんのか」
「返す言葉も」
「女の首を贈っただけでは無理だ」
ではどうすればいいのかと男は王を見た、まさか自分も同じように、いや、確かに、愛人のやったことは知らなかったとはいえ、頭を下げただけの謝罪ではすまないだろう。
ドレスを弁償するといっても、国宝級と言ってもいい、そんな高価なものできる訳がない。
「少し買いかぶりすぎていたようだ」
それきり、王は無言になった。
王との謁見の後、狼狽した、自分はどうすればいいのかと男は迷った、愛人のことなど頭にはなかったといってもいいだろう。
どうすればいいと迷ったあげく頼るのは一人しかいなかった。
自分の妻だ、久しぶりに彼女の部屋を尋ねると留守だった。
奥様はお出かけですとメイドから聞かされて、部屋の中を見回す、カーテン、家具、壁を飾る絵画、嫁いできたときには見なかったものばかりだ。
その日の夕方、帰ってきた妻に男は懇願した、助けてくれと。
愛人がしでかしたことは謝る、このままでは自分は破滅だと頭を下げる男を見ながら女は仕方ありませんわと呟いた。
「あなたの愛人がしでかしたことでしょう、でしたら、あなたが責任をとるのが当然では」
自分に死ねというのか、男の言葉に軽く首を振り、では私を当主にしてくださる、領地と権限を全て譲歩してくださると聞かれて男は迷った。
平民になれというのか、すると女は首を振った。
「今まで通り、貴族の生活をすればいいわ」
男は助かったと思った、首を跳ねられることなく、以前と同じ生活が始まった。
貴族の集まりも愛人と一緒に、時に城に呼ばれることもある。
最初は妻の温情だと喜んでいた。
周りの貴族たちも以前とと変わりなく接してくれている、だが。
「私たち、ねえっ、どうしてあなたは我慢できるの」
ある日、愛人がぽつりと呟いた、その顔は苦痛に歪んでいた。
その顔を見て当たり前だと思いながらも、男は言葉にしなかった、分かっていないのだ、この女は自分の罪を、貴族社会というものを。
周りから馬鹿にされ、見下されている、そんなのは当たり前だ。
だが、何があっても、自分は貴族の生活を捨てられない、周りから馬鹿にされても、何故なら貴族だからだ。
だが、この女は、どうだろう。
今更、やめられるのか、愛人を、この暮らしを、それを聞けば女は首を振るだろう。
自分が貴族達からどんな眼で見られているかなど、今更だ。
昼間は貴族の生活、夜は彼らの不満と愚痴、欲望の捌け口になるなど、いったいなんだというのか。
自分の生活、プライドの為ならなんだってできる、貴族なのだから。
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