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短編

さぁ、と風が抜ける。
暖かな空気が頬を撫でた。
伸びきった雑草も、嬉しそうに揺れている。
──春が来た。
ついこの間まで、冷たい風が吹いていたのに。
そう思うほど、春の訪れは突然だった。
緩やかな坂を下る。
今日は何も予定がない。
せっかくだからと、公園まで足を運んだ。
足元いっぱいに広がる緑の中に、白い花がぽつりぽつりと咲いている。
(⋯もしかしたら)
しゃがみ込み、あるものを探す。
見つからなければ、少しだけ場所を変える。
それを何度か繰り返した。
やがて、小さな幸せはひっそりとそこにあった。
──四葉のクローバー。
やった、と呟いて、小さく拳を握りしめた。
傷つけないように、優しく摘む。
そういえば、押し花にするのがいいと聞いた気がする。
しおりにすれば、邪魔にはならないだろうか。
小さな幸せを、あげる相手は決まっていた。
予定変更。
急いで帰って押し花にしよう。
気づけば、歩みが少し速くなっていた。
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