乙姫VS. 第八夜『ダンジョンズ&ドラゴンズ』
「GM!!GM!!」
久寝ねねこが手を上げた。
「終業時間だよ!!」
乙姫つづりは壁掛け時計を見た。午前2時。Pictoria社の終業時間だ。ちなみに始業は午前5時だぞ。
「それが?」
処理場の豚を見るような目で心導しるべ。
「え、だから……終業時間」
「終業時間が守られるなら、労基はいらないんですよ、ねねこちゃん」
満面の笑顔。
「デーモンロードはナマ言うレンジャーをターゲットにします。腐食ブレスに抵抗してください」
「そ、そんな、ねねこ……」
がくがく震える手でサイコロを持ち上げるねねこ。
その手から零れ落ち、テーブルを転がる20面ダイス。
出目は19。
「あ……あ、あは……?」
涙目で心導しるべを見上げる久寝ねねこ。
久寝ねねこは優しく首を横に振った。
「抵抗失敗。255ダメージです」
「ぎゃああああああああ!!!!!」
腐食の蒸気に包まれ、崩れおちる久寝ねねこ。後にはゲル状の何かだけが残った。
乙姫つづりは吐き気を必死でおさえた。
セッション中に嘔吐するのは、TRPG聖典第2条『他の参加者に不快となる行為をしてはならない』に違反する。違反者は極刑である。
胃からこみ上げた来たものを、なんとか飲み込んだ。
「ほう、こらえますか」
微笑む心導しるべ。
「しかし私も熟練のGM。プレイヤーを生かして帰すわけにはいきません」
TRPGとはGMがいかに効率的にプレイヤーを殺すか、プレイヤーはどれだけ生き延びるかの遊び。そして心導しるべは間違いなく"上手な"GMだった。
梓星ゆえがいなければ、とうに全滅していただろう。
「さあ、つづりちゃん。行動宣言を」
ネズミを追い詰めた猫のように牙をむき出しにする心導しるべ。
乙姫つづり。考える。
自分に次の行動順はない。
次に指す一手が最後の抵抗だ。
何をする?
……
…………
…………………
乙姫つづりが顔を上げた。
「全力強化でファイアーボール!!」
「ほほう。デーモンロードがファイアーボール程度で落ちるとでも?」
「対象自分!!」
「なっ!!?」
乙姫つづりの体が輝き、部屋は爆炎に包まれた。
「けほけほっ」
砕けたコンクリートの中から立ち上がる乙姫つづり。
見れば黄金の玉座は吹き飛び、心導しるべが瓦礫の中から脚を天井に向けてのびている。
マネちゃんとマネ太郎が天井に突き刺さっていた。
ただ一人、黒焦げにはなっていたものの椅子に腰かけたままの梓星ゆえが、じとっとした目でこちらを見ていた。
「爆発オチとかさいてー」
「えへへ」
「つづりんの負け」
梓星ゆえが宣言してため息をついた。
*このマロの登場人物は、実在のMOKUROKUメンバーとはやや無関係です。
*燃えたり溶けたりしたように見えたのはCGです。
*本物のはりちゃんは出オチ要員ではありません。
*本物のしるべちゃんは本当に上手いGMです。
*本物の姫はよく爆発オチをします。
*このあとみんなでケンタッキーに行きました。
久寝ねねこが手を上げた。
「終業時間だよ!!」
乙姫つづりは壁掛け時計を見た。午前2時。Pictoria社の終業時間だ。ちなみに始業は午前5時だぞ。
「それが?」
処理場の豚を見るような目で心導しるべ。
「え、だから……終業時間」
「終業時間が守られるなら、労基はいらないんですよ、ねねこちゃん」
満面の笑顔。
「デーモンロードはナマ言うレンジャーをターゲットにします。腐食ブレスに抵抗してください」
「そ、そんな、ねねこ……」
がくがく震える手でサイコロを持ち上げるねねこ。
その手から零れ落ち、テーブルを転がる20面ダイス。
出目は19。
「あ……あ、あは……?」
涙目で心導しるべを見上げる久寝ねねこ。
久寝ねねこは優しく首を横に振った。
「抵抗失敗。255ダメージです」
「ぎゃああああああああ!!!!!」
腐食の蒸気に包まれ、崩れおちる久寝ねねこ。後にはゲル状の何かだけが残った。
乙姫つづりは吐き気を必死でおさえた。
セッション中に嘔吐するのは、TRPG聖典第2条『他の参加者に不快となる行為をしてはならない』に違反する。違反者は極刑である。
胃からこみ上げた来たものを、なんとか飲み込んだ。
「ほう、こらえますか」
微笑む心導しるべ。
「しかし私も熟練のGM。プレイヤーを生かして帰すわけにはいきません」
TRPGとはGMがいかに効率的にプレイヤーを殺すか、プレイヤーはどれだけ生き延びるかの遊び。そして心導しるべは間違いなく"上手な"GMだった。
梓星ゆえがいなければ、とうに全滅していただろう。
「さあ、つづりちゃん。行動宣言を」
ネズミを追い詰めた猫のように牙をむき出しにする心導しるべ。
乙姫つづり。考える。
自分に次の行動順はない。
次に指す一手が最後の抵抗だ。
何をする?
……
…………
…………………
乙姫つづりが顔を上げた。
「全力強化でファイアーボール!!」
「ほほう。デーモンロードがファイアーボール程度で落ちるとでも?」
「対象自分!!」
「なっ!!?」
乙姫つづりの体が輝き、部屋は爆炎に包まれた。
「けほけほっ」
砕けたコンクリートの中から立ち上がる乙姫つづり。
見れば黄金の玉座は吹き飛び、心導しるべが瓦礫の中から脚を天井に向けてのびている。
マネちゃんとマネ太郎が天井に突き刺さっていた。
ただ一人、黒焦げにはなっていたものの椅子に腰かけたままの梓星ゆえが、じとっとした目でこちらを見ていた。
「爆発オチとかさいてー」
「えへへ」
「つづりんの負け」
梓星ゆえが宣言してため息をついた。
*このマロの登場人物は、実在のMOKUROKUメンバーとはやや無関係です。
*燃えたり溶けたりしたように見えたのはCGです。
*本物のはりちゃんは出オチ要員ではありません。
*本物のしるべちゃんは本当に上手いGMです。
*本物の姫はよく爆発オチをします。
*このあとみんなでケンタッキーに行きました。