乙姫VS. 第七夜『マジック・ザ・ギャザリング』
笑羽良はりと令夜みりの戦いはまだ始まっていなかった。
両者の力量があまりにも高く拮抗しているので、動くことができないのだ。
目をかっと見開き睨む令夜みり。涼しい微笑で受け流す笑羽良はり。
観客席のザレス山田が口から泡を吹いて痙攣している。
この勝負、一瞬で決まる。
乙姫つづりが息をのむ。
両雄動く!
初期手札の7枚をドロー!!ここまでは両者完全に互角!!
観客席のアケド社長は、麻酔銃を構えたセキュリティ部隊に合図を送ろうと片手を上げ、すんでのところで思いとどまった。
この戦い、部外者が安易に介入してよいものではない!
手札を確認した笑羽良はり。何気なく1枚場に出す。
観客席がどよめく。
この試合は令夜みりが先攻。その令夜みりがまだ何もしていない。
つまり現在、第0ターンである。
そのタイミングで手札を!!?
はたして笑羽良はりが出したカードは
『俺の勝ち』コスト0 このカードがデッキの中にあった場合、あなたは勝利する。
また観客席がどよめく。
乙姫つづりも驚愕していた。あんなカードはマジックに存在しない!!
笑羽良はり。頭がおかしくなったか?
審判の梓星ゆえは、デッキチェックでなぜあれを見逃した。
「そう。こんなカードは存在しない」
笑羽良はりが妖艶に笑う。こんな表情を見せる少女だったのか。
「2022年現在は、ね」
その言葉の意味を悟り戦慄する乙姫つづり。まさか…!!
「これは2525年に印刷された未来のカード!!ひれふせ原始人ども!!これが新人類の力だ!!」
なんてことだ。笑羽良はりは未来のカードを使っている!
そしてマジックというゲーム。未来からタイムシフトして来たカードの使用は認められている!!
500年後にはカードパワーのインフレが、あそこまで進んでいるのか?
どうすれば対抗できる!?乙姫つづりは頭を抱えた。
が、令夜みりは静かだった。
敗北を悟り観念したのか?
いや。彼女を知る人間は皆、知っている。
令夜みりは例え首を落とされても戦いを諦めない。残った口で敵に噛みつく。そのような女性だ。
やすやすと勝利を譲りはしない。
目を開く令夜みり。その目は確かな悲しみをたたえていた。
そして手札から一枚のカードを抜きだす。
「このカード」
その指が決闘台の上に、カードを置いた。
「使わないで済めば。そう思ってたよ」
『先手必敗』コスト0 このカードが手札にあった場合、1ラウンド開始前に勝利したプレイヤーは敗北する。
会場が静まり返った。
なんだ。あれは。
「な、な、なにそれ!!?そんなカード存在しない!!」
動揺する笑羽良はり。審判を見た。しかし梓星ゆえは皮肉気に口を歪めるのみ。
「いいや存在する」
令夜みりが獅子の顔に戻った。
「このデュエルのためだけにウィザーズ社に作らせた。ミサイルをぶち込んでやると脅してな!」
「そ、そんなあああああ!!!?」
笑羽良はりの足元が開いた。荒縄がまた一本ぶらんと垂れ下がった。墓標のように。
「梓星ゆえ、次は貴様だ」
腰につるした軍刀に手をかける令夜みり。しかし王者は白い歯を見せる。
「お前の相手は乙姫つづりだ。お前はどうだか知らぬが、我は油断ならぬ戦士と評価している」
「そうか。乙姫つづり。まず貴様を倒そう。せいぜい抵抗するのだな」
令夜みりが軍刀を手に迫ってくる。
決勝戦だ。
両者の力量があまりにも高く拮抗しているので、動くことができないのだ。
目をかっと見開き睨む令夜みり。涼しい微笑で受け流す笑羽良はり。
観客席のザレス山田が口から泡を吹いて痙攣している。
この勝負、一瞬で決まる。
乙姫つづりが息をのむ。
両雄動く!
初期手札の7枚をドロー!!ここまでは両者完全に互角!!
観客席のアケド社長は、麻酔銃を構えたセキュリティ部隊に合図を送ろうと片手を上げ、すんでのところで思いとどまった。
この戦い、部外者が安易に介入してよいものではない!
手札を確認した笑羽良はり。何気なく1枚場に出す。
観客席がどよめく。
この試合は令夜みりが先攻。その令夜みりがまだ何もしていない。
つまり現在、第0ターンである。
そのタイミングで手札を!!?
はたして笑羽良はりが出したカードは
『俺の勝ち』コスト0 このカードがデッキの中にあった場合、あなたは勝利する。
また観客席がどよめく。
乙姫つづりも驚愕していた。あんなカードはマジックに存在しない!!
笑羽良はり。頭がおかしくなったか?
審判の梓星ゆえは、デッキチェックでなぜあれを見逃した。
「そう。こんなカードは存在しない」
笑羽良はりが妖艶に笑う。こんな表情を見せる少女だったのか。
「2022年現在は、ね」
その言葉の意味を悟り戦慄する乙姫つづり。まさか…!!
「これは2525年に印刷された未来のカード!!ひれふせ原始人ども!!これが新人類の力だ!!」
なんてことだ。笑羽良はりは未来のカードを使っている!
そしてマジックというゲーム。未来からタイムシフトして来たカードの使用は認められている!!
500年後にはカードパワーのインフレが、あそこまで進んでいるのか?
どうすれば対抗できる!?乙姫つづりは頭を抱えた。
が、令夜みりは静かだった。
敗北を悟り観念したのか?
いや。彼女を知る人間は皆、知っている。
令夜みりは例え首を落とされても戦いを諦めない。残った口で敵に噛みつく。そのような女性だ。
やすやすと勝利を譲りはしない。
目を開く令夜みり。その目は確かな悲しみをたたえていた。
そして手札から一枚のカードを抜きだす。
「このカード」
その指が決闘台の上に、カードを置いた。
「使わないで済めば。そう思ってたよ」
『先手必敗』コスト0 このカードが手札にあった場合、1ラウンド開始前に勝利したプレイヤーは敗北する。
会場が静まり返った。
なんだ。あれは。
「な、な、なにそれ!!?そんなカード存在しない!!」
動揺する笑羽良はり。審判を見た。しかし梓星ゆえは皮肉気に口を歪めるのみ。
「いいや存在する」
令夜みりが獅子の顔に戻った。
「このデュエルのためだけにウィザーズ社に作らせた。ミサイルをぶち込んでやると脅してな!」
「そ、そんなあああああ!!!?」
笑羽良はりの足元が開いた。荒縄がまた一本ぶらんと垂れ下がった。墓標のように。
「梓星ゆえ、次は貴様だ」
腰につるした軍刀に手をかける令夜みり。しかし王者は白い歯を見せる。
「お前の相手は乙姫つづりだ。お前はどうだか知らぬが、我は油断ならぬ戦士と評価している」
「そうか。乙姫つづり。まず貴様を倒そう。せいぜい抵抗するのだな」
令夜みりが軍刀を手に迫ってくる。
決勝戦だ。