乙姫VS. 第二夜『だるまさんがころんだ』
「ねねこ、動いた!」
10メートルほど吹き飛び、地面に転がる久寝ねねこ。これに要した時間、わずかに1虚空(こくう)秒(0.000000000000000000001秒)。
王位継承者は勝利に向かって振り向いた。
乙姫つづりは良くやった。しかし梓星ゆえ王子の反応速度と身体能力を甘く見ていた。それは地球人の想像をはるかに超えていたのだ。
「乙姫つづり…」
振り向いた梓星ゆえ。その前に。
乙姫つづりはいなかった。
「……!!?」
梓星ゆえの顔からはじめて余裕が消える。
いったいどこに?まさか勝負を捨てて逃げ出したか?
いや。乙姫つづりは逃げていなかった。
回り込んでいたのだ。
オニにとっての絶対的な死角。
すなわち。
木の裏に。
梓星ゆえ……。
乙姫つづりは心の中で叫んだ。
手を構える。指を伸ばして揃えた剣の形に。
渾身の突き。木を貫き、お前に触れる!!
これが、とどめだ。
「くらえーーーーーーーっっ!!!!!!!!!」
ぺちっ。
「大丈夫?」梓星ゆえがひょいとのぞく。
「いたーい」
木を素手で貫けるわけがなかった。
「つづりんの負け」
梓星ゆえが宣言してため息をついた。
10メートルほど吹き飛び、地面に転がる久寝ねねこ。これに要した時間、わずかに1虚空(こくう)秒(0.000000000000000000001秒)。
王位継承者は勝利に向かって振り向いた。
乙姫つづりは良くやった。しかし梓星ゆえ王子の反応速度と身体能力を甘く見ていた。それは地球人の想像をはるかに超えていたのだ。
「乙姫つづり…」
振り向いた梓星ゆえ。その前に。
乙姫つづりはいなかった。
「……!!?」
梓星ゆえの顔からはじめて余裕が消える。
いったいどこに?まさか勝負を捨てて逃げ出したか?
いや。乙姫つづりは逃げていなかった。
回り込んでいたのだ。
オニにとっての絶対的な死角。
すなわち。
木の裏に。
梓星ゆえ……。
乙姫つづりは心の中で叫んだ。
手を構える。指を伸ばして揃えた剣の形に。
渾身の突き。木を貫き、お前に触れる!!
これが、とどめだ。
「くらえーーーーーーーっっ!!!!!!!!!」
ぺちっ。
「大丈夫?」梓星ゆえがひょいとのぞく。
「いたーい」
木を素手で貫けるわけがなかった。
「つづりんの負け」
梓星ゆえが宣言してため息をついた。