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乙姫VS. 第六夜『山手線ゲーム』

絶体絶命の危機。
乙姫つづりはゆるいおつむをひねった。環理よめなが自滅した理由はわかっていた。だがどんな理由があろうと、戦いの場で冷静さを失った者には死が待っている。
ここは落ち着いて、王位継承者に間違えさせるしかない。
そんなことが可能だろうか?

手はある。一つだけ。
代償は大きい。
やるか?やらないか?やるか?やらないか?
迷っている時間はない。どの国が既に出たか、乙姫つづりはかき乱されたままなのだ。

「サントメ・プリンシペ」
「ホンジュラス」
「赤道ギニア」

ゲームは続く。乙姫つづりは決断した。
審判の久寝ねねこのスマホに着信。電話に出た久寝ねねこは、しばらく耳を傾け、何も言わずに切った。
王位継承者は気にも留めていない。あとは、胆力の勝負。
「セントビンセント・グレナディーン」
王位継承者の薔薇のような唇から、言葉が漏れる。
その時。

久寝ねねこが首を横に振った。

「なに?」
梓星ゆえの目が驚愕に見開かれた。
「久寝ねねこ。今、首を横に振ったか?」
「うん」
「なぜだ」
「セントビンセント・グレナディーンは18手目で出てる。重複だよ」
「ばかな…!?18手目はギニアビサウだった!」
「こっちの記録ではそうなってないよ。おひめの勝ち」

やった。勝った。



もちろん、18手目は梓星ゆえの言う通りギニアビサウだった。
ではなぜ久寝ねねこは、重複と判定したのか。

答えは簡単。
乙姫つづりはあらかじめ、オタクを使って久寝ねねこのマッマを誘拐し、人質にとっていたのだ。その命と引き換えに、ここで誤審をさせたのである。
久寝ねねこが目くばせする。
乙姫つづりはスマホを操作し「まだ解放するな」とlineした。

「なるほど」
事情を察した梓星ゆえが笑顔を見せた。
「腕を上げた。今回はいっぱい食わされたね」
「もう一回やろ」
「やだ。おしまい」
梓星ゆえが宣言してため息をついた。


*下に落ちた二人は、きゃっきゃうふふしながらワニに餌をあげてました。
*本物のよめなちゃんは清楚です。
*本物のはりちゃんは出オチ要員ではありません。
*本物のゆえ様はこういう人ではありません。
*本物の姫はねねこちゃんのマッマを人質にとっていません。たぶん。
*このあとみんなでコメダ珈琲店に行きました。
*このシリーズは実話に基づいたフィクションです。
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