乙姫VS. 第三夜『かくれんぼ』
するとなんの奇遇が、隣の扉を開けてマネ太郎が飛び出してきた。
彼も男子トイレ個室に隠れていたのだ!
二人で言葉を交わすこともなく、公衆トイレから外へと駆ける。
左手には見晴らしの良い草原。右手には樹林地帯。
「あっち!」
必死で指さす乙姫つづり。
本来二人で同じ方向に逃げるのは悪手である。
だがここで左に進むのはただの犬死にであった。
姫の脚、今は、今だけでいいから頑張って!!乙姫つづりは念じながら走る。すると王位継承者は不思議と追ってこず、二人は樹林地帯に駆け込んだ。
まだ足を止めない二人。
「マネ太郎。ここを出たら別れよう」
「はい!」
走る二人。
すると前方の木から、何かが吊り下がっているのが見えた。
それは、変わり果てた姿のザレス山田プロデューサーだった。
顔面は流血で真っ赤に染まり、力なく木の枝から逆さ吊りにされている。
生死は不明だ。
彼はおそらく木の上を隠れ場所に選んだのだ。人間にとって最大の死角は真上。悪くない選択だった。梓星ゆえには通用しなかった。というだけだ。
「ザレスさん……!!」
「マネ太郎、走って!」
二人はザレスの残骸を後に、樹林地帯を抜けた。
公園中央の大きな池が見える。
そのほとりに、網にからまった何かが転がっていた。
潜水服を着こんで、酸素タンクを背負ったアケド社長だった。生死はわからない。
社長はスキューバダイビング装備で水中に潜伏していたのだ。さすが社長。やることが徹底している。梓星ゆえには通用しなかった。というだけだ。
マネ太郎が立ち止まった。
止まらないで!と、乙姫つづりは叫んだ。
だが、マネ太郎の精神は既に限界に達していた。
「いやだあああああああ!!!!!!」
頭を抱えて号泣しながら走り出すマネ太郎。
その向かう先は、公園の外!完全なるルール違反だ!
「マネ太郎、待って!」
乙姫つづりの制止もむなしく、マネ太郎は公園の入り口を飛び出し……。
車の急ブレーキの音。女性の悲鳴。
ルール違反を天が許すはずもなかった。
乙姫つづりは立ち止まらずに走った。
今のマネ太郎の叫びは、必ず梓星ゆえの注意をひく。
とにかく今は距離を稼がねば。
その時、スマホに着信音。久寝ねねこからだった。
彼も男子トイレ個室に隠れていたのだ!
二人で言葉を交わすこともなく、公衆トイレから外へと駆ける。
左手には見晴らしの良い草原。右手には樹林地帯。
「あっち!」
必死で指さす乙姫つづり。
本来二人で同じ方向に逃げるのは悪手である。
だがここで左に進むのはただの犬死にであった。
姫の脚、今は、今だけでいいから頑張って!!乙姫つづりは念じながら走る。すると王位継承者は不思議と追ってこず、二人は樹林地帯に駆け込んだ。
まだ足を止めない二人。
「マネ太郎。ここを出たら別れよう」
「はい!」
走る二人。
すると前方の木から、何かが吊り下がっているのが見えた。
それは、変わり果てた姿のザレス山田プロデューサーだった。
顔面は流血で真っ赤に染まり、力なく木の枝から逆さ吊りにされている。
生死は不明だ。
彼はおそらく木の上を隠れ場所に選んだのだ。人間にとって最大の死角は真上。悪くない選択だった。梓星ゆえには通用しなかった。というだけだ。
「ザレスさん……!!」
「マネ太郎、走って!」
二人はザレスの残骸を後に、樹林地帯を抜けた。
公園中央の大きな池が見える。
そのほとりに、網にからまった何かが転がっていた。
潜水服を着こんで、酸素タンクを背負ったアケド社長だった。生死はわからない。
社長はスキューバダイビング装備で水中に潜伏していたのだ。さすが社長。やることが徹底している。梓星ゆえには通用しなかった。というだけだ。
マネ太郎が立ち止まった。
止まらないで!と、乙姫つづりは叫んだ。
だが、マネ太郎の精神は既に限界に達していた。
「いやだあああああああ!!!!!!」
頭を抱えて号泣しながら走り出すマネ太郎。
その向かう先は、公園の外!完全なるルール違反だ!
「マネ太郎、待って!」
乙姫つづりの制止もむなしく、マネ太郎は公園の入り口を飛び出し……。
車の急ブレーキの音。女性の悲鳴。
ルール違反を天が許すはずもなかった。
乙姫つづりは立ち止まらずに走った。
今のマネ太郎の叫びは、必ず梓星ゆえの注意をひく。
とにかく今は距離を稼がねば。
その時、スマホに着信音。久寝ねねこからだった。