乙姫VS. 第三夜『かくれんぼ』
乙姫つづりは木立の間を駆けた。最近リングフィットをさぼっていたせいか、すぐに息が上がる。ぷに姫つづりだ。
どこだ?どこに隠れる?どこならあの暴虐なる王位継承者の目をあざむける?
その時、乙姫つづりの目に白い建物が飛び込んで来た。
あそこだ!
公衆トイレ。
乙姫つづりは駆け込み、最奥の個室に入り、鍵をしめた。
かくれんぼ。の遊びにおける圧倒的な紳士協定違反!しかも男子トイレの個室!!
梓星ゆえは一つの星の王位継承者。乙姫つづりとは比較にならぬ外聞がある。男子トイレに入るなどと言うことは、絶対にできぬはず!
トイレ個室というプライベートゾーン、さらに王者の面子を逆用する悪魔の閃き!
乙姫つづりは一息ついた。スマホを出す。
試合開始から4分30秒。ここであと10分半待てばいい。
1分が過ぎ、2分が過ぎた。
乙姫つづりは異常に気づいた。おかしい。静かすぎる。
平日の公園とは、もっと子供や親の笑い声に満ちているものではないのか? その時、それが来た。
「つーづりーん?どこかなー?」
梓星ゆえの声。公衆トイレのすぐ外から聞こえる。
ひっ、と悲鳴を上げそうになり、乙姫つづりは口を抑えた。
大丈夫。梓星ゆえは外だ。気づかれていない。
万が一こちらを察知されても、自分には男子トイレという禁忌、個室の鍵、という二重の防壁がある。
ここは絶対に安全だ。
汗がしたたる。気づけば涙も流していた。
しかし梓星ゆえの足音は徐々に遠ざかり、消えた。
命がつながった。
ふぅ。と胸を撫でおろして、息を吐く乙姫つづり。
ずどん!!
音がして、目の前に梓星ゆえの腕が現れた。
コンクリートの壁を突き破って。
腕が個室内に突き入れられていた。
「つーづーりーん。ここだよねー?」
乙姫つづりは絶叫を上げようとした。しかし本能がそれを抑えた。
ここで声を出せば待つのは死だ。
上がってくる悲鳴、飲み込む本能が喉で衝突し、呼吸ができなくなる。
微かに残った理性が乙姫つづりを救った。
個室の扉を開く。そして駆け出した。
どこだ?どこに隠れる?どこならあの暴虐なる王位継承者の目をあざむける?
その時、乙姫つづりの目に白い建物が飛び込んで来た。
あそこだ!
公衆トイレ。
乙姫つづりは駆け込み、最奥の個室に入り、鍵をしめた。
かくれんぼ。の遊びにおける圧倒的な紳士協定違反!しかも男子トイレの個室!!
梓星ゆえは一つの星の王位継承者。乙姫つづりとは比較にならぬ外聞がある。男子トイレに入るなどと言うことは、絶対にできぬはず!
トイレ個室というプライベートゾーン、さらに王者の面子を逆用する悪魔の閃き!
乙姫つづりは一息ついた。スマホを出す。
試合開始から4分30秒。ここであと10分半待てばいい。
1分が過ぎ、2分が過ぎた。
乙姫つづりは異常に気づいた。おかしい。静かすぎる。
平日の公園とは、もっと子供や親の笑い声に満ちているものではないのか? その時、それが来た。
「つーづりーん?どこかなー?」
梓星ゆえの声。公衆トイレのすぐ外から聞こえる。
ひっ、と悲鳴を上げそうになり、乙姫つづりは口を抑えた。
大丈夫。梓星ゆえは外だ。気づかれていない。
万が一こちらを察知されても、自分には男子トイレという禁忌、個室の鍵、という二重の防壁がある。
ここは絶対に安全だ。
汗がしたたる。気づけば涙も流していた。
しかし梓星ゆえの足音は徐々に遠ざかり、消えた。
命がつながった。
ふぅ。と胸を撫でおろして、息を吐く乙姫つづり。
ずどん!!
音がして、目の前に梓星ゆえの腕が現れた。
コンクリートの壁を突き破って。
腕が個室内に突き入れられていた。
「つーづーりーん。ここだよねー?」
乙姫つづりは絶叫を上げようとした。しかし本能がそれを抑えた。
ここで声を出せば待つのは死だ。
上がってくる悲鳴、飲み込む本能が喉で衝突し、呼吸ができなくなる。
微かに残った理性が乙姫つづりを救った。
個室の扉を開く。そして駆け出した。