おとひめつづりはあくやくれいじょう
『学園実技披露会』
モークロック学園の教室。
単眼鏡の女性教師が黒板に記した。
「さて、皆さん。卒業を間近にした皆さんは、この披露会でその身分にふさわしい勉学と鍛錬の成果を、来賓の皆さまの前で御披露しなければなりません。
学園の教育に対する評価もかかっています。皆様の活躍に期待しますよ」
ヒメはネマをちら見した。教室の隅で縮こまっている。
まぁ気持ちはわかる。
ヒメも運動が苦手な文化部だ。体育祭に出番はない。
…でもこれはチャンスでは?
ここでネマを活躍させればギン・フレとカイドーを振り向かせられるのでは?
でもどんな実技ならばネマを活躍させられる?
「それでは参加する種目を決めていきましょう。まず剣術試合に参加する者」
「おう!」カイドーが名乗りを上げる。
ヒメは悩んだ。
ここでネマと参加し、わざと負けるか?
…いやだめだ。ヒメと彼女の実力差は誰もが知っている。
単なる幸運による勝利だと思われてしまうだろう。
「次はマラソン走。これはかつて勇者が魔王ゴチクンを封印した際、戦士マラトンが走って勝利を知らせた故事に由来する、伝統的な競技です」
体力のありそうな生徒が手を上げた。
これもだめだ。
ネマはうつむいたまま。
並走して回復魔法をかけ続ける手もあるが、さすがにばれるだろう。
攻撃魔法実技、槍投げ、飛行魔法実技、円盤投げ、変身魔法実技…。
次々に参加者が決まっていく。
「さて次は二人三脚です。これは王国重装歩兵の隊列突撃に由来する誠に伝統ある…」
「はい!!!はい!はい!出ます!!ヒメとネマの2人で!!」
ヒメは全力で手を上げた。
「え?え?ええー!!?」
椅子から転げ落ちそうになるネマ。
「何か不満かな?」
「い、いえ、で、でもネマなんかが、ヒメ様と…」
「ヒメなんかじゃネマ様と釣り合わないかな?」
「めっそーもございません!!」
土下座するネマ。
「では、二人三脚はヒメ様とネマ様で決まりですね」
教師が黒板に名前を記した。
「毎年、この競技を甘く見る者が実に多い。単に運動能力に任せて走れば良いというものではありません。
お二人には期待していますよ」
-----------------------
モークロック学園、お昼休み。
2時間を超える長い休み時間である。
自宅に帰って食事をする生徒も多いが、ヒメは食堂で手早く済ませた。
今日は食堂にネマの姿はなかった。
どこに行ったのかな…?
探して校舎内を歩いていると、物憂げに内庭を見つめているギン・フレを見つけた。
「あ、ギン・フレ。ネマ見なかった?」
「いえ。彼女はいつも食堂にいるはずですが」
振り向きもせずに答えるギン・フレ。
彼らしくない。
「どーしたの?」
「失礼。少々考え事をしておりました」
「考え事?」
「将来のことです」
むなしげな表情でこちらを向くギン・フレ。
「私は卒業後に王立魔法院に進学します。そして父の決めた婚約相手と、結婚しなければなりません。それがたまらなく私を滅入らせるのです」
「あー、王族さんはそういうの大変だよねぇ」
「不思議ですね貴方は。貴方も似たような境遇なのに、まるで他人事のようにおっしゃる」
ヒメはそれまでこの世界にいないので、完全に他人事だ。
「どんな人なの?あなたの婚約相手って?」
「スタスプ家のご令嬢です。素晴らしいお嬢さんです。ですが…」
「何か問題があるの?」
「いや…」
「他に好きな人がいるとか?」
「そ、そのようなわけでは!!」
慌てるギン・フレ。
「そ、そのようなことはございません!!
わたしには思い人など…許されない…決して許されない…!!」
「おーい、何の話をしてるんだ」
廊下の先から声。やって来たのは、豪放で快活な男。カイドーだ。
「カ、カイドー!!?」
驚いて振り向くギン・フレ。
「な、なんでもない。ただの世間話だ!!」
「おいおい、隠してねぇで俺も混ぜてくれよ」
「お前には関係ない話だ!!」
やけにつっけんどんに突き放すギン・フレ。
その頬がわずかに紅潮している。
…?
もしや?
…まさかまさか?
「ヒメ様もなに笑ってんだ?」
「へ?」
いつの間にか、にやついていたことに、ヒメは指摘されて気づいた。
「いえいえ、お二人の仲睦まじさについ顔が綻んでしまいましたの。
ではヒメはこれで」
ヒメはそそくさとその場を去った。
さて自分はどうしたものか。
----------------------
「あ、ヒメお嬢様こちらに」
校舎内をうろついていると、鞄を抱えたユーネが小走りにやってきた。
「ユーネ。どうだった?ネマは見つかった?」
「はい。ネマ様もお嬢様をお探しでした。あちらでお待ちです」
「ネマが?案内して」
「…?ヒメお嬢様、失礼ながらやはりどこかお具合が?顔色がすぐれませんが」
「ちょっとめまいがしただけ。行こ」
ユーネに連れられて向かったのは、休憩室の一つ。
お茶の用意がされたテーブルで、ネマが待っていた。
「あ、ヒメ様。ユーネさんに頼んでしまい申し訳ございません」
立ち上がって頭を下げるネマ。
「いいのいいの、ヒメもあなたを探してたから」
「ささやかながらお茶の用意をしておきましたので、おかけください」
「どうしたの?」
席につくヒメ。
「実は…ヒメ様に相談がありまして」
「相談?」
「その…ネマ、なやんでる事があるんです。
今まで、人様とお付き合いしたりとかそういうことなかったんですけど、
この度お付き合いをすることになりまして…」
「え」
ちょっと待て。
いいのかこれ。
いや、ネマの人生はネマの人生でいい。
めでたいことだ。
だけど、この相手はギン・フレでもカイドーでもないだろう。
ダメダ・メーは王家の血を引く彼女が云々と言っていた。
王家の相手意外と結ばれた場合、この世界はどうなる…?
ネマが続ける。
「そのお相手の方の信頼してる先生のところに一度行って、見てもらったんですけど…」
「ネマが?」
「はい」
「魔法のために声を出すのが、良くない、みたいな、言われちゃって…
王立魔法院に進学して行ったら…」
「ちょっと、まっ…その人何の人?」
「王国騎士です」
「うん」
「たまたま警備隊詰所の近くのベンチで座ってたら声かけられまして…」
「喋っちゃったの…?」
「はい」
「うん」
「お食事に行ったりしまして、そういう感じになったんですけど…どうしようと思いまして」
「なんで…?」
なんという偶然だろうか。
いや彼女にとっては幸運な出会いなのかもしれないが…。
「正直ネマなんかが、王立魔法院でやっていけるかわからないですし…悪いって言われましたし」
「その先生は、何の人なの?」
「先生はですね、未来が見える人なんです」
「それ信じるの?」
「当たるらしいです。なにしろ魔王ゴチクンの力を使ってるらしいですから」
「い、いやいや…w」
…
…ゴチクン?
おい。
おもいっきり邪教じゃねぇか。
「いやまてまてまて。ネマ、いうてまだあなた15歳よ。成人の儀から2か月たったばっかりだよ」
「そうなんですけどね…まぁ、コレで進学をやめて、家庭に入るって言うのもなあと思ったんですけど…」
「そうだよ…え、マジ、まじで言ってる?」
「う~ん。悩んでるんですよ」
「その、お付き合いの事に関しては何もいけないけど、もうちょっと真剣に進学のことを考えても良いんじゃない?あなた勉強は好きなんでしょ?」
「勉強してる間も、やっぱ先生に言われた事ちょっとよぎっちゃって…良いのかなコレで…って思っちゃって」
「ネマ、そこまで占いの人とか信用するタイプなの?」
「喋ってると、深みが…あって」
「昨日の占星術概論の授業の時も、おなじこと言ってたよね」
「違うんですよね喋り方とか、やっぱり。本物なのかなあって、思って」
本物だったらなお悪いわい。
ゴチクン教の関係者は火あぶり。
最悪ネマも巻き込まれる恐れがある。
「ね、それを信じるにしてもね、入学手続き的はもう終わってるし…」
「そうですねぇ…ある程度の期間、在籍してから先生と相談して退学ですかねぇ」
「え。ほんき?え、マ、マジ?
だってその人の事、ダ女神の情報に何も…何も言われなかったよ今まで」
「まあ今、一週間くらいなんですけど」
「浅せぇよ。だいぶ浅せぇよ」
「いろいろ優しい人なんで…」
「いやぁ…」
困った。
この世界の命運の解決策は他にみつけるにしても、ネマの人生はどうなる。
下手するとこのまま火刑台一直線だ。
「いやいやいやいやいや…」
「まぁ…ちなみに」
ネマが満面の笑みで言った。
「全部コレ噓なんですけど」
…
……
………
「あ?」
ヒメは右手の拳を必死で抑えた。
「なんで、なんでこんなことした?」
「ちょっとヒメ様のことを試してみようかなって思いまして」
「どういうつもりじゃ、殴るぞ!?」
「やっぱりヒメ様かわりましたね。
以前のヒメ様だったらこのようなことをされたら、殴る程度では済まさぬはず。ネマは決めました。ヒメ様といっしょに二人三脚に出ます。
よろしくお願いします!」
「まとめた?今」
「wwwwwまとめました」
ただの小動物かと思っていたら、案外ちゃっかりした子だ。
「はぁああああ」
脱力するヒメ。
「ネマ、お付き合いの『お』の字もありませんし、ゴチクン教とか信じてませんので…」
「マジだったらほっぺぶん殴ってたよ!」
----------------------
Tuduri Ch.乙姫つづり
ネマが結ばれる相手って攻略対象じゃなきゃダメなの?
18:02
女神ちゃん☆
そーだよ。世界維持のパワーを生み出せるのは、王家の血を引く人同士が結ばれた時だけだよ
16:02
Tuduri Ch.乙姫つづり
なんでそんなことに?
16:04
女神ちゃん☆
なんとなく…(><)
16:04
Tuduri Ch.乙姫つづり
ていうかあんたの『女神ぱわー』でなんとかならないの?
16:05
女神ちゃん☆
創るのは得意だけど維持するのは苦手なんゴねぇww
だからこんな世界にしたんゴねぇww
16:05
Tuduri Ch.乙姫つづり
あとで一発なぐるから
16:05
女神ちゃん☆
かなしいめうー(/ω\)
16:05
モークロック学園の教室。
単眼鏡の女性教師が黒板に記した。
「さて、皆さん。卒業を間近にした皆さんは、この披露会でその身分にふさわしい勉学と鍛錬の成果を、来賓の皆さまの前で御披露しなければなりません。
学園の教育に対する評価もかかっています。皆様の活躍に期待しますよ」
ヒメはネマをちら見した。教室の隅で縮こまっている。
まぁ気持ちはわかる。
ヒメも運動が苦手な文化部だ。体育祭に出番はない。
…でもこれはチャンスでは?
ここでネマを活躍させればギン・フレとカイドーを振り向かせられるのでは?
でもどんな実技ならばネマを活躍させられる?
「それでは参加する種目を決めていきましょう。まず剣術試合に参加する者」
「おう!」カイドーが名乗りを上げる。
ヒメは悩んだ。
ここでネマと参加し、わざと負けるか?
…いやだめだ。ヒメと彼女の実力差は誰もが知っている。
単なる幸運による勝利だと思われてしまうだろう。
「次はマラソン走。これはかつて勇者が魔王ゴチクンを封印した際、戦士マラトンが走って勝利を知らせた故事に由来する、伝統的な競技です」
体力のありそうな生徒が手を上げた。
これもだめだ。
ネマはうつむいたまま。
並走して回復魔法をかけ続ける手もあるが、さすがにばれるだろう。
攻撃魔法実技、槍投げ、飛行魔法実技、円盤投げ、変身魔法実技…。
次々に参加者が決まっていく。
「さて次は二人三脚です。これは王国重装歩兵の隊列突撃に由来する誠に伝統ある…」
「はい!!!はい!はい!出ます!!ヒメとネマの2人で!!」
ヒメは全力で手を上げた。
「え?え?ええー!!?」
椅子から転げ落ちそうになるネマ。
「何か不満かな?」
「い、いえ、で、でもネマなんかが、ヒメ様と…」
「ヒメなんかじゃネマ様と釣り合わないかな?」
「めっそーもございません!!」
土下座するネマ。
「では、二人三脚はヒメ様とネマ様で決まりですね」
教師が黒板に名前を記した。
「毎年、この競技を甘く見る者が実に多い。単に運動能力に任せて走れば良いというものではありません。
お二人には期待していますよ」
-----------------------
モークロック学園、お昼休み。
2時間を超える長い休み時間である。
自宅に帰って食事をする生徒も多いが、ヒメは食堂で手早く済ませた。
今日は食堂にネマの姿はなかった。
どこに行ったのかな…?
探して校舎内を歩いていると、物憂げに内庭を見つめているギン・フレを見つけた。
「あ、ギン・フレ。ネマ見なかった?」
「いえ。彼女はいつも食堂にいるはずですが」
振り向きもせずに答えるギン・フレ。
彼らしくない。
「どーしたの?」
「失礼。少々考え事をしておりました」
「考え事?」
「将来のことです」
むなしげな表情でこちらを向くギン・フレ。
「私は卒業後に王立魔法院に進学します。そして父の決めた婚約相手と、結婚しなければなりません。それがたまらなく私を滅入らせるのです」
「あー、王族さんはそういうの大変だよねぇ」
「不思議ですね貴方は。貴方も似たような境遇なのに、まるで他人事のようにおっしゃる」
ヒメはそれまでこの世界にいないので、完全に他人事だ。
「どんな人なの?あなたの婚約相手って?」
「スタスプ家のご令嬢です。素晴らしいお嬢さんです。ですが…」
「何か問題があるの?」
「いや…」
「他に好きな人がいるとか?」
「そ、そのようなわけでは!!」
慌てるギン・フレ。
「そ、そのようなことはございません!!
わたしには思い人など…許されない…決して許されない…!!」
「おーい、何の話をしてるんだ」
廊下の先から声。やって来たのは、豪放で快活な男。カイドーだ。
「カ、カイドー!!?」
驚いて振り向くギン・フレ。
「な、なんでもない。ただの世間話だ!!」
「おいおい、隠してねぇで俺も混ぜてくれよ」
「お前には関係ない話だ!!」
やけにつっけんどんに突き放すギン・フレ。
その頬がわずかに紅潮している。
…?
もしや?
…まさかまさか?
「ヒメ様もなに笑ってんだ?」
「へ?」
いつの間にか、にやついていたことに、ヒメは指摘されて気づいた。
「いえいえ、お二人の仲睦まじさについ顔が綻んでしまいましたの。
ではヒメはこれで」
ヒメはそそくさとその場を去った。
さて自分はどうしたものか。
----------------------
「あ、ヒメお嬢様こちらに」
校舎内をうろついていると、鞄を抱えたユーネが小走りにやってきた。
「ユーネ。どうだった?ネマは見つかった?」
「はい。ネマ様もお嬢様をお探しでした。あちらでお待ちです」
「ネマが?案内して」
「…?ヒメお嬢様、失礼ながらやはりどこかお具合が?顔色がすぐれませんが」
「ちょっとめまいがしただけ。行こ」
ユーネに連れられて向かったのは、休憩室の一つ。
お茶の用意がされたテーブルで、ネマが待っていた。
「あ、ヒメ様。ユーネさんに頼んでしまい申し訳ございません」
立ち上がって頭を下げるネマ。
「いいのいいの、ヒメもあなたを探してたから」
「ささやかながらお茶の用意をしておきましたので、おかけください」
「どうしたの?」
席につくヒメ。
「実は…ヒメ様に相談がありまして」
「相談?」
「その…ネマ、なやんでる事があるんです。
今まで、人様とお付き合いしたりとかそういうことなかったんですけど、
この度お付き合いをすることになりまして…」
「え」
ちょっと待て。
いいのかこれ。
いや、ネマの人生はネマの人生でいい。
めでたいことだ。
だけど、この相手はギン・フレでもカイドーでもないだろう。
ダメダ・メーは王家の血を引く彼女が云々と言っていた。
王家の相手意外と結ばれた場合、この世界はどうなる…?
ネマが続ける。
「そのお相手の方の信頼してる先生のところに一度行って、見てもらったんですけど…」
「ネマが?」
「はい」
「魔法のために声を出すのが、良くない、みたいな、言われちゃって…
王立魔法院に進学して行ったら…」
「ちょっと、まっ…その人何の人?」
「王国騎士です」
「うん」
「たまたま警備隊詰所の近くのベンチで座ってたら声かけられまして…」
「喋っちゃったの…?」
「はい」
「うん」
「お食事に行ったりしまして、そういう感じになったんですけど…どうしようと思いまして」
「なんで…?」
なんという偶然だろうか。
いや彼女にとっては幸運な出会いなのかもしれないが…。
「正直ネマなんかが、王立魔法院でやっていけるかわからないですし…悪いって言われましたし」
「その先生は、何の人なの?」
「先生はですね、未来が見える人なんです」
「それ信じるの?」
「当たるらしいです。なにしろ魔王ゴチクンの力を使ってるらしいですから」
「い、いやいや…w」
…
…ゴチクン?
おい。
おもいっきり邪教じゃねぇか。
「いやまてまてまて。ネマ、いうてまだあなた15歳よ。成人の儀から2か月たったばっかりだよ」
「そうなんですけどね…まぁ、コレで進学をやめて、家庭に入るって言うのもなあと思ったんですけど…」
「そうだよ…え、マジ、まじで言ってる?」
「う~ん。悩んでるんですよ」
「その、お付き合いの事に関しては何もいけないけど、もうちょっと真剣に進学のことを考えても良いんじゃない?あなた勉強は好きなんでしょ?」
「勉強してる間も、やっぱ先生に言われた事ちょっとよぎっちゃって…良いのかなコレで…って思っちゃって」
「ネマ、そこまで占いの人とか信用するタイプなの?」
「喋ってると、深みが…あって」
「昨日の占星術概論の授業の時も、おなじこと言ってたよね」
「違うんですよね喋り方とか、やっぱり。本物なのかなあって、思って」
本物だったらなお悪いわい。
ゴチクン教の関係者は火あぶり。
最悪ネマも巻き込まれる恐れがある。
「ね、それを信じるにしてもね、入学手続き的はもう終わってるし…」
「そうですねぇ…ある程度の期間、在籍してから先生と相談して退学ですかねぇ」
「え。ほんき?え、マ、マジ?
だってその人の事、ダ女神の情報に何も…何も言われなかったよ今まで」
「まあ今、一週間くらいなんですけど」
「浅せぇよ。だいぶ浅せぇよ」
「いろいろ優しい人なんで…」
「いやぁ…」
困った。
この世界の命運の解決策は他にみつけるにしても、ネマの人生はどうなる。
下手するとこのまま火刑台一直線だ。
「いやいやいやいやいや…」
「まぁ…ちなみに」
ネマが満面の笑みで言った。
「全部コレ噓なんですけど」
…
……
………
「あ?」
ヒメは右手の拳を必死で抑えた。
「なんで、なんでこんなことした?」
「ちょっとヒメ様のことを試してみようかなって思いまして」
「どういうつもりじゃ、殴るぞ!?」
「やっぱりヒメ様かわりましたね。
以前のヒメ様だったらこのようなことをされたら、殴る程度では済まさぬはず。ネマは決めました。ヒメ様といっしょに二人三脚に出ます。
よろしくお願いします!」
「まとめた?今」
「wwwwwまとめました」
ただの小動物かと思っていたら、案外ちゃっかりした子だ。
「はぁああああ」
脱力するヒメ。
「ネマ、お付き合いの『お』の字もありませんし、ゴチクン教とか信じてませんので…」
「マジだったらほっぺぶん殴ってたよ!」
----------------------
Tuduri Ch.乙姫つづり
ネマが結ばれる相手って攻略対象じゃなきゃダメなの?
18:02
女神ちゃん☆
そーだよ。世界維持のパワーを生み出せるのは、王家の血を引く人同士が結ばれた時だけだよ
16:02
Tuduri Ch.乙姫つづり
なんでそんなことに?
16:04
女神ちゃん☆
なんとなく…(><)
16:04
Tuduri Ch.乙姫つづり
ていうかあんたの『女神ぱわー』でなんとかならないの?
16:05
女神ちゃん☆
創るのは得意だけど維持するのは苦手なんゴねぇww
だからこんな世界にしたんゴねぇww
16:05
Tuduri Ch.乙姫つづり
あとで一発なぐるから
16:05
女神ちゃん☆
かなしいめうー(/ω\)
16:05