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メモ系

2011-11-13 14:06
29 ともあり
くろいさんは、「昼の廊下」で登場人物が「騙される」、「長袖」という単語を使ったお話を考えて下さい。 http://bit.ly/gHs2bn #rendai

posted at 23:26:37 削除

部屋の前、ガラスの向こうを見つめる智明に、佐久間はそっと声をかけた。智明はああ、とにこやかに佐久間に向き直り、おはよう。と挨拶をする。おはようございます。そう返す間に、智明の視線はガラスの向こうへ戻ってしまっていた。佐久間は斜め後ろに並ぶようにして、智明の視線を追う。

posted at 23:30:08 削除

聞こえないな。智明が呟く。え?鳥の声。ぽつぽつと落ちるような言葉に、佐久間は微笑みで返す。あんなに、鳴いてたのに。智明の手が、薄く曇ったガラスを伝って落ちた。ふらりと後ろに倒れゆく体を支えた佐久間は智明の擦り切れた袖口を指先で撫で、チュンチュンと耳障りな程五月蝿い窓の外を見遣る。

posted at 23:35:08 削除

寒いほどに空調を効かせた邸内で、智明は今だ、出会った頃に纏っていたものと同じ服装をし続けていた。季節が半分巡り、花が葉になって青々と繁っても。「……また、埃が」佐久間は智明の指先に付いた汚れをハンカチを取り出して拭うと、藤堂を呼び付け部屋へと運ぶように指示をする。

posted at 23:40:32 削除

寝息も微かに眠り続ける智明を、藤堂は壊れ物を抱くように持ち上げ、佐久間の開けたドアからベッドへと進んだ。「丁度良いですから、今日は皆で清掃に当たりましょう」はい、と藤堂が短く答える。伝えてくるっす。逃げるように部屋を出る藤堂を見送り、佐久間はもう一度、智明に布団をかけ直した。

posted at 23:44:30 削除

屋敷に、清掃を担当するものはもう居ない。智明の腕の中で、笑いながら固くなっていた有里を見付けたのも佐久間だった。春の終わり。呆気なく去った少年に、智明の心はさらわれていった。死を悼むことのない智明は、今でも彼を求め鳴くか弱いものを探している。

posted at 23:49:53 削除

外の陽気など必要なかった。ご主人様は、あの肌寒い5月の日を望んでいるのだから。佐久間は部屋のドアを閉じた。明るく差し込む日差しの狭間。智明のなぞった指の跡だけが、ガラスにくっきりと浮かび上がっていた。fin

posted at 23:54:10 削除
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