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ファタモルガーナの館系(過去ログ)

2013-03-02 02:07

※四章でバックログにのみ現れる文章抜き出し。
盛大にバレ。極めて閲覧注意。




―――――――――――

過去を思い出しても、それは呆れるほどに無駄なこと。
消し去りなさい。
全ての悲しき出来事を。
ひとかけらの幸福と引き換えに。
過去などあなたには必要ないのだと……
私が教えて差し上げましょう。

私に流れる血はお前たちの糧となり
お前たちの富となる。
私の犠牲の上にお前たちは笑い合い
その生涯を終えていくことを
主は許さず。
これこそ
これこそが
私が天から授かった力。
私に流れる血はお前たちの呪いとなり
星空を覆い隠す。
私の名はモルガーナ。
呪われた魔女。
さあ……
始めましょう。
この世界を美しく閉じるための物語を。

暗闇に閉ざされ続けてきたあなたは……
私が朽ちた屋敷で光を得た。
それは一人の女が与えた光。
嘘ではないでしょう……?
さあ私にすべてを委ねなさい。
決して汚らわしい物語にはさせませんよ。
私……
あなたのことは特別に扱うつもりですから。
そう
これは私の優しさ。
私の温情。
あなたは真実を知られたくない……。
そして私には彼女が必要……。
だから
お互いのために
あなたが愛した人を
書き換えましょう。


あ   あ あ あああ   あ ああああ あ ああ  あ あ
     あ     ああ  あ あ あ あ
あああああああああああああああああああああ あああああああ


 あ あたまの  な  なかに
は   はいり  こんで  く      る
 お  おも おもいだせ  そうだった ものが
   ぬ ぬり  かえ  られ  ああ   あ  あ  あ
や       め


あはははは……
なんて美しい物語。
……これでいいじゃないですか。

ところで………
真理をひとつ言いましょうか。
人というのは、他人を愛したり信じたり守るよりも――
他人を陥れ傷つけ裏切る可能性の方が断然高く――
そうする人間の方が断然多いのです。
あなただって……、人がそういうものであると――
どれほど信じ抜いた人間でも自分を裏切るのだと……
ようく分かっているでしょう?

私の愛しき友人よ……。
あなたと私は最も近しい者同士。
あなたと私は犠牲者であり――
復讐者たりえるのです。

良いではありませんか。
このお話をあなたの真実にしてしまいましょう。
今だけは綺麗な物語に心を委ね――
そしてジゼルと共に館に残りなさい。
今だけは夢を見ていなさい。


…………。
……お前は誰なんだ……。


あら……驚いた。
……あなた、意志を持っていたのですか?
自分が誰だか分かっているの?


…………。


あはは……何も分かっていないのですね。


……お前は……誰なんだ……。


あなたの傍にいた者ですよ……。


…………。


本当にあなたは粉々になってしまったのね……。
それでよく、またここに来られたものです。


…………。


まあ……、そのうち思いだしますよ……。
私がゆっくり時間をかけて……
もう一度……あなたに語りかけてあげる。
あなたの心を、今度こそ――
私と同じ存在にしてさしあげましょう。

……あはは……。
……お人形たちの素敵な物語……。
あなたもそう思うでしょう?


……ジゼル……。
ジゼル………?


ええ、ジゼルです。
そこにいる白い髪の娘が――
ジゼルですよ。


彼女と共に……、本を読んだことが……ある。
暖炉の……前で…………。


いいえ、その記憶は偽りです。
本は書庫にあるもの、どうして暖炉になどいきましょうか。


…………。


呪いましょう。
殺めましょう。
憎みましょう。
彼らの魂に永劫の苦しみを。
我々の苦しみの上に笑い合う愚かしい者どもに
復讐を。


暗闇だ。
暗闇だ。暗闇だ。暗闇だ。
いつからここは暗闇だった?
いつから“私”は暗闇に包まれていた?
……ここは……、とても冷たくて寒い。
……彼女は……どこに行ったのだろう……。
……彼女は……、そう……ジゼルだ……。
暗闇を照らす満面の笑みを浮かべる人で――
私は彼女の手を取らなければならない……。
……だって、ずっと呼ばれていたのだから……。
……彼女の手を取る……?
……けれど私は呪われていて……
……それをしては、彼女の命が……
…………。
……ちがウ……。
……ちガう、チがう、チガう……。
……こレハ……

  コ  ン    ナ
            モ  ノ  ハ
     ウ      ソ           ダ




    
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