「今日も頑張りましたー」
　シャワーを済ませてベッドにゴロリ。こちらでは湯船に浸かるという習慣がほぼないので、日本に染まりきってしまったアタシとしては湯船が恋しくなってきてしまった。
　量の多い髪をしっかりと拭いて、遠征先で出来た友だちに教えてもらった地元のヘアオイルを髪につけて乾かす。
（日本にいたときはグラスがたまにしてくれたっけ）
　してくれたというか、甘えてお願いしたというか。グラスの指が髪を優しく梳かしてくれる、あの感触が懐かしい。
　グラスの指を思い出しながら髪を梳かして乾かしていく。
「この時間では電話は出来ませんね」
　日本はそろそろ授業の時間だろうか。グラスとすれ違いになることの多い、この時差がもどかしい。
　メッセージだけ、入れておこう。
　スマホをポチポチといじって、愛しい愛しいグラスにメッセージを送る。運が良ければ起きた頃には返事があるはずだ。
　学校から出された宿題をしっかりと片付ける。ここにはお尻を叩いてくれるグラスがいないから、自主的にしっかりやらないと帰国したときに大目玉を食らってしまう。
　宿題も終え、時刻はすっかり寝るには良い時間。
　机の上に置いてあった大きいグラスのぱかプチを持ってベッドに潜る。このぱかプチには、グラスが普段使っている練り香水と同じ匂いの香水の香りを染み込ませてある。
　抱きしめると日本でいつも嗅いでいたグラスのにおいがして、安心する。
「グッナイ、グラス」
　明日も頑張ろう。
　勝利を手にグラスの元に帰れるように。