回転寿司。それは目の前に流れていくキラキラとした海の宝石たち。わくわくの宝物。美味しいやつ。海のものだけとも限らない。たまごとか今はハンバーグとかお肉のお寿司まであるのだ。
「グラスグラスー！　牛肉のやつ取って下さーい」
「はーい」
　期間限定だという黒毛和牛の握り寿司。持ち込みさせてもらったホットソースをたっぷりとかけて食べる。うーん、とってもとっても美味しいデス。
　グラスはたまごのお寿司。適量のわさびで食べてる。グラスは何のこだわりかは知らないけれど、一皿目は必ずたまごを食べるのだ。エルにはたまごは甘すぎるから無理で、真似は残念ながら出来ない。
「次はあぶりチーズサーモン！」
「私はマグロを」
　あぶりチーズサーモン。これもホットソースと良く合う。チーズで炙ってる寿司ネタはみんなホットソースが合うのだ。あぶりチーズえび、あぶりチーズまぐろ。ホットソースが良く合う寿司ネタを中心に。
　グラスはイカ、タコ、えんがわとシブいチョイス。それをわさびをつけたり付けなかったりして食べてる。
「グラスー、お茶のおかわりいるー？」
「はい、お願いします」
　席に付いてる謎の蛇口。初めてグラスと一緒に回転寿司に来たときは手を洗うやつだと思って火傷して、グラスに心配されて、怒られて、最後には笑われちゃったっけ。
　お茶の粉を一、二、三杯。ちょっと濃いめがグラスの好み。
「どうぞ」
「ありがとうございます。エル、これ食べます？」
「グラシアス！」
　お茶を渡したら交換にグラスがサーモンとマグロをくれる。今度はそれにホットソースじゃなくてわさびとお醤油。
「ん〜！　ツーンってしましたぁ」
「ふふっ。エルはいつも付けすぎなんですよ〜」
　わさびでもやっぱり辛いのが良くて多めに付けちゃうけど、わさびのツーンとした辛さには勝てなくて、涙がうるうるしてきちゃう。
「なんでグラスは平気なんデスか？」
「それは適量を守っているからですよ」
「う〜！　ホットソースならこんな辛さは全然平気なのに〜！」
　なんでわさびの辛さってこう我慢できないんだろう。ツーンって来なければ全然平気なのに。
「あっ、ポテトがやっときました！」
　最初のうちに注文していたフライドポテトがようやく来た。揚げたてサクサクのこのポテト。ハンバーガーショップやファミレスでも食べられるけど、また違った味わい……な気がする。
「エル、一つください」
「一つと言わず三つでも四つでも！」
　初めて一緒に来たときはグラスはお寿司屋さんでフライドポテトはアリなのか悩んでいたけど、最近はエルが食べてるとちょうだいってしてくる。やっぱりグラスもアメリカン。フライドされたポテトには抗えませんよね。言ったら怪訝な顔されそうだから言わないけど。
「グラスー、海老アボカド食べます？」
「……たまには、いいでしょう」
　最初は和のものへのこだわりが凄かったけど、今ではエルが進めればこうして変わり種なやつも食べてくれる。
　グラスとの距離縮んだなーって実感する、そんな回転寿司の日。