お祭りで見つけたふわふわのわたあめ。アタシはこれはちょっと食べられないから、グラスにあげたい。たぶんわたあめ食べてるグラスは、すごくかわいいから。
「あっ、グラスー！」
金魚すくいをしてるグラスをこちらに呼んで、口元にわたあめを押し当てる。
突然のことに目を丸くしてたけど、でもはむって食べて、離れたら鼻の頭にわたあめが。
「グラス、付いてます」
「誰のせいですか」
「えへへ、わたあめ食べてるグラスがかわいいなって思ったから」
グラスの鼻についてたわたあめを一口ぱくり。シュワシュワ溶けて甘くて、むぅ、ちょっとへにゃってなる。
「甘すぎデス」
「もう、自分で食べないのに買わないの」
「だってグラスに食べてほしかったんデス」
「？」
何もわかってない顔。だけどそれすらかわいいから。
祭囃子のリズムに合わせてアタシの足元も踊ってしまうのだった。