君の
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《君の脚》
黄色人種というものは、胴長短足らしい。…というか、そういうどうにもならないウィークポイントは種族のせいにしたい。
そう思うのは無理もないと言ってほしい、だって、比較対象がおかしいんだから。
「さっきからなんなんだ、お前」
『…脚、長いなぁと』
「リアクションとしてどうなんだ、それ」
『転ばせた張本人がそれ言いますか』
テーブルにお茶を運んでいる途中、ジンが脚を伸ばして私の脚をひっかけた。
盛大に転んでカップは割れるし、お茶は被るし、散々だ。確かに怒るポイントではあったが、脚を引っ掛けられるなんてしょっちゅうだから、と。わざわざ少し離れて歩いたのに。
思いっきり転んだ自分が情けない。なんでここまで脚が届いたんだ。
「…とりあえず、片付けろ」
『…私が……?』
「………ほら」
カップの破片を拾いながら、布巾を投げてよこす。
だよね、元凶はそっちだもんね。
「どんくせぇな、お前」
『脚まで器用とか逆に凄いね』
「普通だろ」
溜息は口から出ずに終わった。彼はこういう人だ、楽しいんだろう、私をからかうのが。
『白人は皆脚長いのかな、ベルモットもキャンティーもだし』
「人種のせいにするか」
『私が転んだのはジンのせいだけどね』
「…まだ怒ってんのか」
『お気に入りのブラウス、染みになっちゃったんだもん』
ぷぅ、と頬を膨らませれば。彼が溜息をついた。
「…今度の休みは買い物つきあってやる」
そして、そう言いながら私を引き寄せた。
『本当?嬉しいな』
ソファーに並び直して彼に寄り掛かったつもりだったのに、肩を引いた彼のせいで頭は少々勢いを伴って彼の膝へ。
『ジン?』
「…長い脚は良いことにも生かさなきゃな」
『ジンって、自信家だよね』
「間違ってたか?」
『ううん、ジンの膝枕って新鮮だし。あと、やっぱりこのアングルで見るジン好き』
横に流れる髪を弄りながらそう返す。もう、脚が長いのはよくわかった。割と筋肉質で固いことも。
「野郎の脚なんざ固くて寝れねぇだろ」
『確かに固いけど…なんか落ち着く。腕枕みたいな安心感じゃないけど、なんかいい』
「…そうかよ」
『ジン…少し寝ていい?こうしてると、とても眠くて…』
「ああ」
おやすみ、雨月
君の脚
長くて器用でちょっと固いけど
私が好きな枕のひとつ
(腕枕も捨て難いもの)