君の
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《君の指》
するすると、髪を撫でられる感覚で目が覚めた。
覚めたといっても、あまりの心地よさに微睡から抜け出すことはできなくて。
頭は覚醒していたけれど目をつむっている状態。
頭を撫でるような動きから、撫でているであろう指は毛先の方へ移っていくのか、感覚が遠くなる。
髪の毛にも神経が通っていればいいのになんて馬鹿なことを考えていれば、髪を弄っていた指先が頬を撫で始めて、ついくすぐったさに目を開けてしまった。
『おはよ、ジン』
「随分と遅い挨拶だな」
今の時間のことを言っているのか、はたまた起きていたことに気付いて言っているのか。
頬を撫でる指が離れてしまったことを残念に思いながら時計に目を移す。
『わぁ、本当に遅い』
「ああ。まさか昼過ぎまで寝てるとはな」
『…だってジンが朝まで寝かしてくれないから』
私が眠ったのは。いや、意識を飛ばしたのは空が白み始めてからだった。
なんて昨夜のことを思い返せば頬がじわじわと熱くなってくる。
「最後まで欲しがったのはお前だろ?」
『それは、ジンが言えって言ったからで…っ』
「なんなら、今から続きしてやろうか。どうにも誘ってる格好だしな」
言われてやっと気づいた、自分の格好。
シーツの下には一糸まとわぬ自分の体と、すでにラフな服装に着替え終えてる彼。
慌ててシーツを手繰り寄せれば、楽しそうに笑う緑の瞳。
「今更何が恥ずかしいんだよ」
『わ、私だけ着てないなんて、なんかやだ』
「ククッ、いいことを聞いたな。次はそうしてやろうか?」
すす、と頬に伸びてきた指が酷く優しくて、横に振りたい首をうまく動かせない。
そして、その指はシーツを握りしめる私の手を悪戯に撫でる。
彼の指は器用だ。彼自身がとても器用だからか、いつもいいように動く。
実際今、握りしめていた手の力は抜け始めていて、空いていた右手が私の髪を撫でればすぐに隙ができてしまう。
「これでFBIだったなんて信じられねぇな」
ぐっと引き寄せられた彼の腕の中。
私と彼の間には、彼のシャツ1枚しかない。
手を弄っていた指はいつの間にか背中に回されて、つつつ…と背骨をなぞる。
「隙だらけで、しかも誘ってる」
『誘ってない…けど』
「――けど?」
『ジンが触ってくれるの、好き』
私の髪にかけられる手櫛も、頬を撫でる指も、そのまま首筋なぞる動線も全部。
脊髄に電気が走ったのが解るくらいゾクゾクした。
触れられたところから熱くなって、溶け出すような錯覚さえ覚える。
「…」
『ほんと、困っちゃうよ。これで何の悔いもない筈だったのに、余計に好きなっちゃった』
「――言ったろ。死なせる気はねぇし、俺しか見えなくなるまでダメになれ…と」
大体、殺す気があったらお前が寝ている間にバラしてる。
そういわれて、それもそうかと笑った。
それからぎゅうっと、一層力の入る腕。
『それ、約束してくれる?』
「ああ。――絶対に守ってやる」
『じゃあ、指切りげんまん』
「…、」
躊躇いがちに差し出された小指に自分の小指を絡めて。
決まりごとの歌を口遊む。
『指切りげんまん、嘘ついたら…嘘ついたら…』
「…?」
『嘘だって解るときは、私死んでるんだもんね。…針千本飲んでもらってもなぁ』
「どうしろってんだ」
『うーん、私が死んでも私を忘れちゃいけない。ジンが殺しても、私だけは覚えている事』
「ククッ、脅しになりゃしねぇな」
『…いいの』
どうせ口約束だ。
この組織に居て、約束がいかに軽いことかなんて。
この身をもってよく知っている。
「ああ、構わねぇよ。絶対に守ってやる」
『ジン、それ二回目だよ』
強く絡んだ君の指だけが確かなもの
(1目の守ると、2回目の守る)
(向けた対象は約束だけじゃなくて)
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