君と
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《君と紡ぐ》
『ジン、京都行こう』
「京都?」
『うん。あと、北海道。それから沖縄。名古屋も行きたいし博多も行きたい』
「列島縦断する気か」
何時もなら、既に"ふざけんな"と却下されているところだけれど。
ジンは反応に困っているようだ。
それもそうか、私の余命は後1ヶ月を切っているのだから。
できるだけ叶えてやりたいけど、体力的にも時間的にも無理があるのが実際。
「…優先順位は」
『やっぱり京都。できれば奈良も。北海道と沖縄は同じくらいかな』
「じゃあ奈良、京都だな。それから沖縄まで一繋ぎで行くぞ。買えるものは現地で調達するから、荷物まとめろ」
『え、今から?』
「行きたいんだろ?…行けるうちに行くべきだ」
『……ありがとう』
開いていたパンフレット、財布、携帯、化粧ポーチ、それから大量の薬を鞄に詰めた。
「京都で何すんだ?」
『お寺見て、神社見て、生八つ橋食べる!奈良で鹿にエサもあげたい!ジンは?行きたいとこある?』
「薬師寺」
『……』
「…、行くぞ」
彼は。
神頼みなんてしない人なのに。
そうまでさせているのは私だ。
ならば、私が立ち止まってはいけない。
『うん』
君と紡ぐ
(今を、楽しい一時を)
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