君と
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《君と思う》
『懐かしい、もう1回来たかったんだ』
下見、という名のデートで1度だけ行ったトロピカルランド。
今回は"下見"なんて肩書きはなく、歴としたデートである。
「…ジェットコースターは乗らねぇぞ」
『私も絶叫好きじゃないから乗らないよ。最初は…水のやついこう』
それでも結局。
「お前、変わらないな」
『え?』
「前きた時と回る順番一緒だ。食べてるアイスの味も、飲んでる飲み物も」
『…よく覚えてるね』
下見だろうがデートだろうが、私は私のままだ。
『ジンは、変わったね』
「…」
『あの時は、手なんて繋いでくれなかったのに』
でも彼は。前みたいに不器用な距離で歩いたりしない。
私に寄りそうように、優しく手を握っている。
「負ぶってはやったろ。今日は足挫くなよ」
『そうだったね。今日はヒール低いやつ履いてきたから、多分大丈夫』
それが、前、慣れないヒールで足を挫いた私を気遣うものだと知ったら。
胸の底が苦しくなった。
「…最後は観覧車がいいんだろ?」
『そう。観覧車といえばさ…』
「観覧車 回れよ回れ 思い出は 君には一日 我には一世」
『本当、よく覚えてる』
日本の俳諧にある、その短歌。
その時の私にとって、例え下見でも彼とのデートは。彼にとってたった一日の思い出でも、一生の宝だった。
「…逆になっちまうな」
『…』
でも今は、私が刻んだ1日が。彼にとって一生の思い出になるのだろう。
「もう1周、するか?」
『うん』
だって。
こんなにも私を覚えていてくれた。
君と思う
(過去を。その思い出を)
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