君の
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
《君の。》
「…なんでお前が泣きそうなんだよ」
『っ、だって…』
「泣きそう、というより既に泣いてるな」
『う、ぐすっ』
「んなもん、かすり傷だ。死にやしねぇ」
700ヤード離れたビルから、赤井に狙撃された。
頬に残った傷と、両肩の内出血を見た[#dn=2#]はひどく狼狽えた。
まるで自分が悪かったかのように、過ちを犯した子供のように、許して欲しいと言わんばかりの表情を見せたのだ。
『わかってる、けど、痛かったよね…』
「防弾ベストは着てても衝撃はあるからな」
そう答えれば眉を八の字に下げ、眉根を寄せる。
「このくらい慣れてる。FBIでも珍しくないだろ」
『そうだけど…』
もとFBIの彼女には色々と負い目があるらしい。
まして赤井とペアを組んでいた時に裏切り、組織に入ったものだから。
今回の件では葛藤があるようだ。
「難しく考えすぎだ。お前がどう動こうがこれは起きたことだ。雨月は何も悪くない」
『…』
「泣くな」
ほら。
目尻を撫でればやっと眉をあげて。
同じように俺の左の目尻を撫でながら、焼き付いた頬の傷をなぞった。
『ジンって、強いよね』
「まあ、弱かねぇな」
『それでいて優しい』
「…」
『たまに意地悪で、かっこよくて綺麗、頭もいいし時々ロマンチストで』
「……」
そこまで言うと何か言いたげに唇を戦慄かせ、肩の内出血に響かせない為か、首もとに緩く抱きついた。
『そんなジンが大好きなの…無事で良かった、本当に、よかった…っ』
吐息のようにか細く紡がれた言葉が傷口から染みてくるようだった。
いまだかつてこんなに想われたことなんてあっただろうか。いや、なかった。
「お前を置いて、いける訳ないだろ」
緩かった抱擁を、肩の痛みに構わず締め付けるほどきついものへ変えた。
「アイツに殺られるつもりは毛頭ねぇしな」
付け足したのは照れ隠しでもあり、本音でもある。
『うん、そうして。お願いだからそうであって』
彼女が抱擁に答えて腕を強く回した時、コイツを絶対に手放したくないと強く思った。
君の
髪が眼が唇が
指が腕が背が
脚が聲が名が
涙が手が傷が
そう
君の存在が
全て愛しくて
大好き、愛してる
END