御剣詰め合わせ2
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《スーツを新調した》
…朝からとても複雑な気分だ。
私の本心と社会性が随分とせめぎあっている。
『スーツ、新調したんだね』
「ああ。…何かおかしいか?」
おかしいよ。
初法廷のスーツは衣装だろうと思ってたし、本人も若気の至りと言っていた。
なのに、なぜまたそんな中世ヨーロッパの貴族みたいなスーツなんだ。
いや、それは衣装であって正装じゃないと思う。
『ん、ちょっと裾長くない?』
「そうだろうか?」
いや、ちょっとなんてもんじゃないんだけど。
それ、コートだよね。
スーツのジャケットのレベルじゃないよ。
『でも、よく似合ってるよ』
「…む」
これだ、複雑な心境の理由。
自分でも驚きだが、最後に口から出た言葉が本心なのだ。
普通に考えたら奇抜、といえる服装なのに。
彼が纏ってしまえば、ぐうの音も出ない程カッコイイ。
『御剣局長、忘れ物ですよ』
ちょっと戯けて、彼が最近かけはじめた眼鏡を手にとる。
受け取ろうと差し出された手をサラリと躱して、その端正な顔にかけてやった。
『あ…』
「なんだ」
『今気づいたけど…怜侍、お父さんに似てきた』
「……そうか」
今は亡き、彼の父。
御剣信弁護士の面影がそこにある。
『何か、嬉しそうだね』
「嬉しい…というのか微妙なところだが、悪い気はしないな」
『お父さんに似て、格好いいね』
言い逃げ。
眼鏡の縁から、頬をそっと撫でながら。
その言葉をおいて先に玄関へと向かう。
どの道、職場が同じだから一緒になるのだけど。
「…相変わらず、小悪魔だな」
それ以前に、靴を履いていたら追いつかれてしまって。
するりと伸びてきた腕に、背中から抱き締められた。
耳元に寄せられる唇。
彼は触れる程に近い距離で、
「それも含めて可愛いが、な」
なんて囁いた。
(し、心臓に悪いっ//)
(先に吹っかけたのはそちらだろう)
(そうだけど…、朝からあれは反則だって)
(そうか。なら、夜に囁かせてもらおう。…存分にな)
(~~っ///)
私が小悪魔なら、貴方は魔王ね。
(いつどこでこんな事に…)
Fin.