水っぽいお題
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汗
《汗だく》
「…ここ、どこ?」
成歩堂君と葉桜院へ避暑がてら遊びに来た私。
来るまでにバテてしまった彼を置いて、暇つぶしに散歩でも…と思ったのが数十分前。
そろそろ帰ろうと元来た道を戻るも、見たことのない風景が見えてくる。
一本道を来たはずなのに、道は二手に別れているし……。
まあ、所謂迷子というものになってしまった。
『はあ…』
携帯も繋がらない見知らぬ土地。まして山奥。
迷子になったら動かない、という基本は知っていたものの、不安に駆られて分かれ道をどんどんと進んでいった。
『きゃあっ!』
開けた場所に出たと思ったら、切り立った崖で。驚いて後ずされば、木の根に躓いて転んでしまった。
しかも、足首を捻ったみたいで上手く力が入らない。心なしか頭もクラクラする。
疲れと暑さもあって、力無くそこに座りこんだ。
(成歩堂君、探してくれるかな)
散歩に出て1時間以上経ってる。
畳に突っ伏してた彼もそろそろ起きてくれるんじゃないか。彼氏を置いて散歩にいってしまうような彼女だけど、心配してくれるだろうか…。
木陰に座ったまま、ぼんやりそんなことを考えた。
どのくらい座っていたのか、日も陰り始めて。
一層不安になってきた。
日が暮れる前に帰らなきゃ…そう思って立ち上がろうとすれば、腫れた足首が悲鳴をあげた。
『成歩堂くん…』
つい零れた彼の名前。
それに答えるように、
「…雨月っ…!」
私の名を呼ぶ彼の声が聞こえた。
『っ、成歩堂くん!』
「雨月!?いるのか!?」
段々近づいて来る声と足音。茂みを掻き分けて現れたのは紛れも無い彼で。
『…成歩堂くん…うぅっ…』
「雨月、こんなところでどうしたの?」
『迷子になって…足、捻って…頭クラクラして…ぅぅ…』
「大変だったね…でも、無事で良かった」
はい、と背中を貸してくれた彼に甘えておぶさる。
「…心配したんだよ、中々帰ってこないから」
『ごめんなさい…』
「、次は一人でいかないこと」
『うん』
私を迎えに来てくれた彼
法廷で追い詰められている時より
ずっと
汗だく
になって探してくれた
(走り回った汗と)
(心配した冷や汗と)
『ありがとう、成歩堂くん』
「…どういたしまして」
(本当に心配したんだから)
Fin.