酔いどれ夕神と酔いどれ彼女
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《今年も酔いどれ》
付き合い始めて早1年。
いつの間にか同棲も始まって、一緒に年越しをすることもできそうだ。
『いいですねー、特別な人と一緒に歳を越せるなんて』
「だなァ。ム所ん時とは天と地程の差があらァ」
ただ、なんせ酒が好きで酒に強い2人。日付が変わる前に大体できあがっていた。
恥ずかしげもなく、
『ふふ、1年の最初と最後を好きな人と過ごせるなんて、幸せ』
なんて言えるようになるまでに空いた缶やビンは、数えるのも面倒な量。
「最初と最後どころか、ずっと一緒にいてやらァ」
そんなことを言えた自分も、大層酔っていたんだろう。
『…今年も宜しくね』
「ああ、こちらこそな」
日付が変わると同時にそう言い合い、どちらともなく抱きしめあった。
というのが昨夜までの記憶で、目を覚ませば腕の中で寝息をたてる雨月。
寝返りを打とうにも動けないのは、彼女のせいだけでなく。ここが、こたつだから。
同じ辺に2人で入っている、彼女はともかく大男も一緒に…となれば中々狭いもの。
「雨月、起きろ、風邪引くぞ」
『んん…やだ、寒いです…』
「っ、おい」
引きはがして火燵から出ようとすれば、余計にしがみついてきた彼女。
狭いせいで足先が布団の外に出ていたのか、足を俺の脚に絡めて暖をとり始める始末。
ヒヤリとした足に、自分も火燵へ逆戻り。
『寝正月もいいじゃないですか』
「初詣行きたがったのはお前さんだろうが」
『そうですけど…私のお願いは叶ってるので、別にいいかなと』
「初詣はそういう行事じゃねェだろ」
『私にとってはそういう行事です。それに、夕神さんとデートに行く口実でしかないですから』
きっと。
彼女はまだ酔っていて。
夢の中の気分で話している。
じゃなきゃこんなにスラスラと、こんなこと言わない。
『だから、貴方と一緒なら寝正月でもなんでもいいんです』
そう言って一層くっつく彼女に、もうお手上げで。
「…素面の時に聞きたかったぜ」
『夕神さん、今年もどうかよろしく』
「それ、2回目な」
自分は眠りの世界へ逃げ込んだ。
ふと眼が覚めればカーテンから洩れる光は強く、昼近いか過ぎるくらいの時間なことは容易に想像できた。
(ああ、そっか昨日は酔ってこたつで寝て…)
そこまで思い出して顔が一気に熱くなった。
夜から今になるまで、とてもいい夢をみた気分でいたけれど。
どうやら夢じゃないようだ。
自分の脚に絡む彼の脚がその証拠。
「…起きたか」
『あ、うん…おはよう』
「おはよう」
私を抱きしめていた彼の手が頬を撫でた瞬間、思わず身を縮めた。
「…?」
『ご、ごめんなさい。手が、冷たくて』
「、あァ」
とてもヒンヤリしていた彼の指。
でもそれは、私を抱き寄せる為にこたつから出ていたせい。
『よい、しょ』
「雨月?」
『お返し』
私は寝返りをうって彼に背を向ける。
そして、冷えた指に、自分の暖まった手を重ねた。
「…あったけェな」
『よかった。今年、こんな風に寄り添っていけたらいいね』
小さく呟いた声は彼に届いたんだろう。
重ねた手が、強く握り返された。
今年もどうか
よい年になりますよう
Fin.