御剣とイベント
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《ハッピーホワイトデー》
困ったなぁ。
まさか自分がホワイトデーに贈り物をする側になるなんて思ってなかったんだもの。
バレンタインの時にクッキーも焼いちゃったし、本や花も渡してしまった。
もう、彼に喜んで貰えそうな品が思いつかない。
『…ホワイトデー、だもんね』
相手の告白に答える日。
…怜侍の愛に応える日。
ダメだ、余計に難しい。
もっとシンプルに、彼が喜んでくれるもの、こと。
「……………悩み悩んだ結果がこれなのだな?」
『悩み過ぎて迷走しました…』
「迷走した自覚があるだけ進歩とでも言おうか…」
帰宅した彼を絶句させたのは、テーブルに並べられた料理。
忙しい彼に愛を伝えるには、これが一番だと思ったのだ。
何がまずかったかというと…
テーブルに並んだ料理に色がないこと。
字の通り、真っ白なのだ。
白パン、クリームシチュー、鱈のムニエル、カリフラワーのサラダ。
冷凍庫にはバニラアイスも入ってる。
「ホワイトデー…だからなのだろう?この状態は」
『うん。あ、味は保障するよ?』
「味の心配はもとよりしてないが…まあ、君らしいな」
楽しげに眉間のヒビを緩ませた彼に、私も自然と笑顔になる。
『私らしい?』
「ああ、張り切り過ぎてとんでもないことをしてくれる…」
『…(汗』
「だが、それが楽しみでもあるのだよ。雨月が楽しそうに準備をしているのを見ると、私まで楽しくなる」
そうだ、私がイベントを大切にするのは、彼に楽しんで欲しいから。だったら、成功って呼んでもいいんじゃないかな。
『よかった。怜侍が喜んでくれるのが、一番嬉しいよ』
「では、私からのお返しは不要だったかな?」
『…えっ!』
「…その、笑わないで頂きたい」
ゴソゴソと取り出された包み。ラッピングからするとお菓子のようだ。
『っ!これ…』
中を見て暫く言葉を失う。
マシュマロ、スノーボール、ミルクキャンディ、ホワイトチョコ…
とにかく白いお菓子がぎっしり詰まっていたのだ。
「一緒に暮らしていると思考まで似てくるのだな」
その言葉で、はっとする。もう、同棲を始めて1年経った。改めて実感すると短いような長いような。感慨深いものがある。
『そのうち、考えてることが解るようになったりして』
「今でもこうだからな」
そう、半年の中でハロウィンのお菓子を準備してくれたり、バレンタインのチョコを用意してくれたり。
数えだせばもっと、彼が私を理解してくれたことは沢山ある。
「夫婦になったらいっそうだろうな」
『熟年夫婦とかになったら言葉もいらないかもね』
「…さすがに無理ではないか?」
『まあ、言葉ないと寂しいもんね。でも、言わなくても解っててね?』
私が貴方を愛してるってこと。
「…解っていても、言葉にして欲しいものだな」
『ふふ、怜侍も言葉にしてね』
ホワイトデー
って、白い日だよね?
(なんだかサラっと)
(爆弾発言があった気がするけど)
(期待してていいのかな?)
Fin.
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