御剣とイベント
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《ハッピーバレンタイン》
聖バレンタイン。
日本では女性がチョコレートに愛を託して、意中の男性に送る日だ。
きっと、イベントの好きな彼女のことだから。チョコレートか、あるいは何かしらの事をしてくれるだろう。
いつも何かしらの勘違いやミスをする彼女も、流石に間違えるまい。
って、彼は絶対思ってる。
いや、間違えないよ?今回はちゃんと紅茶に合うようにチョコチップクッキー焼いたんだから。
ただ、それだと普通でしょ?だからちょっとだけ彼を驚かせようと思う。
もちろん愛を伝える日だから、程々に…だけど。
「ただいま」
『お帰り!今日は何の日か知ってる?』
「…バレンタイン、だろう?」
『正解!ということで…はい、愛を込めて!』
差し出されたものを見て、彼は少し戸惑っていた。
目の前にあるのはシンプルな花束と、カバーのついた本。
「これは?」
『ん?チョコを送るのは日本だけで、元々は本とか花束を送る日なんでしょ?喜んでくれると思ったんだけど…ダメかな?』
そう。私が逆にちゃんとしたイベントをしたら、驚くんじゃないかと思ったのだ。
案の定戸惑って、というか落ち着かない様子で。本を開いた彼はまた驚いたようだ。
「こ、これはトノサマンファンブックの初版ではないか!」
『うん、怜侍が喜びそうなもので、私がわかるものなんてそれしかなかった』
「…ありがとう」
彼は穏やかに私の頭を撫でて、それから少し苦笑した。
「やればできるものだな…だが、チョコの方がしっくり来る気もする、不思議だ」
『だよねー。そう思ってチョコチップクッキーも焼いてあるよ』
「…本当に、どうしたのだ?」
『まあ、愛の力かな?』
「そうか…なら私にこういった事をさせたのも、そのせいだな」
鞄から取り出された小さな包み。
可愛らしいラッピングとにHappy Valentineの文字。
この銘柄は…
『この前テレビでやってたチョコレート…』
「その…今は逆チョコなるものが流行りなのだろう?」
『…っ、怜侍大好きっ!!』
「ぬあっ!」
だってだって、あの彼が逆チョコ!抱き着きたくもなるよね?抱き着いてもいいよね?
『すっごく嬉しい!』
しかも遠回しだったけど、愛の力ってことでしょう?
「……その、喜んでもらえてよかった」
『本当にありがとう!ホワイトデー楽しみにしてて、もっと頑張るから!』
『別に、頑張らなくてもいい』
「…え?」
言葉の意図が解らずに、彼を見上げれば。
穏やかな笑顔と、頭を撫でてくれる優しい手。
「バレンタインは、愛を伝える日なのだろう?ならば、雨月の愛は十分伝わった。それとも、私のは伝わらなかったか?」
『っ、そんなことない!ちゃんと届いてる!けど、私の方が多く貰っちゃった気がするの…だから…』
彼から貰えるなんて思ってなかった。ハロウィンこそお菓子をくれたけれど、今日は、怜侍が準備しなくてもいい日だ。
なのに、私を喜ばせようとしてくれて…胸がいっぱいで苦しい。
『埋め合わせ、っていうのかな』
短く唇を合わせて、もう一度抱き着いた。
『ハ…Happy Valentine』
「…!フッ…Happy Valentine」
(たまには普通でもいいよね)
(そうだな。だが、花はもう少し考えたまえ)
(えー、花言葉は愛だし、いいと思ったんだけど)
(だとしても菊はどうかと思う)
あなたに伝われ私の愛!
Fin.
おまけ
聖バレンタイン。
日本では女性がチョコレートに愛を託して、意中の男性に送る日だ。
きっと、イベントの好きな彼女のことだから。チョコレートか、あるいは何かしらの事をしてくれるだろう。
いつも何かしらの勘違いやミスをする彼女も、流石に間違えるまい。
そんな事を考えたら、ふと頬が緩んだ。
「御剣検事、なんかイイコトあったッスか?」
「いやそういう訳では……糸鋸刑事、それは?」
「これッスか?バレンタインのチョコッス!」
糸鋸刑事が提げていた、小さな紙袋。どうやら彼もイベントに参加していたらしい。
「ほう、くれる相手がいたのか」
「…違うッス、これは毎年貰えないから流行りの逆チョコに挑戦するッス!」
「…逆チョコ、か」
「お、御剣検事もやるッスか?」
「考えてみる…」
なんてことがあった
おまけ2
実は、チョコチップクッキーを焼く前に失敗をしでかしていた。
(どんど焼きの余りで米粉があるし…チョコ掛けの団子とかどうだろう)
なんて思いながら出来上がったのは普通のぜんざい。というかおしるこ。
(これは…節分とか正月でしょ…何をどうしたらこうなるの…)
幸い、といっていいのかわからないけれど。この段階で茹で小豆を使い切ったからクッキーが成功したんだと思う。
あ、もちろんぜんざいも怜侍と一緒に食べたよ?
バレンタインとは別、ってことにして。だけど。
End