御剣詰め合わせ2
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《寒空の待合わせ》
今日は久しぶりのデート。
デートって言っても、一緒に公園を歩いて、カフェでお茶を飲むだけ。
彼も私も忙しく、中々一緒に休みはとれない。
お散歩デートでも私には十分嬉しいものだった。
(早過ぎちゃったかな)
14時に待ち合わせた公園の入口のベンチに座る。
今はまだ13時半前だ。
本当は丸一日一緒にいたいけれど、彼は午前中は仕事があると言っていた。
14時。
いつもは時間より少し早く来る彼が、まだ来ていなかった。
仕事が長引いているんだろうか、道が混んでいるんだろうか。
一抹の不安を抱えながら自販機でココアを買う。
暖をとるためと、今来たばかりだという証拠にするため。
手の中にココアを持って元いたベンチに座る。
入口をずっと見詰めているものの、彼の姿は一向に現れない。
14時半。
まだ彼は来ない。連絡も来ない。
電話をしてみようか、でも、仕事中だったら?
やっぱり止めておこう。
15時
耐え切れずに電話をかけてみた。でも繋がらない。
事故にでもあっていなければいいのだけど……
16時
ココアが、冷めたを通り越して冷たくなっていた。
裸の木には何十羽というムクドリが群がっている。
(約束、忘れちゃったのかな)
着信履歴のない携帯の画面を閉じて立ち上がる。
その時、ヒラヒラと白いものが舞ってきた。
『…雪』
灰色の空から、今年初めての雪が降ってきていた。
道理で寒い訳だ。
暫く、そのままぼんやりと立ち尽くしていた。
無性に悲しい気持ちに駆られる半面、どこか無関心に、地面に触れては溶ける白いモノを眺めて。
「…雨月…!」
遠くで、彼の声が聞こえた。
はっと顔をあげれば、息を切らして走ってくる彼が見える。
赤いスラックスと黒いコート。見間違う訳がない。
「すまない…っ、」
遠かった声は、いつの間に耳元で。彼に抱きしめられていた。
彼が走ってきたせいか、私の体が冷えているせいか、彼の腕の中はとても暖かかった。
「会議が長引いて…、連絡もとれず…っ」
『…よかった』
「?」
『事故、とか。約束、忘れちゃったんじゃないかって…心配した』
かじかんで上手く言葉が紡げない。そんな私の髪に降る雪を払いながら彼は困ったように微笑む。
「忘れる訳ないだろう」
『うん、だから待ってた』
彼の前髪にとまった雪は、体温で溶けていく。
「まさか、本当に待っているとはな」
『だって、連絡つかなかったから』
「メールがあるだろう」
『怜侍、メール見ないじゃない』
「ム…」
冷たくなったココアをポケットに押し込んで彼に腕を回す。
『でも、来てくれて嬉しい』
もう夕闇に染まりかけた空。思わせ振りな雪は、雲が晴れてもどこからか舞って来る。
「どこかへ入ろう、こんなに冷たくなって…」
『うん、散歩はまた今度ね』
彼の手が頬に触れた。冷たい彼の手も、今日は温かく感じられて…
グゥ…
『…!』
「…//」
どうやら、彼はお昼返上で仕事をして。そのまま飛んできてくれたみたいだ。
『なんか、あったかいもの食べたいねっ』
「そ、そうだな…」
可愛い怜侍も見れたし、初雪も彼と見れた。
その後コンビニの肉まんを食べる彼も見れた。
それを温かいココアを飲みながら眺めていた。
ちょっと寒かったけど、結果オーライ。かな。
オマケ
『雪、積もるかなぁ』
「今夜中に止むみたいだが?」
『えー』
「貴女は子供か…」
Fin.