赤の似合う君と
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04
《逆転のトノサマンの裏で》ヒロイン視点
『ニボサブさん検挙されちゃったかぁ…』
「今度こそ成歩堂には負けないだろう」
『…どうかなぁ』
証言書やら証拠品やらに目を通して書類を御剣君に返す。
絶大な人気を誇るトノサマンが逮捕されたとあって話題の裁判を、御剣君が引き受けた。
なるほど君のこととなると少し躍起になって、彼らしくないミスも見つかったが…
『忠告するとすれば、オバチャンに気をつけてね』
「?」
怪訝な面持ちで検事室をでた御剣君。
ちょっとだけ法廷を覗きにいったら案の定オバチャンには大苦戦していた。
「名前をきいているっ!」
これは本当にダメかも知れない…どっちかというとメンタルが。
「なんとかいっとくれよ、みっちゃん!!」
しかもニックネームつけられてるし……。
「じゃあオバチャンも喋っちゃおうかしらねっ!!」
マシンガントーク炸裂だな…あ、時間だ。
法廷は最後まで見れなかったけど、多分延長されるだろう。
法廷二日目
御剣君とは話せないまま二回目の法廷に入る。
尤も、私は仕事があったから最後の方だけ覗いた。
証人の九太君に苦戦してたみたい。御剣君が白目がちになってる。
(会議になりそうだな)
ニボサブさんを検挙し続けるのは厳しい状況になった。まあ、当然だけど。
会議が終わった夜中、検事室には難しい顔をした御剣君がいた。
『明日が最後だね』
「羽影検事、貴女はどう思う…」
『どう、というと?』
「荷星は、犯人だと思うか…だ。否とすれば誰が」
『それは』
話を切って立ち入る。
『それは君にも解ってるんでしょう?正しいと思うことをしたらいい』
ソファに座る御剣君の後ろから、緩く抱きしめて囁いた。
『君のことだ、その時が来れば自ずと行動すると思うよ』
明日も頑張ってね、と。
休むことを促しながら部屋を後にする。
彼ならきっと、私の助言なんていらないだろうから。
法廷3日目
「判決を言い渡します…
無罪」
今日の法廷は、始めから終わりまで見ていた。
御剣君が。
御剣君が動いた。
『今日の御剣君、かっこよかった』
成歩堂君と話終わったあと、自室で考え込んだままの彼に声をかけた。
「このような迷いは要らないのだ…このような…」
自分を抱きしめるようにして俯く彼の額に、私のそれを当てる。
「羽影検事…?」
『人は迷った時に道を見るし、決断した時に成長する。私は今日の決断、正しかったと思ってる』
『君の決断のおかげで、救われた人がいる。ね?』
彼の前髪を除けながら額をゆっくり離す。
困ったような、悲しそうな。辛い表情の眼が合う。
「…貴女は……優しいのだな」
ゆっくり逸らされた視線に、その迷いの大きさを知る。
『君の速さでいいよ。君が求める限り、必ず道標はできるし、私も君の道標になりたいから』
包むように、優しく、軽く。ふわり、という音が似合いそうなハグをした。
怖ず怖ずと伸ばされた腕が。
ひどく、ひどく優しかった。
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